熱~気づき
男になった優香が隣帰ってきて1日が経った・・・・・・・・・・。
結局僕はその後知恵熱で倒れて人生でたった一度きりの成人式を優香と共に無駄にした。
「もーびっくりしたー僕が帰ってきてすぐりゅうちゃん倒れるんだもんほんとびっくりだよー」
そう言いながら優香はまるで女の子のように僕の看病をしてくれた。
いや、元女の子だから出来て当たり前なのを優香の容姿が男になって僕の脳が今混乱を起こしているのだろう。
「ハァ…・・・ハァ……ごめんな帰ってきて速効看病って・・・・・・・」
「ホントだよー地元の友達にも言うつもりだったのにりゅうちゃんが倒れちゃほっとけないよー」
「ははっ・・・・・・・・そうか」
そういい優香は水を入れてきた桶の上でタオルを絞り龍之介の額に乗せた。
そして、優香はそのまま龍之介の傍にずっといて看病し続けた。
看病しながら龍之介は熱がありながらも優香に質問した。
「ハァ…・・・ハァ……なんでお前いきなり「男」になったんだよ……」
「知りたい?」
「あぁーそうだな誰でも友達の性別が急に変われば心配するだろ!!」
すると、優香は突然悲しそうな顔をしながら小さくつぶやいた。
「友達・・・・・・か・・・・・」
そんな悲しそうな顔を見た龍之介は優香を心配した。
「どうしたんだ?突然浮かない顔して!!」
龍之介にそんな事を言われると優香は顔を元に戻し先ほどと変わらないテンションで男の事はまるで思えないようなかわいらしい笑顔で龍之介にニコリと笑いながらこう言った。
「ううん。なんでもない!!少し昔の事を思い出してただけ・・・・・・」
「昔の事?」
「うん。ここにはりゅうちゃんと僕との思い出が詰まってるんだなーって思って懐かしいなって思って・・・・・・・・」
そう龍之介に笑いかける笑顔にはどこかぎこちなく無理やりに笑っているように見えた・・・・・・・・・。
「そうだな、昔はいろんなことしたなー」
「そうだねーおままごともしたし、戦隊ごっこもした……トランプもしたしゲームもした・・・・・・・」
「そんな思い出がいっぱい詰まってるのかと思うとなんだか……少しいるのがつらいかも・・・・・」
その優香の言葉は龍之介には理解できなかったので優香に聞くと「内緒」の一言で片づけられてしまった。
そういい優香は去ろうとすると優香は龍之介に先ほどのヒントをあげた。
「ヒントだけあげるね…………もう僕は「優香」じゃないんだ……「優介」なんだ」
そういい優香は自分の部屋に戻った。
龍之介はヒントをもらっても何のことかさっぱりわからずもやもやしたまま寝ることにした。
一方優香は自分の部屋に戻りベランダから自分のベットに倒れこんだ瞬間に我慢していた気持ちが涙となって溢れ出してきたその涙は何度拭ってもボロボロと龍之介と過ごした時間の分だけ流れ出してきた。
優香は龍之介に聞こえないように布団で口を押えながら抑えていた気持ちを自分の布団をギュッと握りしめそこに顔をうずめながら言葉にした。
「バカ………私は性別を変えても「優香」だよ……いつまでも優香のまんまだよ……」
「(男になってしまったらりゅうちゃんの事嫌いになれると思ったのに………諦められると思ったのに………)酷いよ……………(でも・・・やっぱり大好きでりゅうちゃんを忘れることなんてできないからまた、戻ってきたんだ……………今度はちゃんとりゅうちゃんに気持ちを伝えるために・・・・・・・・・・・)」
そう優香は一人で布団に言葉をぶつけ今までこの15年以上我慢してきた思いを初めて外にだし少し落ち着くとそのまま優香はベットの上で寝てしまった。
次の日、優香は風邪を引いてしまったが龍之介の事が心配で見に行こうとすると優香は龍之介の家のベランダで高熱で倒れたが龍之介は1Fにおりベランダで倒れている優香にまだ気づかずにいた・・・・・・・・・。
「り・・・・・・・りゅう・・・・・・・ちゃ・・・・ん」
そして、優香はそのまま意識を失った・・・・・・・・。
意識が朦朧とする中誰かに呼ばれているのが薄々と聞こえていた。
「ゆ・・・・・・・・優・・・・・・!優香!!」
「りゅう・・・・・・・ちゃん?」
「優香!よかった・・・・・・・・」
そういい龍之介は優香の事を何のためらいもなく抱きしめた。
優香は驚きの顔を見せ龍之介から事情を聞かされた。
「倒れてたんだよ・・・・・・・俺の家のベランダで」
「そうなんだ。僕りゅうちゃんの事が心配で見にいことしたらそんなことになったのかも…ホント・・・・・・・ダサいね」
「なに俺の心配してんだよ!自分の体だろ?熱ぐらい把握しないとダメだろ!!」
そう言い龍之介は優香のおでこに自分のおでこを当てた。
その瞬間優香と龍之介は一瞬目があったが龍之介はなんだか無関心という感じだったのを見て逆に優香の顔が赤くなった。
「よーし!熱はないな!!このまま安静にしとけ!!」
すると、優香が少し意識が朦朧としながら龍之介を呼んだ。
「ねぇ?りゅうちゃん。」
「ん?どうした」
優香に呼ばれた龍之介はいつものように返事をし優香の方を見た。
すると優香は龍之介に不思議な質問をした。
「りゅうちゃんから僕がどう見えているの?」
その質問に龍之介は答えを出すことができなかった・・・・・・・・。
今龍之介の目の前に見えているのは中身は優香で外見はただの可愛い男にしか見えていない・・・・・・・・。
そして龍之介があの日キスされて以来優香を好きになり忘れられずにいたことも事実だった・・・・・・・
この矛盾する現状はどうにも払拭することもできずに龍之介は優香に顔を少しそっぽ向けた・・・・・・・・・・。