知らない箱の中
んー、あー眠い。
…眠い? いや、そうでも無い?
そんな、どうでもいいことを考えてから、はっとした。
「今何時?」
頭上にあるであろうデジタル目覚まし時計をつかんで、おもむろに顔の前に持ってくる。
その眼で見たのは、9:32。【余裕で遅刻】宣告された。
さすがにやばい。そう思って、上半身をグワッと起こす。
そこから、だったと思う。違和感を気付かされたのは。いつもの2畳しかない、狭くてもふもふの部屋なんてなく、その10倍はあるだろう。暖かな木目が清々しいくらい鬱陶しい。窓から刺す朝日も同罪だ。
床に足をつけ、「はぁ………」辺りを見回す。パッと見目立つものは無い。なんともない、よくある部屋だろう。クローゼット。「ふむ」、多彩な服が入っている。そしてその隣には、クローゼットと同じ位の高さのタンス。こちらも中身調べようと、真ん中の引き出しを引く。
するとどうだろう。
「開かないな、」
そうと分かれば真ん中にもう用はない。下段…も開かない。
…もう上段は「放置決定」かな。気が向いたら開けよ。開いてもこの身長じゃ中、見えないし。あと気になるのは…四隅。あと、ドアがないこと位かな。
「変なの」
さあ、調べて見ようか。四隅には、この部屋の雰囲気にそぐわない物が置いてある。単刀直入に、石像だ。見る限り石像だな。かなり(いい)石像だ。そしてこのかなり石像な物はすべて異なる形をしている。今調べている石像から右回りに、台座だけ、ハリボテドラゴン、明らかに崇めるべき神っぽいオッサン、確実に猫の入ったキメラ。
「ん、なんか当たった」
今後の展望を考えていたら、像の背面、つまり隅っこにおかしな突起が「そおい」あったので押した。
バキッバキッ
背後で卵の殻を割ったような音フェチ音がする。当然振り返る。
なるほど、石像が割れている音だった。音が止むと、そこには石像だったオッサンはもういなくなっていた。なに、悲しむことは無い。代わりに、後光の差している神のようなオッサン…
神がいた。当然崇めた。
「…」
どうしたのです神よ、わざわざ後光まで差して何しに来た。
「ま…」
何かを僕に伝えようとしている…なんだ、一思いに言ってください。あと、声思ってたより高いですね。ソプラノ歌手目指せまs
「マニュアルちゃんと読んだ?」
神は少し困ったような、怒ったような、伺う声で言った。