砂漠の海賊団③
説明してくれるでしょう。そう思ってたら、そうでもないでした。
「聞くよりも見た方が早いでしょ?」
そう言って、キャプテさんは、1枚の紙を差し出す。
「これは、俺が君を【鑑定】した結果。センチョウから聞いたよ。君、自分がなんなのか分からないんだってね。」
キャプテさんは、センチョーの鞄から等身大の鏡を取り出し、それを持ってきて、僕の近くに置いた。
「これで姿を確認しなよ。気になるだろう?」
では、遠慮なく。とは思うものの、いざ見ると思うと何となく恐いけど見ました。
映っていたのは、少…女のようなスラッと体型の人でした。肌はうっすら青いけど。瞳も赤いし、幼いし。よくよく考えたら髪も長かったし、服着てないし。…関係ないか。誰です?それも、これを見れば分かります?僕は、貰った紙に目を通す。
名前、不明
種族、火精霊
マソ、並
スキル、なし
アビリティ、【火元素操作】【霧散】【知識】
キャラ、【反転化】
なるほど、僕は本当に精霊なんですね。所々見慣れない単語があるけど。よくわからないけど、分かりました。人ではない。ついでに波流でも無いことがわかりました。
もう一度鏡の中の自分を見つめる。どう見ても僕の知る僕じゃない。…生まれ変わってでもしたんですかね。それも、僕の知りもしない場所に。まあ、前世の記憶なんて、言うほど残ってませんけど。一人暮らししてたとか、ゲームが好きだとか。朝はパン派とか。毎日…充実してなかったとか、ね。
…嫌なことを、思い出してしまいました。
今となっては関係ないことです。きっと。そう願います。
「どうだい?君は満足出来たかい?」
僕は首を縦に振る。そしたら、「よかった」とキャプテさんは笑ってくれた。そうですね。よかったです、僕が分かって。
それはそうと、2人はまだ言い争ってますが、いいんですか?2人を指さして、キャプテさんへ首を傾げれば、キャプテさんは、どうしようもないというように、小さく頭を横に振った。全く、仲がいいですね。うらやま。
長く続いた口喧嘩は、見事センチョーを言いくるめたラケルさんが勝ちそうだったけど、何やかんやキャプテさんの仲介で引き分けに終わった。