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転生先が少女漫画の白豚令嬢だった  作者: 桜あげは 
18歳

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241/259

241:除虫菊とハーブティー

 リカルドから指摘されて、一旦は婚約と言い出すのを止めた母。やはり、血のつながりがある私からではなく、赤の他人のリカルドから言ったのが功を奏したらしい。

 しかし、アクセルの出方次第ですぐ、「ヴァンベルガー侯爵と婚約なさい」が、再発しそうではあった。なんとか、対策しておきたいところである。


(そうだ、メリル殿下は嫁ぎ先の西の国について勉強中。私が知らない情報を得ているかもしれない)


 私は城にいるメリルに連絡を取り、彼女と会うことにした。

 ゴキブリ騒動から数日、城の中は大量の薬草が焚かれたらしく、至るところが煙たい。

 リリーは大変な事件を起こしてしまったみたいだ。


「げほっ、げほげほっ!」


 窓は開いているけれど、まだまだ匂いが残っている。

 ドレスの裾を掴んだ私は、軽やかに階段を駆け上がった。日に日に体が軽くなっていくけれど、心の負担は少ない。

 

 今回のダイエットが、過去のように厳しく辛くないのは、きっとリカルドのおかげだ。

 彼は私が苦しまないように、心の負担を減らす工夫を凝らしてくれている。

 がむしゃらに痩せようと足掻くのではなく、無理なく心にも気を配りながら……というのがリカルドのやり方なのだ。

 ダイエットにも、人によって合う合わないがある。彼は私に適した方法を模索して、実践した。

 ドレスの採寸は二ヶ月後。結婚式は半年後。いい調子である。


 メリルはアンジェラのあとを引き継ぐ形で、毒草畑の管理をしている。

 ゴキブリ騒動を解決した除虫菊は、メリルが育てた植物なのだとか。

 指定された部屋に入ると、メリルとリリーが揃って私を出迎えた。仲のよさそうな二人の様子を見てホッと息を吐く。

 リリーは、令嬢の友人がゼロだった私を最初に受け入れてくれた心優しい子だ。メリルとも上手くやっているらしい。


「本日は、お時間を取ってくださりありがとうございます」


 挨拶を済ませ、美少女空間にお邪魔する。うーん、異物感。


「ブリトニー、ちょうど、あなたとゆっくりお話ししたかったの。リリーもいるし、三人でお茶にしましょう」


 そう言って、動き出すメリル。


「ちょ、ちょっと待ってください。メリル殿下自らお茶を淹れてくださるのですか?」


 慌てる私に向け、メリルは「気にしないで」と微笑んだ。

 

「リリーのお茶は、やばいのよ」

「あらあら、殿下ってば。嫌ですわ、私のお茶のどこがやばいのです?」

「埃が浮いていたり、薄かったり濃かったりするところね。でも、神経質じゃないのが、リリーのよい部分だわ」


 勝手知ったる動きで、機嫌良くお茶を淹れるメリル。


(そこは、メイドさんに頼むとか……いや、自分でやった方が早いと思ったんだろうな。余計な口は挟まないでおこう)

 

「お兄様の畑から適当にもらってきたハーブティーよ。どうぞ」

「……いただきます」


 おおらかな者同士、メリルとリリーは気が合いそうだ。

 

「おいしいです」

「本当? 嬉しいわ! 昔から、お茶を淹れるのは得意だったのよ」


 メリルやリリーと和やかにお茶を楽しむ。


「そういえば、メリル様。グレイソン殿下とは、最近どうなんです?」


 噂では、関係は良好だと耳にしている。その上での質問だ。

 メリルはうっすら頬を染め、横からリリーが身を乗り出す。


「聞いてください、ブリトニー様! お二人はとても仲睦まじいのですわ! 実は西の国では強い女性が好まれるとのこと。グレイソン殿下は剣術が得意だそうで、メリル様も剣の知識がおありですし、お話もしやすいみたいですよ」


 モジモジと落ち着きのないメリルに代わって、リリーが質問に答えてくれた。


「それは、よかったですね」


 以前会ったときと同じなら、メリルはグレイソンを気に入っている。

 このまま二人が上手くいけばいいなと願う私だった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もうやだ、リリーのイメージがー!天使みたいな美少女から不潔なイメージに変わってきた…
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