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相川加蓮(あいかわかれん)

セントリリー学園。

そこは男子禁制の学び舎にしてアイリス王国最大の魔法学園都市。生活、戦闘、依頼など将来冒険者、研究者になりたい人のための設備が整った場所。

ようこそ聖リリー学園へ。


カレンは一面真っ黒な場所で椅子に拘束された状態で趣味の悪いCMを見ていた。なぜここに居るのか、思い出そうとするが上手くいかない。

「私は相川加蓮あいかわかれん。高校二年生。血液型はA型で好きな食べ物はしらすともやし炒め。」

記憶を整理するために自分についてわかることを言ってみた。名前がわからなくなるということは無さそうなので良かった。

目の前のモニターはCMが終わった状態で一時停止している。

「誰かー!CM終わりましたよー!」

返事はない。

「おーーーい!!CM終わったよーーーーー!!!」

大声で叫んでも変わらなかった。

「何なんだよこれ。」

するとカレンの座っている椅子が前触れもなく地面へと消えた。目の前のモニタも同様に消えている。

「ホントなんなの?!」

カレンの目の前に白く発光する階段が出現した。

「もう驚かない。ここまで来たら何があっても驚かない。」

カレンは階段を上る。随分と高い位置まで階段があるが陸上部だったカレンにとってはそこまで苦労するものでもなかった。

階段を上がった場所は白く光る円形の床。中央には台座があった。台座には『ここに手をかざしてください』と書いてある。カレンは迷いながらも手をかざした。

すると

「ひゃん!」

台座から白いレーザー光線が出た。それはカレンの手を隅々までスキャンしている。

「ん・・・・・・くふっ。ははっ。」

レーザーは不快と快感を行ったり来たりしているような感覚があった。

「これっ・・・・・・くすぐったい。」

やがてスキャンが終わった。カレンは息を整えながら結果を待つ。一体何が起こるのか。

「はぁ。」

台座の上にパネルが表示された。そこにはカレンの基本的な情報が正確に書いてあった。

身長、体重、年齢、血液型、その他体に関することは全て。下の方へスクロールすると『承認』と書かれているボタンを見つけたので押した。次はゲームのパラメーターがでてきた。

「ストレングスとかバイタリティとかある。」

スキルという項目も気になるが無視して『承認』した。

台座が発行したかと思うと椅子の例に習って地面へと消えた。

「これなんかのテスト?夢?」

頬をつねったが痛い。残念ながら現実のようだ。

今度は突然木製の扉が現れた。モダンな雰囲気のある扉だった。

「今度は扉に入れって?」

文句を言いながらも選択肢はそれしかない。カレンは扉を開け中に入った。



そこはさっきCMで見た場所だった。聖リリー学園の校舎の入ってすぐの広間だ。通常の学校なら下駄箱がある場所だがこの校舎は土足でいいらしい。

モダンな扉を開けたからか全体的に木製のものが多い。

ボロいという訳では無い。

「なんで私がここに?」

「それは選ばれたからよ。」

「うわぁぁぁぁぁ!!」

不意にカレンの後ろから誰かが耳元に話しかけてきた。

後ずさりながら振り向くと白衣を着たメガネの人がいた。恐らく教師だとかれんは思った。

「うふふ。そんなに驚くなんて可愛いわね。」

人生で可愛いと言われたのは初めてだ。基本かっこいいとしか言われなかったからだ。ずっと言われてみたかったはずなのに、嬉しさより怖気が強かった。

「あはは。アリガトウゴザイマス。それでは。」

これ以上この人と話すとなにか危ない。そう思い逃げようとしたら

「逃げてもいいけど、どこに行くの?」

カレンの動きがピタッと止まる。

「お利口さんね。じゃ案内するわ。付いてきて。」

カレンは身の危険を感じながらも付いて行った。死刑囚の気分だった。目の前を行く女の人は一旦立ちどまりこちらを振り返ったあと

「私の名前はカトリーヌよ。カトリーヌ先生と呼んでね。」

と言った。



保健室と思われる部屋に着いた時にカトリーヌが言った。

「じゃ服を脱いでちょうだい。」

カレンは付いてきたことを後悔した。

「脱ぐって・・・・・・何故。」

カトリーヌは口に手を当て考えるような仕草をした後

「体内の魔力量を測るのよ。」

と言った。

「魔力?」

「こっちきたばかりだものね。その辺の説明はするわ。」

どうやらカトリーヌはカレンがどこから来たか分かるらしい。事情を知ってそうな人がいるのはいいことだ。

「それじゃ長話の前に服を脱いでちょうだい。下着は付けてていいわよ。」

「普通、話が終わったあとに脱ぎません?」

「いいじゃない女同士。裸の付き合いしましょ。」

「・・・・・・」

「もしかして、私も脱いだ方がいい?」

「やめてください。」



結局カレンは服を脱がされてしまった。

裸でも寒くならないよう部屋は適温だが恥ずかしさからか顔は赤かった。

「うふふ。いいわ。若いっていい!」

「・・・・・・あの。早く話を。」

「ごめんなさいね。」

カトリーヌはひと息ついた後話し始めた。

「まず最初にここは異世界よ。色々なものが元の世界とは違うわ。」

それはカレンも思っていた。校舎を歩いている時に見たことない生物や空を飛ぶ本とかを見た。

「それから魔力ね。魔力は元の世界でもあるみたいなの。必要ないから出てこないだけ。逆にこっちの世界では魔力が必要だからこの部屋の設備を使って最大量を調べるの。」

魔力量によって使える魔法や威力が変わるらしい。

「この学園の事は私もわからない部分が多いのだけど1つ言えるとしたらあなたは錬金科に所属することになるわ。」

「錬金科?」

「錬金術を習う場所よ。別に鋼の体になったりはしないから安心して。」

そう言いながら聖リリー学園案内なる本を渡してきた。でかい!そして重い!

「それじゃ魔力量を測りましょ。でもその前に。」

カトリーヌの姿が消えた。そして

「きゃ!」

カトリーヌが背後にいた。後ずさるカレンの体を引き寄せた。

「あの。何を?」

「あなたって身長も大きいけどそれだけじゃ無いわよね。羨ましいわ。」

「やめてください。コンプレックスなんです。」

カレンは胸もお尻も平均と比べれば大きい。そのせいで色々あり軽度の男性恐怖症になっている。

カトリーヌはカレンの腕やお腹、足に何か貼っている。

「これは?」

「それは魔刻印の軽量版。まあそのままじっとしてれば魔力量を測ってくれるのよ。」



カレンの魔力量はランク5。桁外れだと言われた。だから何がどうという訳でもないが。

「まあ魔力量は鍛えていくうちに上がってくるしランク5でも上は多いから慢心しないこと。」

「はーい。」

「カレンさんはスカートから履くのね。」

「眺めないでくださいよ。」

するとその時

「すみません。課題のプリン・・・・・・」

金髪で青い目の女の子が保健室に入ってきた。今カレンは上裸。なんか変な誤解を受けかねない。

「ト・・・。」

「ど、どうも。」

「す、すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!」

カレンが挨拶すると女の子は赤面しながら出ていってしまった。

「やらかした・・・・・・。私の学園生活終わった。でも会わないようにすれば!」

「彼女はアリス。あなたと同じ錬金科よ。」

「終わったぁぁぁぁぁ一!!!」



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