「推理作家ポーの最期の5日間」 「 ヴァージニア」 ポオの最新映画化作品への極私的なレビュー
エドガーアランポーの作品の映画化は
昔から結構たくさんあるが
古くはジャン・エプスタインの「アッシャー家の崩壊」とか、
またロジャー・コーマンの一連のポーの映画化は知られていますね。
たくさん映画化しましたね。コーマンは。
コーマン作品はそれはそれで魅惑的?なのですが?
まあ、、、いかにも古臭い?という印象は今となっては否めないでしょうね?
さて今回取り上げるのは最新のポオ映画化作品の2作です。
「推理作家ポーの最後の5日間」 原題ザ・レイバン(大鴉)
2012年公開のアメリカ映画、監督は、ジェームズ・マクティーグ
内容は史実とフィクションの絡み合った
謎解きミステリーです。1849年、
40歳でボルチモアの酒場で泥酔状態で、亡くなったポーの死の真相はいまだ不明ですが、
これは大胆な仮説?によるポーの死の真相を解明?してるわけですね。
ところで、、
アメリカ文学と聞くと
マークトエインとか、
風と共に去りぬとか
そんな健康的な?イメージですよね?
でも実はアメリカ文学って結構ダークなんですよ?
創始期のアメリカ文学を代表する
緋文字とか。七破風の家などを書いた
ナサニエルホーソンなど
も、これはまさにゴシックホラーそのもの、ですものね?
ハーマンメルヴィルだって
近親相姦とか、
暗い?小説ばっかりでしょ?
まあとはいえ
ポーほどの陰惨さはないでしょうが
確かにポーは生まれる場所をまちがったとしか言えないのでしょうね。
その作品内容からして
18~19世紀フランスなどがぴったり?でしょう?
だからというわけでもないでしょうが
あの退廃と陰鬱の大家?ボードレールに熱狂的に
迎えられたのでしょう?
彼はポーに心酔するあまり
全作品をフランス語に翻訳して出版してるくらいですからね、。
さて本題に戻ります。
この作品「推理作家ポーの最後の5日間」では
ポーの代表作が巧みに殺人事件の謎とコラボ?というか、アレンジされています。
モルグ街の殺人事件。マリーロジェの謎。振子と陥穽、アナベルリー。
大鴉。(これがこの映画の原題です)
早すぎた埋葬、アモンチラドの樽、 ヴァルデマール氏の病気の真相。
告げ口心臓。
ポー好きにはたまらないですよね?
これらの作品を知っていれば
より一層楽しめる?という
作品ですから。
ポーの映画化作品の中でも結構出来は良い部類?ではないでしょうか。
前置きが長すぎました。さて、あらすじは、、
1849年、ボルチモアの、とあるアパートで殺人事件が、、、、警官が駆けつけると、
凄惨な死体の状態、しかも鍵が、中からかけられていて、犯人がどこから入ったのかわからない。
それを皮切りに次ぎ次ぎと連続猟奇殺人事件が、、続発、
警察は混乱を極めます。
が❓
それらの事件の唯一の共通点があったのです。
それはポオの作品通りの殺人事件。
つまり小説の模倣犯だったのです。
当然ポオ自身が疑われるのですがもちろんポオ(ジョンキューザック)には、完全なるアリバイがあります。
で、警察はポオに協力して謎解きしてくれないか、と依頼する
果たしてポオは推理を効かせて、これらの猟奇殺人事件を果たして解決できるのか?
そしてポオの謎の死の真相は?
この映画相当、グロイ場面が連続ですので
好悪が分かれるとは思いますが、わたしてきには、好きな、、というかおすすめ映画ですね。
「 ヴァージニア」 原題 twixt 2011年製作
フランシスフォードコッポラ監督の耽美?ホラー映画。ポーへのインスパイアー?
この映画、、直接ポオの作品の映画化というわけではないですが、、ポオが登場します。
さてあらすじは、、、
売れない三流オカルト作家 (ヴァル・キルマー)が
自分の本の販促のため地方の書店周りを、、つまり、どさ廻りしています。
その本は「ウイッチハンター」という
いかにもそれらしい3流?オカルト小説。
田舎町の売れなさそうな?本屋でサイン会をしてると、そこに、ねじのいかれた?町の老保安官が来る、
そして「あんた推理作家なんだろう?じゃあ、死体を見てくれないか?」という。
なんでも胸に杭を打ち込まれた少女の死体が発見されて保安官事務所にあるというのだ。
ところで、、
その町、、、ひなびた「スワンバレー」は
かって、12人の子供が殺された
猟奇事件の町でもあった。その事件とは?
狂信的な潔癖主義の?カルト牧師が
身寄りのない子供たちを12人引き取り育てていたが
彼の考えは
「子供たちが、やがて悪に染まるくらいなら、清いまま殺したほうがためになる」という恐ろしい考えだった。
毎日子供たちにとなえさせる
お題目は、、、、、
「悪いことは見てはいけません」これを毎日毎日、何度でも、となえさせる。
そしてある日とうとう
カルト牧師の凶行が始まった。ちょっとした子供のささいな非行を深刻に受け止めたこの牧師は、
毒入りレモネードを飲まして、、清いうちに、世間の悪に染まらないうちに、、
なんと、12人全員殺してしまったのだ、、、。そして、、牧師も当然自殺。
それから、、、
月日はたち、例の三流作家がこの町に来て、、泊まったホテルで夢を、悪夢を見る。
そこにはヴァージニアと名乗る亡霊少女と、そしてポオ自身が登場します。
それはまさにその牧師の凶行の夢、、。
夢の中のポオの意味とは?ポオの役割とは。
さてこれからどうなるのか?
心にトラウマを抱えた三流オカルト作家は事件を解決できるのか?
(この作家。自分の不注意で娘を亡くしています)
そして少しオカシイ?老保安官はいったい?
夢に登場するエドガーアランポーは?
そして、、ヴァージニアと名乗る亡霊少女は ?
もちろんこのヴァージニア、、、ポオの処女妻ヴァージニアに由来してることは言うまでもありませんね。
コッポラといえば
「ヒューマンキャッチャー」「ジーパーズクリーチャーズ」とかのグロホラー。、
「ドラキュラ」などのホラー映画も作っていますよね。
それらの中ではこれが、、本作が一番出来が良い?と
私的にはお勧めしますよ。
というのも夢の中に、ポーが出てくるのもその主因ですがね。
ポーが出てこなかったらすすめませんよ。
コッポラ映画数ある中でもこれはわたしてきにはベストな作品ですね。
「ドラキュラ」にはがっかりしましたが「 ヴァージニア」は
亡霊少女役のエル・ファニングの魅力とともに最高でした。