【1】
初めての投稿なので右も左も分かりませんが、温かい目で見ていただけると嬉しいです!
――――ほんと母親そっくりね
生まれてきた命によくかけられる言葉。
それを素直に受け止めることができればどれほどよかっただろうか。
本来であれば喜ばしい言葉であろうが、リリアンヌ・プロセルピナに対しては侮辱の言葉でしかなか
った。
・・・
今日で5歳の誕生日を迎えたリリアンヌは、控えめに見ても美しい容姿に成長していた。
生まれ持った蒼い瞳は王家の血に由来するものらしい。その中でもリリアンヌの瞳はサファイアを思わせる、一際透き通った蒼であった。
甘やかなミルクティー色の髪も相まって、綺麗というよりはかわいらしい印象を受ける。
今日はリリアンヌの生誕祭が開かれるため、王城の中はとても慌ただしい。
かく言うリリアンヌも、パーティーの主役に相応しいように飾り付けられている最中であった。
「リリアンヌ様、もう少し腕を上げてください。」
「次は御髪のセットをさせて頂きます。」
侍女たちに着せ替え人形のごとく扱われるリリアンヌは、終始無言であった。
(どうせ着飾ったところで何も変わらないのに・・・)
ちょうど結い上げられているミルクティー色の髪を眺めながら、ため息をつく。
サラサラと視界の端を動くそれが、とても忌まわしく思える。
周りの大人の話を聴くには、リリアンヌの母親と同じ髪色だそうだ。
――――ほんとお母様そっくりの髪色ですわね
それが素直な誉め言葉ではないと気付いたのはいつだっただろうか。
――――見て、あの色。女狐そっくりよ。
――――あの悪女と同じだなんて・・・。見ているだけで恐ろしい。
どうやら私の母親はいわゆる‘悪女’だったらしい。
なんでも、実の姉である王妃様の婚約者であった現王に色目を使い、たぶらかしたのだとか。
ついでにその臣下の方々まで虜にしていたのだというから、質が悪い。
それからあれこれあって、現王と母の間に生まれたのが、このわたし。
母は派手な男遊びが露見し、現王に断罪されたようだ。
その際にわたしの父親であることを否定したようだが、皮肉にもこの蒼い瞳が王家の血筋であることを証明していた。