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妄想恋愛ばかりしていたら、金曜日に本物がきた。  作者: つなかん


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第18話 Monday:会えない二日分の想いが、胸に詰まっていた

月曜日の朝。

 目覚めた瞬間、胸の奥がふっと熱くなった。


(……また一週間が始まる)


 でも、今までとは違う。

 “航平さんがいる週” が始まる。


 そう思うだけで、

 胸の奥がぽっと灯ったように温かくなる。


 キッチンでコーヒーをいれながら、

 ふとスマホを見てしまう。


 通知は……ない。


(分かってるよ。

 昨日も、土曜も、何も送ってないんだから)


 でも、

 毎日来ていた写真やメッセージがないだけで、

 こんなに落ち着かないなんて。


(土日……どうしてるんだろ)


 どこで写真撮って、

 どんな空気の中で過ごして、

 何を考えてたんだろう。


(……会いたい)


 思わず、胸に手を置いた。


 夜。

 「Bar Toyo」の扉を開けると、

 いつもの月曜日の空気に安心する。


「美月、今日の顔は……ちょっと大人だな」


「え、なにそれ」


「恋の顔ってやつ」


「っ……!!」


「図星か」


 お父さんの直球が痛い。

 でも否定できない自分もいる。


(だって……金曜日……)


 思い出しただけで頬が熱くなる。


 20時すぎ。

 月曜の男——白石が来た。


「あ、美月ちゃん。いつもの頼むよ」


 笑顔の爽やかな会社員。

 気さくで話しやすい。

 最初の頃はちょっとドキッとしたのに——


(……今日は全然平気)


 むしろ、浮つく感じが一切ない。

 恋をしている女は分かりやすい、とは本当だ。


「美月ちゃん、なんか雰囲気変わった?」


「えっ?」


「いや悪い意味じゃなくて。

 なんか……落ち着いたっていうか」


 落ち着いた?

 今の私はむしろ落ち着いてないのに。


「……そうですか?」


「うん。

 金曜も来たかったけど、上司の飲み会で来れなくてさ。

 来たらまた笑ってよ」


「あ、はい」


(そういえば……金曜日、いたら困ったかも)


 航平さんと……あんな話していたし。


 心が少しだけゾワッとした。


(……なんで、そんなこと思うんだろ)


 胸に広がる、この独占欲みたいな感情。


(私……やっぱり好きなんだ)


 白石が帰っていく背中を見送りながら思う。


(前みたいに妄想もできない)


 胸の奥が、恋で埋まってしまったせいだ。


 閉店後。

 片付けをしていると、お父さんがふいに言う。


「美月」


「なに?」


「……今週の金曜日」


 ドクッと胸が鳴る。


「たぶん、来るぞ。あいつ」


「っ……!」


「顔に出すなよ」


「出してないし!」


「さっきの白石の時、明らかに態度違ったぞ」


「……っ」


「分かりやすくて、かわいいけどな」


「やめてよ、お父さん……」


 それしか言えなかった。


(来る……金曜日……)


 それを聞いただけで胸がぎゅうっと熱くなる。


(あと四日……)


 長い。

 長すぎる。


 でも——

 待てる。

 今なら、ちゃんと待てる。


 胸の奥に灯った、小さくて強い火。


(会いたい……)


 その想いが、

 静かな月曜日の最後にふわりと浮かんだ。

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