見た目だけで判断してはいけないという事を深く学びました
カラオケの帰り俺たちは小腹がすいたため何か軽く食べようという話になった。
「さて、何食べるか?賢人なんか考えあるか?」
「じゃあマリトッツォを食べてみないか?」
「なにそれ?そのマリなんちゃらってどんなの?」
「簡単に言うと硬いシュークリームにクリームをめちゃくちゃ入れたものだな」
マリトッツォは本当に美味しい、初めてコンビニで見た時は感動してしまった。あんなクリームがいっぱいのっていて美味しいものはないから、今すごくハマっている、ちなみに唯も俺の影響でとてもハマっている。
「う、マ、マリトッツォですか」
「?やだったか」
「嫌ではないけど、最近体重が……」
最後ら辺がゴニョゴニョして聞こえなかったが、多分唯は今日はマリトッツォの気分ではないのだと思う。
「じゃあマリトッツォもあるカフェに行けば良いんじゃない?どこか良いところないの?」
「ではここなんてどうだ」
俺が見せた携帯には『マリトッツォ始めました』と書いてあるいかにも和風っぽい店のサイトだった
「本当にこんな場所にそのマリトッツオがあるのか」
「でも近くにマリトッツォが確実にある店はここだけだ」
「ん~まあ行ってみますか」
「あの私甘いものは…」
俺たちが店に向かい始た時、唯がなにか小声で言った気がするが、俺達に付いてきてるってことは納得してくれたってことだろうから不満はないはず
「唯はカフェに行くの嫌か?」
「いやそんなことはないけど…あー!もういい!今日はいい日にしよう!一日くらい大丈夫!変わらない!」
しばらく歩くとそこにはTHE和風という感じの店があった
「本当にここの店であってるんだよな?」
「そうサイトには書いてあるぞ、じゃあ入るぞ」
俺が先陣を切って中に入ると、優しそうな和服を着ている老婆が「いらっしゃいませ」と優しそうな声で声をかけてくれた。
「何名様でしょうか?」
「3名です」
「わかりました、では此方へどうぞ」
そう言って案内された場所は和室の部屋だった。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「はい、マリトッツォを3つ…で良いんだよな唯」
「うん、私もやっぱマリトッツォが良くなっちゃった」
「はいじゃあマリトッツォ3つね」
老婆は伝票に注文を書いた後厨房らしき所に入っていった。
しばらくすると厨房からお盆にマリトッツォをのせてこちらに来た。
「はい、おまたせしました」
「ほ、本当に来た…あっ!す、すみません」
仁は滑った口をふさいで老婆に謝った、そして唯は仁の脇を突いた。
「別にいいのよ、最近は昔みたいに和菓子が売れなくなっちゃってね~それでホムペッジとか新しいものを取り入れようとしたけど、どうやらこの店じゃダメでね、この店の見た目も変えるべきなのかね~、…でもおじいさんと一緒に作ったこの店の見た目までは壊したくないのよ」
老婆は少し寂しそうなしんみりした声で俺たちに話してきた
「長話しちゃったわね、ごめんなさいね。それではごゆっくりしていってください」
そうして老婆は厨房に戻っていった
「…そ、それじゃあ食べるか、いただきます」
その言葉に続いて俺達も食べ始めた。
「ん!おいしい」
マリトッツォはとてもおいしかった、なぜこの店が人気じゃないか不思議なくらいだ。
俺たちは食べ終わり会計に向かった
「はい会計ね合計で600円です」
凄い安い、こんなに安い店はそうそうない、このままなくなってしまいそうなのはもったいない
「ちょうどだね、またのお越しお待ちしています」
俺たちは出口に向かって歩いたがその途中足を止めて老婆の方を振り返った
「おばあさんここのマリトッツォ凄いおいしかった、もしおばあさんが作る気があるならあんこ味のマリトッツォとかも作ってほしい」
老婆はそんなこと言われると思っていなかったのか目を丸くして、そのあと笑い始めた
「アハハ!それは良かったよじゃあお兄さんの期待に応えるためにちょっと現役時代みたい頑張ってみますかね」
そうおばあさんはさっきより明らかに生き生きとした表情で答えてくれた
「賢人もたまにはいいことを言うんだな」
「お兄ちゃんのいう事はいつもいいことですよ失言野郎」
俺は別にいいことを言ったつもりはない、ただあの店がまだ続きそうと思うと少しいい気分だ。
後日「1キロ、1キロ…」と落ち込みながらぶつぶつ言ってる唯を見かけた
4話書き終わりました。皆さんの言いたいことはわかります、結局カラオケはどこに行ったんだってことですよね、単純に思いつかなかったので放棄しましたすみません。今回は絶対に19割らへんでやるべきだったと後悔しています。話は変わりますがこれから週9投稿になるのでよろしくお願いします