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第15話

男は胴体のみが動いており、頭の部分は壊れたモニターがあった。

俺は男に近づく。

板だ。

確かにそれは磁器性を帯びたモニターだった。

「私を殺すか。それでもいいだろう。だが、民族主義は消えないぞ」

男はそう言って机の上にあるPCに手を伸ばす。

映像が切れる。

真っ暗な巨大な板がそこにあった。

「まあ、社内情報ハックして、彼の自宅を調べるわ。その子とあなた、目的があるんでしょう」

ソフィアはメアリーとアドルフに目を向ける。

「そうですね。ですが、詳しい情報は知りません。だれか生き残っていれば聞けたかもしれないと思って来たのですが」

「オーケー。調べてあげる。名前を教えて」

俺は黒い板を見つめる。

手で押す。

板は布のように動いた。

かがみ、腕でモニターを押しながらその先に行く。

特段何かあるわけでもなかった。

普通のデスクとPCがあるだけだった。


しばらくして、ソフィアがPCを叩く手を止める。

「メアリーの両親は8階のフロアで働いていたようね。あの男の住所も抑えたから、その子の両親が無事かどうか確認してから行きましょう」

俺は立てかけていた銃を手に取る。

「よし行こう」

「あら、乗り気ね」

「どうせあれこれ言って強制で連れていく気だろ」

「あらバレた?」

俺達は8階に行く。


結果は明らかだった。

ゾンビと化した父親と、右肩を破損した動かない母親がそこにいた。

メアリーは文字に起こせない声で泣き、それをアドルフが抱きしめていた。

「出ていろ」

俺は銃を構えてそう言った。

自分の親が銃で撃たれる場面に会うなど、耐えられないだろう。

アドルフはメアリーを抱えたまま、部屋を出る。

ドアが閉まる音がすると俺は引き金を引いた。

白人男性のゾンビは背中から倒れた。


部屋を出る。

「アドルフ、ちょっといいか?」

泣いているメアリーをアドルフは抱きしめていた。

「ソフィア、メアリーをちょっと頼む」

アドルフと一緒に部屋に入る。

「メアリーの父さんはゾンビ化していた。母さんは食われて死んでいた」

アドルフの顔色が悪そうだ。

「あいつが言っていた通りなら、父はドイツ人じゃない。母さんはドイツ人。じゃああの子は?」

アドルフは後ろを振り向いた。

「マイクロチップが入ってない?」

「いえ」

こぶしを握り、震えるアドルフ。

「マイクロチップは入っています。主人はユダヤ人でした」

「じゃあ・・・」

「私はドイツ人。夫人もドイツ人です。メアリーは私の子です」

アドルフは震える声でそう言った。

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