はじめから始める
…僕は、目を開けた。体を起こす。どうやら眠っていたようだ。お日様が眩しい。死ぬ。ああ、心無しか体が焼けるように暑い。パチパチパチ聞こえるし。…
いや、ほんとに燃えてる?
おそらくだけど、今僕は燃えている。比喩とかではなく。背中が痛い。消さないと…。ああ、こんな所で死にたくない。体を地面に擦りつけ、鎮火を試みるも、火は消えない。ふむ、どうして消そう。勝手に消えてくれないかな。まあ、消えないけども。何やかんや。どんどん燃えているわけですけども。
「ちょ、ちょ、ちょー!!」
ん、助けが来たかな。
「レア発見だよリーダー!」
…レア?波流なんですが。
反論しようにも声が出ない。本当にそろそろ逝くのでは。
それにしても、よくはしってきましたね。走りにくそうなだぼだぼのローブ身につけてるのに。凄いですね助けてください。
「あれ、リーダー?」
明るく元気な声を上げて走ってきた女性は、そう言って後ろに振り向く。次に、辺りを見回す。そして溜息をつきこう言った。
「またみんな迷子?センチョウもいないし…」
まって、このまま放置される流れでは?走り去ってしまうのでは?気ままに。
…きっと、リーダーさんもセンチョウさんも苦労してるんですね。
「もう、しょうがないなぁ…!」
「待ってよーっと。」
彼女は、少し残念そうに言った。
でも、よかった。いい子です。で、なぜ?
くるりと顔をこちらに向けた女性はだんだん僕に近寄ってくる。あ、そうか助けてくれるんですね。平気な素振りしてますけど本当に熱いんです。痛いんです。でもその前に、手に持つ注射器のようなものは何ですか。それだけ教えてください。
「少し貰うね。」
注射器の針は、僕の腕に丁寧に刺されてしまった。
というわけで貰われました。熱源。そして青い体液。彼女はそれから、採取したものを調べるご様子です。
…どうやら僕は人間じゃないようです。青い体液なんて持ってなかったはずだですし。どこかの研究所の被検体にでもなってたんですかね。そういえば、辺りは砂だらけ。いわゆる砂漠らしいです。いや、それよりも。痛さ、もとい熱さがなくなってから、だいぶ落ち着いてきて、分かったことがあります。
1つ、ここはどこ。さっきも言ったように、ここは一面砂漠。もともと僕のいた国じゃない。ましてや家でもない。何故こんな所にいるのかすら分からないです。まあ、考えても仕方ないので…
2つ、僕は誰。何事もなければ、どこにでもいる人間でニート男の波流なんですけど、あれを見たらそうとも思えなくなってきた。
「んーマソ濃いなー。莫大な力…、育てたらドラゴンと張り合えるかも!」
ほんとに何者なんですかねぇ?