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答~変わらないで・・・・・




龍之介はいつものあの人のところに連れてこられていた・・・・・・。


【いつものあの人】とはこの「角枝大学」でとても有名でどんな細かく小さいことから大きく範囲の広いものまでルールに厳しい先輩がいて実質ここの教授や校長達にも恐れられているぐらいの強者だ。

そこを皆は『緑の部屋』と呼んでいたその理由はいつものあの人が扉を開けたあとに分かるだろう・・・・・・。

そう、心のどこかで龍之介は第三者の誰かに説明し扉の前に立つと大きな音を立てて扉が開いた。


(バァン!!)


「よく来れたな・・・・・龍。」

そこには仁王立ちした白衣を着た女の人がたっていた。

龍之介は手を顔の前で振りながらだるそうにその女に話していた。

「いや来なきゃダメなんでしょ?」

「まぁーそうなんだがな・・・あっ!太田原くんもう帰っていいよー」

そう言われ龍之介を連れてきた太田原先輩は龍之介に変なアイコンタクトを送りニヤニヤしながら立ち去った。

すると、白衣を着た女は部屋の扉を頑丈に閉めた。

そこは、白衣を着た女が育てている植物と言えるのかわからないものがウヨウヨいた。

すると、龍之介は椅子に腰掛け気軽に女に話しかけた。


「で?何?ねーちゃん」

「ねーちゃんじゃないわよ!「緑子さん」って呼びなさいよーいい加減!!私はあんたの肉親じゃないんだし・・・・・」

その女は龍之介が小さい頃から知っている近所のお姉さんだったが、昔はこんなにルールになんか厳しくはなかったはずなのに龍之介の親が消えてしまってからだった・・・・・・・。


