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悪役令嬢は反省します  作者: 秋乃 透歌
第三章 魔法戦闘大会

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10/14

最強は誰?

 マノン王立学園高等部で開催された魔法戦闘大会。

 その女子生徒の部は、予想外の展開に盛り上がりを見せていた。

 決勝戦進出を決めたのは、大方の予想を裏切らない形でクローディアだった。しかし、もう一人が、一年生の下爵(かしゃく)令嬢――エリカ=フランジパンだったのだ。

「一年生にしては見事な戦いぶりですわ」

 魔法戦闘大会の舞台となる闘技場に立ち、クローディアが言った。

 観客である一般生徒達に戦闘魔法の影響が及ばないように、闘技場には結界の魔法が張られている。そのため、この舞台の会話は外には聞こえないものになっていた。

「当然です。私がどれだけこのミニゲームをやり込んだと思ってるんです?」

 応じたエリカの台詞は、一部理解のできない言葉を含んでいた。

「ミニ、ゲーム? 模擬戦でも特訓したんですの?」

「ふぅん。そういう反応なんだ……」

 怪訝そうなクローディアに対して、エリカは何か含みがありそうである。

「まあ、良いですわ。この試合、あなたに勝利して、ニコラに良いところを見せるつもりですから、降参するなら早めにどうぞ」

「その言葉、そっくりそのまま返しますよ。クローディア様」

 二人の言葉と視線がぶつかり合う。

『それでは、決勝戦を開始します。用意――』

 アナウンスの声が、二人を構えさせた。

『試合開始!』

 合図とともに動いたのは、クローディアだった。体を低く沈めるように、走り出した。

「――光よ」

 そして最初の攻撃はエリカだった。身動きもせずに唱えられた呪文は、光の矢となってクローディアを襲う。しかし、その位置には既にクローディアはいない。先手を打った移動が功を奏したのだ。

「速い、ですわね。でも当たらなければ、どうと言うことはありませんわ」

 クローディアはジグザグと軌道を変えながら走り続ける。少しずつ、エリカの位置へと近づいて行く。

「――光よ」

 対するエリカは、その位置から動かずに、クローディアを狙い続ける。

 遠距離から狙撃する形の彼女の視線は鋭いが、どこか当たらなくても当然と言った雰囲気もある。

 そして。

 一種の拮抗状態だった序盤が切り替わる。

「――氷よ」

 一転して足を止めたクローディアが、小さな氷の破片を空中へとばらまいた。

「――光よ」

 エリカの光線がクローディアの体の中心を撃ち抜く――が、氷の破片がキラキラと攻撃を拡散させてしまい、有効打にならない。

「パターン2ね」

 呟いたエリカが、今度は真横へと移動を始めた。

「この距離なら、氷の速度でも十分対応できますわ」

 クローディアが、溢れ出る魔力で、体の周りに次々と氷の鏃を作り出す。拳一つほどの大きさに成長する端から、エリカ目掛けて連続して放出される。

 エリカは闘技場全体を使って全力疾走しながら、クローディアの氷を後ろへと置き去っていく。反撃する暇などない。

「それでも、およそ5秒で攻撃は終わり、次は――」

 エリカは走りながら自分に言い聞かせるようにつぶやく。

「隙だらけのパターン3」

「ちょこまかと鬱陶しいですわ。次の一撃で、決めて見せますわ!」

 クローディアが、言葉とともに、無数の鏃を生成し始めた。

 躱す余裕などない、全方位攻撃の準備である。

「ここよ! ――光よ」

 エリカは真っ直ぐにクローディアを指差すと、極太の光線を打つ。

 クローディアが空気中にばらまいておいた細かい破片が、一度はそれを防御しきる。――が、次はない。

「これで決めますわ。――氷よ!」

「私の方が速いっ。――光よ!」

 同時に呪文が唱えられ、その結果――。

 クローディアの氷は、解き放たれることはなかった。

 一方、エリカの光線は一直線にクローディアを捉えており――。

 結果、倒れたのはクローディアだった。

 エリカの優勝である。


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