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緑~引き裂くもの




そして、龍之介は煉夏に抱きしめられたままそのまま気を失った。


「龍之介!!」


煉夏は気を失った龍之介を布団に寝かせ龍之介の部屋を出ていった。

外に出ると携帯を取り出し誰かに電話し始めた。


「有り得ないわあの女・・・・・・」

煉夏は電話を耳に添えながらもう一方の手の爪をカリカリと噛みいらいらを抑えていた。



「はいもしもし?どうしたんだ・・・煉夏?」

「優介?事態が悪化したわ」

電話の相手は優介だった。

優介は珍しく焦る煉夏の口調に尋常ではないことが起きようとしていることだけは感じ取っていた。


「どういうことだ?」

「緑子が龍に何か変なこと吹き込んだみたい・・・・」

「それで?」

「龍が倒れた・・・・・」

その言葉に優介は自分が思っていたのと予想もしない言葉が帰ってきたことに驚いた。



「た・・・・・倒れた?」

「そうよ。だから優介、龍の傍にいてあげて私は緑子の所に殴り込みに行くから・・・・」

そう言い煉夏との電話は途切れた。



「おい!!ちょっと!?煉夏!!」

優介は突然切れた煉夏との電話に携帯に向かって叫んだ。

が、もちろん呼びかけなど来るはずなく力が抜けたように腕を下ろすと、優介はとりあえず煉夏に言われたので龍之介の元に向かう事にした。








その頃煉夏は龍之介の大学の門の前にいた。




「ここに緑子がいるのね・・・・・・」




すると、先ほど優介の家の前で出会った太田原が煉夏に近づいてきた。


「あー!さっきの人ではないですかお美しい!!」

「ど・・・・どうも・・・・」

「どうしたのですか?龍之介ならいませんが用事なら僕が案内いたしますよ!!」


その言葉に煉夏が反応し大田原にお願いした。

「それじゃ、お言葉に甘えて連れて行って欲しい場所があるのだけど・・・・・」

「ど!どこでしょうか?!」

「柳緑子の研究室に連れて行ってくれないかしら?」

「へ?なぜ鬼人のところに・・・・・」

「(鬼人って・・・・・相変わらずね)少し、野暮用よ・・・・・」

そう言うと大田原は煉夏を理由を聞かず道案内した。

すると、緑一色の扉の目で太田原は止まって煉夏に言った。



「ここが鬼人・柳緑子の研究室通称【緑の部屋】ですよ」

「相変わらずファッションセンスがない女・・・・・・・」



すると、その緑の扉がものすごい勢いで開いた。

「誰がファッションセンスがないですって?」



そこにはカンカンに怒った緑子が仁王立ちしていた。

「久しいね、緑子・・・・」

「【様】だろ?何呼び捨てにしてんだてめぇ・・・・・」

「いつからそんなに偉くなったの?私があんたに様なんて付けるはずないじゃない・・・・・」



すると、歯ぎしりを立てながら緑子はドアの傍に立つ太田原に帰るよう伝え煉夏と2人で話すことにした。




「で?何の用?面白くもないことで研究の邪魔だけはしないでよね」

「チッ・・・。全く相変わらず可愛げのない女・・・・」




そう言いながら内ポケットからタバコを取り出しタバコに火をつけた。

すると、緑子はすかさずタバコを取り上げ煉夏の目の前でタバコを床に踏みつけながら煉夏に言った。

「悪かったわね、可愛げがなくって・・・・・でもあんたたちみたいに裏表のある陰険野郎じゃないのでご安心を・・・・・・!!」




そう言いながら煉夏と緑子は睨み合い途方もない話し合いの幕を開けた。








緑子の研究室でそんな激戦が行われようとしている中優介は龍之介の家にたどり着いていた。



「龍・・・・・・・」



そう呟きながら部屋の扉を開き龍之介が眠る布団の傍まで行くとそこには気を失ったままずっと眠る龍之介の姿が見えた。

「龍ちゃん・・・・・どうして・・・・・」




そう言いながら龍之介の手を握ると龍之介は寝言を言い始めた。

「俺が・・・・・いなければ・・・・・優香は・・・・・」

「龍ちゃん・・・・そんなこと・・・・・」

「俺がいなければ誰も苦しむことはないのに・・・・・・・」





その言葉を聞いた瞬間、優介は口を押さえながら泣きそうになっていた。

そして、龍之介の手を握り優介は泣きながら自分の思っていることを寝ている龍之介に向かってぶつけた。













「龍ちゃんがいなくちゃ・・・龍ちゃんがいてくれなくちゃ僕はここにいないのに・・・・それでも龍ちゃんはいなければよかったなんていうの・・・・・・・・?」











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