第14話
ドアをゆっくり少しだけ開け、3発撃つ。
壊せたのだろう、さらにゆっくりとドアを開く。
90度開いたところで、ソフィアが反対を向く。
「反対側見るから変えて」
反対側に同じように斧とシャベルを構える。
そしてゆっくりと動かす。
銃声がして、俺の持つ斧に当たる。
衝撃が手に伝わる。
痛い。
斧がぶれる。
だが、それでもソフィアは表情を変えず、3発射撃する。
ソフィアは立ち上がった。
「ひとまず大丈夫よ」
俺は斧をかばんと背中の間に挟み、銃を構える。
ソフィアの後ろを歩く。
次にユリア、メアリー、アドルフ、後ろを向いて銃を構えるダニエルで行く。
「ここのはずよ」
ユリアがドアノブに手をかけ、ドアを開ける。
部屋の中には、1人の男がいた。
「なんだ、貴様ら。ずけずけと」
黒いスーツに身にまとっている白人だ。
「あなたが、この事件の犯人ね。調べはついているのよ」
男は椅子に座りこちらを向いていた。
「なぜこの世界は国境がなくなったのだろうと考えたことがあるか?」
ゆっくりと立ちあがる。
「なぜ愚かなユダヤ人や黒人がこのドイツの地にやってきて、我々の平穏を乱すのか」
そしてこちらをまじまじを見つめる。
「私の家の隣に、アジア人が引っ越してきた。彼らは騒ぎ、散らかし、私の平穏を乱した。そして『我々の権利』を求めて暴れまわった。このビルだって被害があった。さらにそのアジア人に、俺の妹は殺された」
机を両手でたたきつける。
「国家をもう一度作るべきだ、各民族のための国家を。そしてその民族のための政治をする。そのほうが合理的だ」
こちらを指さす。
「同胞、そう思わないか?文化、価値感の異なる者が共存するのは難しい。なら、文化の同じ者で連帯するべきなのだ」
「私は空港で様々な人間を見ている。別にドイツ人であろうと麻薬も密輸もする。ドイツ人だからだとか、ドイツ人でないからだとかで、人間は変わらん」
ダニエルはそう答えた。
「マイクロチップに機能を入れた。ドイツ人以外をゾンビ化させる機能だ。これでドイツを最適化する。ゾンビをドイツ人が一丸となって倒すことで連帯感が生まれる」
「あなたがやったことは、人類史に残るほどの悪事よ」
ソフィアはハンドガンを男に向けて引き金を引く。
男がいたそこには、赤や緑の色が絶え間なく入れ替わる、モニターがあった。




