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ネーム

俺は急いで青さんのいる病室に向かった。


「えーと…… ここかっ」


扉にある名札を確認して、中を伺うと包帯を頭に巻いた青さんがいた。

こんな状態だがネームを書いている。


「先日はすみませんでしたっ!」


俺は勢いよく頭を下げた。


「……おお! 木下さんか。 今、ネームを仕上げてるところです。 もう少しなんで待っててください」


俺は大人しく待っていた。

こんなことをしてしまった手前、内容に関してダメ出しできる自信はなかった。

まあ、内容に文句が無ければ問題ないのだが。


数分後、ネームが完成した。


「拝見します……」


内容は、4つの守護者が外で敵を待っていると、マンホールから誰かが現れた。

それは敵の親玉で、守護者の裏をついて下水からやって来たのだった。

しかし、そこにある人物が現れる。

主人公の父親だった。

帰って来たぜ、と言ってマンホールに敵の親玉を蹴り落として、フタをして終わり。


「……どうでしょう?」


ま、待て。

こんなラストでいいのか?

終わりよければすべてよしという言葉があるように、途中がめちゃめちゃでも最後が盛り上がれば、その作品はまあまあの評価を得ることができるはずだ。

それなのに……


「な、なるほど……」


書き直せ!

と喉元まで言葉がせり上がるも、殴ってけがをさせてしまった手前、言いにくい。

クソ、言いたい。

言いたい言いたい言いたい言いたい!


「オッケーです!」


「良かったぁ~。 じゃあ、これでペン入れして、何とか明後日までには提出します」


「んなわけあるかあああああっ」


俺は我慢できずにキレた。


「何でラスボスと戦うのが親父なんですかっ! 兄弟の今までやったことは何だったんっすか! それなら親父とラスボスを戦わせて、親父が負けるって展開にした方が盛り上がんないっすか? 下水なんてセコイ手使わなくても、四天王でもなんでも出して門から攻めてきてくださいよっ ……はあ、はあ」


一気にまくし立てて、青さんはキョトンとしてしまった。


「はあ、そっちの方が面白いですかねぇ? でも、バトルが書けないんですよねぇ」


……そういうことか。

カンフーをさける展開ってわけか。

またしても俺は火がついてしまった。


「次も仕事欲しくないんですか? 漫画家やっていきたいんですよね? だったら戦闘シーンは不可欠でしょ! ここで頑張って書いて、最後に人気取りましょうよ! 3週あればどうにでもなりますって! ……ぜえ、ぜえ」


結局話し合った末、このように内容に変更が加えられた。


守護者が門を守るまでは同じ。

そこに攻めてくるのは、キョンシー四天王。 

守護者のそれぞれのバトルが展開される中、最強のキョンシーが主人公のもとに来る。

「こんな時に親父がいれば……」と主人公がつぶやくと、敵は不敵に笑う。

そして、親父は俺が殺した、と爆弾発言。

戦意を失った主人公は敵の潜入を許してしまう。

しかし、兄弟に励まされ、再度戦う決意をする。


「だいぶマシになったと思いますね」


ネームを読んで、俺は少し感動した。

カンフーシーンは俺がモデルになってレクチャーしたため、イメージが沸いてきたとのことだ。


「次週は主人公とラスボスのバトル、そして、ラスボスを倒す必殺技を考えましょう」


「ひ、必殺技ですか?」


そうだ。

どんな人気バトル漫画も、必ず必殺技がある。


「青さんも意識してか知らないですけど、出してるじゃないですか。 気功って必殺技を」


「ああ、気功ね」


ああ、じゃないだろっ。

絶対使った方が良い。


「でもなぁ~。 気功はキョンシーには効かないですよね?」


「……!」


確かにそうだ。

気はあくまで生きてる人間にあるもので、その流れを乱すのが気による攻撃だ。

だけどこの人、気功を変な使い方してたよな?


「そう言えば、なんかショベルカー出してなかったすか? あれ、気功で操ってたんですよね?」


「そうそう、よく読んでますね! アレはアンケートでも、ギリギリセーフって意見が多かったんです」


そ、そうなのか。

読者的にもオッケーならこの応用が必殺技になり得るのではないか?


「照明消したりとかできないすか? それで、最後は3兄弟でとどめのキック! とか」


「あー、それ僕も考えました。 読者的にそんなしょぼい必殺技でいいのなら」


「青さん、必殺にもパターンがあって、全く新しい必殺技を使うのと、今まで使ってたしょぼい部類に入る技を工夫して必殺にするのとがあるんですよ」


「おお、そーなんだ」


こうして、最終話の目玉も決まった。

俺は仕上がったネームを会社に持って帰り、チーフのチェックを待つこととなった。


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