いつまでも君を思う
相手役の子は僕っ子でも普通の男の子でも好きな方で考えて読んでください。
これはいつまでも君を忘れられないオレのバカな独白だよ。いまさらすぎるって君は笑うのかな。
笑って、くれたらいいな。
オレは君の最後、笑わせることができなかったから。
はじめて君を見たときのこと、今でも覚えてる。すれ違っただけで、君はたぶん覚えてないくらい些細なこと。友達と笑いながら歩いていた君を見て、その太陽みたいな無邪気な笑顔に見惚れた。
その頃のオレは、世界が全部オレの言う通りになると思ってた。毎日同じことの繰り返し。つまらなくて女を侍らして、仲間とバカやればそれで笑ったふり。ぜんぜん楽しくない。
なのに君はオレがつまらないと感じた世界ですごく楽しそうにすごしていたね。ずっと見ていたからわかるよ。道端に咲いてた白い花や台風が去ったあとの青い空。帰り道、ポツポツ降ってた雨を見て綺麗に笑うんだ。
最初は羨ましかったんだと思う。
オレは君が持っていない物すべて持ってるのに、君のほうが毎日幸せそうに生きているように見えたんだ。
オレは毎日作り笑いなのに君は毎日満面の笑みを浮かべて。
オレとはじめて話したとき、どうだった?ひどい第一印象だったと思うな。だって最初のころはほとんどいじわるした記憶しかないもん。
僕のこと嫌いなの?って訊かれて焦ったよ。だってすごく泣きそうなんだ。目に涙を浮かべて、でも零れないように唇を噛み締めて。オレがあんなにいじめたのに全然泣かなかった君が。それどころかプンスカ怒ってオレに噛みついてくる負けず嫌いな君が。
こんなオレ一人に嫌われることを恐れてるなんて思わなかった。オレにそれだけの価値があるなんて思わなかった。
オレの存在意義なんてない。そう言ったら君はすごく怒ってくれたよね。それで、僕が貴方をもとめてる!世界の誰も貴方をみとめなくても、僕が貴方を認める!僕があなたの存在意義になる。そう言ってくれてさ。すごくうれしかったよ。あのときは何も言えずに泣いちゃったけど、ほんとうに感謝してるんだ。あのときの君の言葉がなかったら、いまのオレはなかったと思うから。
それからオレは変わろうとした。実際変わった、と思う。自分じゃよくわからないけど君がそう言ってくれたからそうなんだろうね。
純粋な君にすこしでもつり合うように。君の世界がどんなに素敵か共感できるように。君の笑顔に答えられるように。
一緒に笑って、一緒に話して、一緒に苦労して、一緒に喜んで。
君と一緒に歌うのが一番楽しかったよ。誰かにその歌を褒められるのも嬉しかった。君とオレ。いつのまにか親友になってた。
君がオレに向けてた感情は純粋に友情しかなかっただろうね。でもオレは違う。君にあえた。君こそがオレの救いだった。だからオレの尊敬も友愛も恋情も崇拝も畏敬も嫉妬も羨望もぜんぶぐちゃぐちゃのドロドロにして。自分でもどんな感情なのかわからないぐらいの気持ちを君に捧げてた。君が言うならどんなことでもできる。死ねと言われれば笑って死ねる。そんな感じだったな。
君は最後まで気づかなかったね。君が鈍いのもあるとおもうけど、オレも必死で隠してたからなぁ。
でもたまにあふれちゃうときもあって。そういうときはぎゅっと君を抱きしめて、「好きだよ」って囁いて。
充分友情の域こえてるけど、オレって我慢が苦手だから。それに君だって気づかなかったし、いいよね?
だから今回のことはただあふれちゃっただけなんだよ。あふれすぎちゃったっていうか。
うれしすぎて、どうしようもなかったんだ。君が照れながら笑って「好きだよ」って告白してくるから。こっちは必死で押さえてたのに、君がふたを開けるから。
オレが答えたら、今までで一番うれしそうに笑うから。
だからって君が悪いんじゃない。オレが我慢できなかったのが悪い。
好き?大好き?愛してる?そんな言葉じゃたりないくらいの気持ちを持ってたオレが悪いんだ。
だから、ごめんね。
君のその笑顔を誰にも見せたくなくて。その声をオレ以外に聞かせたくなくて。
オレ以外の誰ともふれあってほしくなくて。オレ以外の誰かをその目で見てほしくなくて。
オレとずっと、ひとつに混じり合って欲しかったんだ。
でも、あんまり痛くなかったろう?勉強したんだ。君は痛いの嫌いだって言ってたから。でも君の泣き顔もすごく綺麗で可愛かったなぁ。ずっと見ていたいと思ったけど、すぐ終わらせないとつらいのは君だもんね。オレってそういうところは器用だから。前に君に言われたなぁ。器用でなんでもソツなくこなすけど目立たないって。自分でもそう思う。
でもやっぱり、最後はオレを惚れさせたあの笑顔がよかったな。
誤字脱字があった場合は優しく教えてくれると助かります。