最高の一瞬
一回間違って消してしまったーーー汗
よって、かなり端折りました
「……驚いたな。 これは俺が青に書かせたかった内容だ。 これならいける」
「っしゃ! あざっす!」
俺はチーフの許可をもらって早速青さんにペン入れのお願いをした。
夜の12時。
チーフこと泉は、自宅のソファで最終ネームチェックを行っていた。
全6作品。
数が多いため、内容は自分が考え、絵は漫画家、というスタイルをいつの間にか確立していた。
「しかし、木下のやつ…… どうやって青を説得したんだ」
泉は考えていた。
作家のポテンシャルを超える内容はできるだけ外して考えてきた。
特に青はバトルが書けない。
人気を取るためには必須だが、そこまで教育しているヒマはなかった。
泉にももちろん理想はあった。
編集と作家が協力して、作家の出せる以上のものを仕上げることだ。
しかし、それにはエネルギーがいるし、無理をさせ過ぎることで作家をつぶすことにもなりかねない。
編集は作家の寿命を延ばしてナンボ。
そう割り切っていたが、新人の木下にしてやられた感はぬぐえなかった。
俺は翌朝から青さんの家に泊まり込みで、手伝いをした。
肝心のカンフーシーンは頭の中では書けないから、俺を呼んだのだ。
2日間ぶっ通しでペン入れ作業。
俺が寝ている間も、アシスタントと青さんは死にもの狂いで漫画を仕上げた。
そして、とうとうできた。
「おおおおおおおおおっ」
俺は叫び声を上げた。
一緒に考えた内容が、掲載される形で仕上がっている。
「このシーン、めっちゃかっこいいっす!」
キョンシー四天王の登場シーン。
そして、仲間の初カンフーシーン!
熱量を保ったまま、次週へ続く。
この回のネットでの評価は「3」
そして、次の週は「4」を取った。
社内でもみんな驚いていた。
だが、最後の週で一番驚くことになるだろう。
すでに内容は考えてあるし、一番自信がある。
絶対に「5」だ!
あれから半年。
たまに印刷工場の時の仲間から連絡が入る。
「まだ続いてんのか?」
とか、冷やかしが多いが。
目くるめく日々。
今は連載を2つかけもっている。
作家は気難しい人もいて、結構大変だ。
前のぬるい仕事が懐かしくなる時もあるし、うまくいかない時はすげえへこむ。
これで正しかったのか?
でも、そんなものを吹き飛ばす一瞬があるからこそ、俺は今日も頑張れる。
終わり




