執~呼んで・・・
「りゅうちゃんから僕がどう見えてるの?」
そんな言葉に答えれなかった龍之介は話を変えた。
「なあ!俺のポテトグラタン久しぶりに・・・・・・・食うか?」
龍之介は優介に話をそらすように自分の料理を食べるかと聞いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。」
優介は静かに返事した。
台所で料理する龍之介の姿を見て優香は妄想していた。
「(本当なら……僕が台所に立ってりゅうちゃんのご飯を作るはずだったのかな・・・・・・?)」
そう思いながら龍之介がご飯を作るのを待っていた。
すると龍之介が熱々のグラタンを持ちながら優介のいる机にグラタンを持ってきた。
「熱いから気をつけろよ・・・・・・・」
「う・・・・・うん」
(フーフー)
優介はフーフーしながらゆっくりとグラタンを食べていた。
そんな優介は食べながら自然と片目から涙が出ていた。
「お・・・・・おいな・・・・・泣くなよ・・・・・そんなにうまかったのか?」
「うん美味しい!!」
そう龍之介に優介は伝えるとベランダの方に行き涙をぬぐいながら帰ろうとすると龍之介が優介にひとつ質問した。
「優介・・・・・・・おまえ家族は?」
「・・・・・・・・・・・・いないよ皆……僕と縁を切って出て行ったんだもんこの家は僕にくれたのお母さんが。」
そう優介が言ったが龍之介は少し疑問に思い聞いてみた。
「でもお金は・・・・・・・・?」
「お父さんは死んじゃったからここはもうお金は払わなくていいから大丈夫なんだって・・・・・・」
「死んだ・・・・・・いつ・・・?」
「りゅうちゃんが知らない間に・・・・・・・」
龍之介はその言葉に唖然をし声を荒らげた。
「はぁ?知らない間?!俺はいつも優香の家にいた時お父さんを見ていたぞ!!」
そんな龍之介に真実を教えた。
「・・・・・・・・・・うん、それは3人目のお父さん。」
「3・・・・人・・・へー・・・・複雑だな・・・・」
そんな龍之介の顔を見て優介は自分への家へ帰るベランダの塀を跨いで龍之介に背中を向けながら話した。
「だからね、僕が女の子から男の子になったのにもちゃんと「理由」があるんだよ?・・・・・・・・・・・・・深いね。」
「深い・・・・・・・?」
優介はそう神妙な面持ちで言うと龍之介の方を向き小さく手を振った。
可愛く手を振る優介を見て龍之介はどうしても男の子に見えなかった。
「こいつを男の子と思えと言う方が罪だよな・・・・・・・・」
そう小さくつぶやき優介が自分の家に戻っていくのを見送った。
その夜、優介はもう一度龍之介の部屋に足を運んだ。
(コンコン)
その音で龍之介は眠たいながらも窓を開けると寝巻き姿の優介が自分の前に立っていた。
「おっ・・・・・・・おう」
優香が男になって初めて寝巻き姿を龍之介はその可愛さに動揺した。
「何動揺してるだよー」
「いっ・・・・・・いや・・・・・」
落ち着かない龍之介はぎこちないながらも優介にジュースを勧めた。
「うん。お酒がいいけどやめとこうかなー」
「じゃー俺は酎ハイでも飲もうかなー」
そう言いながら飲み物を取りに行くために台所に向かった。
そして、だんだんお酒の力を借りてかだんだん優介の服装にも目が慣れてきた。
そして、龍之介はお酒が弱いので少し飲みすぎてベットに寝転んでいると誰かが近寄ってくるような気配がした。
酔っているので記憶が曖昧な中龍之介に見えた顔は当時からあまり変わることのない昔の「優香」の顔だった。
「ゆ・・・・・・優香?」
龍之介のそばに来ていた優介は自分の昔の名前を呼ばれ少し悲しそうな表情で龍之介の上にまたがった。
「りゅうちゃん・・・・・・・りゅうちゃんはね人に名前を呼んでもらえない人の気持ちを考えたことってある?」
そう言いながら優介は龍之介右手を持ちながら自分の平らな胸に持っていった。
「名前を呼んでもらえなかったら本当に悲しんだよ・・・・・・・・僕は、もう優香じゃないの・・・・・・・・・」
そういいながらひとつふたつと涙を流しながら口を開いた・・・・・・。
「僕は優介・・・・・・なんだよあの大きな胸もないのでもね、この胸のドキドキだけはあの時から何一つ変わらない……これだけは、言えるよ……」
龍之介の手のひらからは優介の何年も仕舞いこんできたのであろうこの何とも言ぬ大きな鼓動が優介の胸から龍之介の手を伝って龍之介本人に伝わった。
龍之介は、その鼓動を感じビクついたがどうしてもこの状況で起き上がることなんてできなかった・・・・・・。
いや、起き上がる勇気なんて龍之介にはなかったのだ・・・・・・。
そんな勇気がない龍之介をおいていくように優介の行動はさらにエスカレートしていくようなこと龍之介が寝ていると思い優介は言葉を投げかけた。
「なんなら優香と思って・・・・・・・・・・僕を抱いてみる?」
すると、さすがに龍之介は怒って龍之介の上にまたがる優介を突き飛ばした。
そして、ベットの上に立ち突き飛ばした優介に向かってこう言った。
「お前は優香なんかじゃない・・・・・・・・・おまえはただの……ただの・・・・・・・」
「ただの?」
「【親友だ。】」
そういい龍之介は自分の家に優介を残し自分は家から出ていってしまった。