火の精霊の散歩①
「それじゃあ、そろそろ俺たちは行くよ。」
「またねー!」
別れの挨拶を簡単に告げられて、彼らは彼らの街に向かっていった。
別れてからから結構たった。周りは少し暗く、夕方って感じです。キャプテさんなんですけど、ひとまず今日は僕のことを報告するらしいです。多分殺されるって言われました。あまりにも現実味がなくて困ることもできません。うーん。
キャプテさん達と別れてから、時間はダラダラすぎて。気づけば夜です。全く眠たくないです。精霊だからですかね。
…どうしましょう。これから。いや、それよりも。僕は何がしたいんだろう。
─殺される。そう思っても、僕は恐怖を覚えなかった。嫌だとも思えなかった。現に僕は、ここから動いていない。本当に生き延びたいなら、何かしらの行動をしていたはず。例えば、彼らの進んだ反対に逃げるとか、キャプテさんに、死にたくないと訴えるとか。でも、一切の死に対した拒絶をしていない。これも精霊だからだろうか。
─きっと、僕は今困った顔をしてると思う。
このまま、僕がじっとしていたら。きっと誰かが僕を殺しにくるだろう。もし、キャプテさんたちの話が本当だったなら、そのうちね。
─本当に、どうでもいい命だと思ってしまったから。
少し、ほんの少しだけ。僕は悩んだ。死ぬか、死なないか。まあ、直ぐに答えは出た。本当にあっさり。躊躇いなく。だから、僕はそのまま、動かないことにした。多くの人々のために。
…3日たっただろうか。一向に誰も来ない。それどころか、動くものすら見てない。彼らのためと思ったけど、音沙汰無しです。さすがにそろそろ暇になってきました。いい加減来てくれないと、暇死にしそうです。
やっぱり、散歩します。3日待って来ないなら、いいですよ。きっと。キャプテさん達には少し悪いです…かね?よくよくは存在が迷惑みたいですし、そうでもないのでは。そう考えたら余計に留まる理由がないですね。死なないとダメでもない気がしてきました。
そうして、独自の感覚で動くと決めた僕は、結局彼らから遠ざかるように足を進め…いや、動いた。精霊は、浮遊できるらしいから、浮けたから、飛んで行った。果てしなさそうな砂漠を、なんの当てもなく。
どうせいつか死んでしまうでしょうし。もう少しこの世界をふらつきましょうかね。
そう思って、ずっと砂漠の中をスイスイ飛んでいた。もう2日くらい。まだまだ暇です。さすがに同じ景色じゃ飽きてきたし…何だか眠くなってきたような、意識が薄れていくような。
頭がボーッとします。結構な距離を休まず移動したからね。さすがに、精霊もこれだけ活動してればつかれるのかな…あ…
そのまま、僕は立ったまま意識の外へ言ってしまった。多分眠りについたんだと思います。無防備で、隙だらけだったろうに、死んでしまってもおかしくなかったのに。生きていた。運がいいのか、悪いのか、僕は生きていた。相変わらず白すぎて青みがかった肌が露になっている。つまり全裸。体を起こせた。軽く体を動かすことも出来た。その時、当然視界には周りの景色が映るわけです。一体なにがあったんですか、ねえ。
不思議なことに、次に僕が目を覚ましたのは枯れた大地だった。