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金木犀の香る頃  作者: 彩華 (あやはな)
5/14

5.

「クロード。ありがとう」


 休み明け、エリアル嬢がにこやかにお礼を言いにきた。


「彼女、とても喜んでくれたわ。お揃いだと言ったら、笑ってくれたの。はしゃぎすぎて、体調をくずしちゃってすぐに歓談が終わってしまったのは残念だったわ」


 喜んでくれたと聞いて、ほっとする。

 貴女のそんな顔が見れたのが僕のなかでは一番幸せでだ。


 この気持ちを誰かに伝えたい。





「スマ。


 先日、彼女の親友の誕生日プレゼントを一緒に買いに行く機会があったんだ。そこで、なんとか理由をつけて、彼女にブローチを贈ることに成功したんだ。彼女はとても喜んでくれたよ。

 彼女の親友も喜んでくれたらしい。

 彼女にお礼を言われて、僕は幸せだよ。

 彼女の笑顔が見れて、本当に良かった」



「ラッキーさん


 おめでとうございます。

 喜んでもらえて、良かったですね。


 私も婚約者から欲しいです。花一本でもいい。おめでとうの手紙でも言葉でもいい。


 求めてはいけないのでしょうか?


 その方がとても羨ましいです」



「スマ。


 ごめん。僕のことばかりで。

 君はいつが誕生日?


 聞かない約束だけど。

 これくらいは、いいかな?」



「ラッキーさん


 すみません。

 悲観的なことを書きました。

 私の誕生日は、つい三日前でした。両親と兄が祝ってくれました。それに大事な親友の二人が私に会いに来てくれました。


 私は、我儘を言う資格はないのです。

 父様たちの祝いだけでも喜ばないといけないのです。私は両親に迷惑をかけるばかり。ただ生きていることに感謝をしなければならないのです。多くを求めてはいけないのに」





「スマ。


 大袈裟だよ。親は子供の我儘を迷惑だと思っていやしないよ。


 遅くなったけど、


 お誕生日、おめでとう。

 君が幸せに暮らせますように」



「ラッキーさん


 ありがとうございます。

 今まで生きてきて、一番の誕生日のお祝いの言葉です」




「スマ。

 祝いの言葉だけで生きてきて一番って、大袈裟だよ。

 いっぱいプレゼントももらったんだろう。

 それに、まだまだ未来はあるんだよ。楽しいことはこれからじゃないか。


 でもそんなに喜んでくれたなら、来年も君にお祝いの言葉をあげるよ」



「ラッキーさん


 来年もくれますか?

 楽しみにして、いいですか?」 








 

 短い文だった。


 震えて書いたのか、いつもより歪んでいるようにみえる。


 でも、気にすることもなかった。なぜならそれどころでなかくなったから。


 カインゼル殿下とエリアル嬢の関係が悪化しだしたのだ。



「カインゼル殿下。考え直してください」 


 側近の一人フレイ・アシュレイ公爵子息が諌める。

 僕の婚約者の兄にあたり宰相の息子。誠実で人当たりの良い彼はいずれ宰相となりいずれ殿下を支える方として尊敬できる人物だ。


 そんな彼が声を荒らげるとは珍しかった。


「わかっていらっしゃるのですか。エリアル嬢はこれまでいく時間も王太子妃としての知識を学んでこられたのです。その努力を無下にするおつもりですか?」

「わかっている。だが、私は彼女をー、アリシアを愛してしまったんだ。彼女は、勤勉で素晴らしい才能をもっている。彼女から僕の伴侶としてやっていける!!」

「そのようなことを言ってるのではありません。これは国王陛下の命です」

「ならば、父に掛け合ってくる」

「殿下!」

「クロード、エリアルに今日のお茶会はなしだと言っといてくれ」


 二人はバタバタと執務室を出て行った。


 これでは、エリアル嬢とのお茶会どころではないだろう。

 僕はエリアル嬢の待つ、庭園に赴く。


 その途中、エリアル嬢の幼馴染である、エミリア嬢にあった。


「また、中止?」

「はい」

「あの、#馬鹿__・__#は自覚がないのかしら?」

「エミリア嬢、口がすぎます」

「誰も、聞いてないわよ。・・・それより、クロード様」


 低い声に足が止まった。


「貴方の婚約者は1ヶ月ほど前が誕生日だったのだけどを貴方は祝ったの?」

「・・・・・・いえ」

「どうして?」

「学園にいる間は自由にさせて欲しいと、願いでていますから・・・」

「だからって、誕生日ぐらい祝わなくてもいいと言う話じゃないわよね?」


 反論できなかった。


「エリアルが好きなのはわかっているわ。でも、自分の婚約者も大切にしなさいよ」

「・・・彼女も理解しています。エミリア嬢には関係ないはずですっ」


 そう言い切って、歩き出した。


 後ろから声が聞こえたが構わず歩く。


「いずれ、後悔するわよ」



 僕はその言葉を無視した。


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