闇に微笑む愛
愛している。
高校で初めてであったあなたはとても優しかった。
高校で初めてであったあなたはとても楽しかった。
高校で初めてであったあなたはとても素敵だった。
あなたはいつも私のことを大好きだと言ってくれた。
あなたは卒業するまで私を大好きだと言ってくれた。
私はそれがとても嬉しかった。
私はそれがとても愛おしかった。
だけど同時に、とても恥ずかしかった。
みんなの前で堂々と大好きと告げるあなたがとても眩しかった。
私はこんなに惨めなのに。
私はこんなに不釣り合いなのに。
どうしてあなたがその言葉を言い続けるのか理解出来なかった。
そしてそれは、呪いとなった。
高校を卒業して、あなたと会うことができなくなって、私は思い知らされてしまった。
私はあなたに恋をしていた。
会いたくて会いたくて仕方がない。
声を聞きたくて抱きしめたくて仕方がない。
あなたに触れられないのがこんなに苦しいだなんて知らなかった。
あなたがいないことがこんなに苦しいだなんて知りたくなかった。
だから私は、次に会えたときに必ず伝えようと心に決めた。
卒業してから2年目の夏、懐かしいあなたの左手の薬指には、幸せの象徴が微笑んでいた。
私は喜び、そして絶望した。
恨んだ。憎んだ。
何度も告げられた言葉に答えられなかった自分を。
気づいたときにはすべてが遅すぎた自分を。
なにより、
それでもなお私のことが大好きだと告げるあなたが、何よりも憎らしかった。
私の気も知らないで。
私の苦しみも知らないで。
どうしてあなたはその言葉を口にできる。
どうしてあなたはその呪いを口にできる。
私はあなたを愛している。
この世の誰より愛している。
たとえ輝かしい未来を奪おうと、必ずあなたを手に入れる。
歪みきった心に、静かに私は微笑んだ。