1+2 合流?
くそっ……20分遅れたっ……
足取りがふらつきながらも敬は轟音鳴り響く住宅の中を走る。途中で、人の狂気じみた笑い声や助けを求める声、親が動かなくなり泣き叫ぶ赤子。このどれもが、今起きていることが現実であると告げていた。
しかし今は見知らぬ人のことを考えている余裕などなく、友が無事であることを祈るしかなった。
翔の家に着くが、インターフォンへの反応がなく玄関が開いていた。中を覗いてみると翔の母親が見えた。が普通に生活しているようだった。
「すいません!お母さん!聞こえますか!?」
「あ、こんにちはー翔ー敬君来たよー」
しかし焦らない様子は両親と何も変わらなかった。ただメンタルが強いだけでは済まされないほど落ち着いていたし、動くことができていたので、自分の両親とは違いこんなこともあるのかと不思議に思った。少し待っていると翔が歩いて家の中から出てきた。
「敬!よく来たな。優と凛花も来てるけど優がおかしなこと言ってるんだよ。まあ、中に入って。」
軽く会釈をした後、翔の部屋に入っていくと優が凛花の前に座っている様子が目に入った。
「―――――――――――」
泣いてから時間がたっているのだろうか、落ち着いて呼吸しており、言葉を発さずに目から涙を流してた。いや、流せていた。
「優、どうした?翔から聞いたがおかしなことってなんだ?」
敬が声をかけながら優の体を揺さぶっても答える様子はない。
「ほら、音がどうだの言ってから―――――
「翔!そのことを何で早く言わなかった!優、お前も音が聞こえるのか?」
優が敬の方を見ると同時に目に光が宿る。
「敬にもこの音が聞こえるの?本当に?」
「本当だ。家族は?ここまで一人で来たのか?」
優が黙り込んでしまう。状況が理解できない翔と動かない凛花を置いて、再びあの轟音が鳴り響く。
この作品はこんな感じで短いのと、重要パートの長編があります。