「あんたねー大学来ないってどういうことよ?」

「相変わらずだねーねーちゃん趣味悪いなー」

「ねぇ?聞いてるの?」

すると、龍之介は部屋にある緑子の研究している植物を触りながら優香のことを話した。


「ねぇちゃん・・・・・優香と煉夏が帰ってきたんだ・・・・・・。」

「それは良かったじゃない!!」

「良くない!!」

龍之介は声を荒らげ先程まで触っていた植物を叩き払った。

緑子は両手を広げ龍之介の行動に不思議そうに頭を抱え龍之介に近づいてきた。


「なんで?なんでよ・・・・帰ってきて欲しいって言ってたじゃない」

「こんな形で帰ってきて欲しいなんて俺は願ってない!!」

龍之介は床にしゃがみこみ込んだ。

緑子は龍之介と同じ視線になろうと緑子もしゃがみ込んだ。


「こんな形?」

「優香と煉夏が性転換して帰ってきた・・・・・・・」

「性転換・・・・・・大胆ね」

「大胆どころじゃないよ・・・・・」

「でもこれはあなたに原因があるわよ?龍之介・・・・・」

そう緑子から言われ龍之介は思い当たりがなかった。


「多分あなたは無意識でしょうけど・・・こんなこと聞かれなかった?」

「何?」

「気持ちのこととか・・・・・」

「あっ・・・・」

その事には龍之介は心当たりがありしかもそのことで優香を怒らせていた。


「やっぱり・・・・」

「さすが、大学院生のねーちゃんだけあるー」

「おっほん!」

緑子は胸を張り誇らしく咳払いをした。


「で?理由は何なんだよー」

「あんたまだわからないの?」

「は?」

龍之介は複雑な顔をし緑子のほう向いた。

すると、緑子は龍之介が座る椅子の背もたれに両手をバンッと置き激しく訴えかけるように龍之介に問いただした。


「鈍感にも程があるわよ?優香と煉夏はあんたに「恋」してるのよ」

「恋?」

「そう、恋よ。もうあんたも20でしょ?ならその脳でわかるはずよねこれがどれだけ深刻かぐらい」

緑子に龍之介は言われると龍之介は黙った。


「・・・・・・・」

「ひとりの人間が性別を変えるぐらい悩んでるのよ?」

「・・・・・・・恋」

「答えを出しなさいよ?」

緑子は黙りこくる龍之介に腹が立ちながらも声を荒げず冷静に答えを出すことを勧めた。


「答え?」

龍之介は緑子の顔を見ながら不思議そうな顔をした。


「出さないつもり?出さないとあの子達は永遠に報われないわよ?」

「俺は今の関係が・・・・・・」

緑子は龍之介の座る向かいの椅子に腰かけ龍之介を指差しながら龍之介の選択を指摘した。


「甘い!!」

「はっ?」

龍之介は少しキレ気味で緑子の顔の方を見た。


「もうその幼なじみの関係は潰れかけているの・・・・ならば、答えをあなたは出さなければいけないのわかる?龍之介・・・・」

「でも・・・・」

龍之介は椅子の上であぐらを組みながら自分の足を見つめるように下を向いた。

すると、緑子が龍之介の肩をゆらゆらと揺らしながら龍之介を励まそうと緑子なりの言葉を言った。


「でももクソ野郎もいないの!!ここには誠の心を持つおっとこ前な龍之介しかいないの!!わかった?」

「なんだそれ・・・・・」

その緑子なりの言葉は龍之介には少し理解不能だったが、龍之介は自分は優香や煉夏のことで答えを出さないといけないことだけは緑子に会い龍之介はわかった。

そして龍之介は帰ろうとすると緑子に止められた。


「あー龍之介ー優香帰ってきてるんなら優香と煉夏にもここに寄るように言っておいてそれと!」

そう言い緑子が奥から何かを出してきた。

「休んでいた分のレポート今回は110枚で済ましてあげる少し特殊なことに巻き込まれたみたいだし」

「はぁ?普通なしだろ?」

「はい?怠けたことゆうなバカ!!ありがたいと思え!!今回のテーマは『好きなものへの愛』お前はもっと愛を知るべきだしな。」

そう言い緑子からレポートの宿題を貰い龍之介は緑子の部屋を後にした。



そして龍之介は静かな自分の家に帰ってくると潰れたドアが直っていた。


「ドアが直ってる・・・・・」

「あーおかえり」

そう龍之介を出迎えたのは煉夏だった。


「煉夏、お前優香の家にいるんじゃないのか?」

「今、仕事だし一人面白くないしーだからドア直すついでにお邪魔したら・・・・・お客さん来た。」

「は?入れたのかよ?!」

「うん。」

そう言い龍之介が急いで靴を脱ぎ散らかし玄関からリビングに上がると龍之介はその客人の顔を見て驚いた。


「と・・・・・・父さん」

「あぁ・・・・久しぶり龍之介」

龍之介の父は悲壮感漂いながら静かに龍之介の名前を呼んだ。

その言葉を聞き煉夏は戸惑った。


「えっ?りゅうのお父さんっていなかったんじゃ?」

「いや・・・・正確には俺が1~2歳の頃に出て行った」

「私と優介とまだ会う前か・・・・・」

すると、正座しながら待つ18~19年間姿を見せなかった父親が今頃になって現れたのだろうと不思議に思いながら龍之介の頭の中で嫌な予感がしていた。


「何?今頃なんのよう?」

「金を貸してくれないか?」

「そんな金が俺にあると思うのか?このクソおやじ!!」

「頼む・・・・・死んでもいいのか?父親が?」

すると、龍之介は父親にそっぽ向きながら冷たい言葉を吐いた。


「俺はあんたのことを父親だなんて思ってない・・・・・・だから帰ってくれ・・・・・・」


そう言われると父親は重い足を上げ龍之介の家からヨボヨボと出て行った。


「もう・・・・・・会うことはないな」

そういい龍之介に手を一瞬振り龍之介が住む家から出ていった。


そんな親子のやり取りを後ろから見ていた煉夏は龍之介を心配しながら言った。


「いいの?追いかけなくて」

「追いかけるわけ無いだろ十数年ぶりに会った理由が「金」そんなの親じゃないだろ?」

「でも・・・・・親は親でしょ?」

そう言われると龍之介は心配になり始めたが気にしないでおこうと今日緑子からもらったレポートをすることにした。


「・・・・・・・・」

「りゅう!!」

「あぁ!!うるさい!!煉夏お前もう仕事じゃないのか?」

そう言いながら龍之介はパソコンに向かいカタカタ文字を打っていたが煉夏の声に八つ当たりするように煉夏を自分から遠ざけようとしていた。


「そうだけど・・・・・りゅうのこと気になるだろ?」

「それも・・・・・その心配も!「恋」ってやつなのか?優介もその「恋」ってやつに惑わされてんのかよ?!」

龍之介は顔を赤くしながら煉夏に言った。

煉夏は話の意図からズレたことを突然言われびっくりし驚き龍之介の顔を見ていると赤く染まっていることに気づきいつもの龍之介じゃないことに気がついた。


「は?りゅう・・・・いつものりゅうじゃない・・・・・どうしたの?」



「お前たちは「恋」をしてるんだろ?」



そう聞かれた煉夏は素直に龍之介に答えた。




「そうだよ。「恋」をしてるんだよ?でもね2人共りゅうにはまだわからないぐらい『深い恋』をしてるんだよだからりゅうは変わらないでどうかそのままでいてくれない?緑ちゃんに何を言われたのかしらないけど・・・・・・りゅうあんたは変わらないで」




そういいながら静かに龍之介を煉夏は抱きしめた。


煉夏が女の子になって龍之介は初めて抱きしめられ昔、遊んでやんちゃした男の子の煉夏はどこかに消えてしまったのだと実感した。

ふわりと首筋から香る甘いフレグランスに長い巻き髪に細い首筋少し上がった肩に広い鎖骨、そこからは男にはない大きな膨らみその膨らみが僕の胸に当たりギュッと暖かさを感じるこれが女の子なのか?


龍之介はギュッと抱きしめられるがままだった。

少し腰に手を回してしまいそうだったが僕にそんな勇気はなかった・・・・・。

変わり果てた男の幼なじみ煉夏の体をジッと見つめることしかできなかった。





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