第16話
「メアリーは私と夫人の子です。遺伝子上は」
「まさかお前・・・」
「そうです。夫人は私と浮気をしていました。あの子は、ドイツ人とユダヤ人の子ではなく、ドイツ人とドイツ人の子です」
「それ、伝えるのか?」
俺はアドルフの肩を掴む。
「悩んでいますが、時間の問題だと思います」
俺は「そうか」とだけ言い、ドアを開けた。
「どうかしたのか?」
「いや、埋葬するかどうか話してた。死体を持っていくのは大変だからしないそうだ」
部屋からアドルフが出てくる。
「これからこの子はどうするの?」
「私が預かります。この子にとって、親の次に慣れ親しんでいるのは私なので」
「あの男のところに行くぞ。ムカついて来た」
俺達は階段を降た。
1階、フロントに行く。
外に、2台の車が停まっているのが見える。
10人ほど男性が出てくる。
手にはハンドガン。
「隠れろ!」
俺達はまた、フロントのカウンターに隠れた。
銃弾が絶え間なく聞こえる。
頭に銃弾がかすめる。
胴体の横を通る。
足の近くに着弾する。
攻撃するタイミングを待つ、ソフィアとダニエル。
泣くメアリーを守るようにかがむアドルフ。
そしてただ静かに身をかがめるユリア。
銃を両手で強く握る。
何でこんな思いをして戦わないといけないのか。
民族?国家?
そんなもののために戦って何になる。
あいつらは何をしたいんだ?
やっと唯一の家族に会えたと思ったのに。
どうして戦わないといけないんだ。
ソフィアを見る。
俺とは違い、その顔には確かな決意があった。
家族。
守るんだ、家族を。
戦うんだ。
「うらあああああ!」
俺は叫び、銃をフルオートで撃った。
敵に当たり、そいつは倒れる。
ダニエルとソフィアが援護する。
激しい撃ち合いになった。
男たちは5人になったところで車の裏に隠れた。
俺は斧を持って走る。
ダニエルとアドルフが続く。
「ブリャーチ!」
隠れている男に斧を振る。
乱戦だ。
男に当たり、そいつは倒れた。
斧を振った後の隙にこぶしが来る。
だが、そいつの顔面にはバットが当たった。
後ろでシャベルが当たる音と、何かが倒れる音がした。
車の陰から出た男に、銃弾が当たる。
最後の男は、崩れ落ち、恐怖の顔でこちらを見ていた。
「やめてくれ」
俺の何かが切れる音がした気がする。
「それはこっちの話だ!」
俺は銃でそいつを撃った。
隠れていた3人がやってくる。
「あいつは許せない。必ず地獄に落とす」
待ってやがれ。




