ゾディアック・サイン 6章・前「復讐の李里香」
今回も前・後編に分けてます^^
前ではまさしく闘いの「準備」と「序盤」が描かれてます^^
そしてなんとあの男が!?
な6章前編お楽しみにぃー♪♪
「もうねぇーすっかり雪音ちゃんともお友達になっちゃったんだよねぇー」
「まあ俺は何も言わねぇけどよ。出来ることならカプリコのことを思い出させるなよ?」
「うん。わかってるよ。雪音ちゃん思い出したら落ち込んじゃうだろうしね」
神崎由香の部屋の中。
そこで獅子座のレオンとその占い師「神崎由香」が会話をしていた。
先日にあった「神倉雪音邸戦争」が行われていた。
つっても俺そのとき「豊穣早苗」の葬式に行っていたから、途中参戦。しかも結局何もせずに終わっちまった。
そういえば………。
『松原李里香』あの女が「早苗」の妹だといっていた。そして双子座の占い師だと…。
出来たらあいつらとは戦いたくないなぁ……。
「むぅー…」
そしたらなぜか視線を感じる。確認すると由香のやろうがジト目で睨んでいた。
「な、なんだよ…」
「違う女のこと考えてたでしょ?」
「…なんでわかった」
「女の勘だよ!」
「そいつはすげぇお前女だったのか」
「むきゃー!!!!」
「悪い悪い冗談だって…」
「冗談でも腹が立つ…」
「ほんと悪かったって、今度プリンでも買ってきてやるよ」
「それもあたしのお金じゃないか!」
「ふっふっふ……違うんだなぁこれが」
「え?」
「お前が学校言ってる間暇だからさ。適当にバイト入ってるんだよ。それで金入った」
「い、いつの間にそんなことしてたの……」
「まあ気分が向いたときに日給のバイトだけどな」
「ふぅーん。って…何流してるのよ!!」
「ん?何が??」
「だから!さっき考えたでしょ!!他の女のこと!」
「あぁーそれの説明してほしいって?」
「うむ」
「はぁ…墓参りのときにあった女がいたんだが」
「それが可愛かったって?」
「ちげぇよ。まあ……可愛くはあったけど、それとは違う」
「じゃあ何」
ダメだ。こいつすんげぇ機嫌悪い。
なんでなんだ?あ、この前録画要領が危ないからって消したネタ番組のこと怒ってるのか??
「だから、その女が『双子座の占い師』なんだよ」
「……え?」
「だから、前話した早苗の妹って言うんだよ。こいつが…まあ似てるから疑いようもねぇし」
「ふぅ~ん…あ、それならあたしもその日すんごい美人さんにあったよぉ~」
「ほぉ…どんな?」
「あたしを大人にした感じ!」
「……頭打ったな。病院行って来い」
「失礼な!!毒島くんも綾ちゃんも言ってたんだからね!!」
「まあ確かにお前の顔は可愛いほうか。うん美少女で通じるレベルだな」
「そ、そうかなぁ……////」
なんだか急に由香の顔が赤くなる。
どうしたというのだろう。風邪か??
「それで?そのお姉さんに会ったってだけか?」
「あぁー後今思い出したんだけど、レオンの言う「早苗」さんみたいな白いワンピースに麦わら帽子被ってた」
「っ!?お前…それって」
「ん?どうしたの??」
「そいつが…『松原李里香』だ」
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「社長。お話が」
「ん?何?李里香」
「すいません。本当に、ご自由に動いてよろしいんですか?」
「いまさら何を言っているの?いいと私は許したはずよ?」
「はい、そうなのですが…。」
「何?まだ我侭があるの?」
「いいえ、一応許可の確認を取りたかったものですから」
「そう。私はビジネスで忙しいの。本当に任せるわ」
「ありがとうございます。それと…」
「何?」
「自由になる前にあなたに渡しておこう情報がありまして」
そういって私は社長に書類を渡す。
「社長が仕事をしている間にFISHBOYの情報を多く掴みました。それとサジタリウスのパートナーなんですが…」
「ん?彼がどうかしたの??」
「はい、彼は要注意人物です。あのようなものとサジタリウスが組んでいるという事実が既に「危機」なのですから」
「…どういうこと?」
「サジタリウスのパートナー。手塚隆吾の二つ名は…「ウッディーン」。殺し屋です」
「―っ!?」
「あまり表に出ないから調べれなかったのですが、最近浮き彫りになりましてね…」
「この情報調べるのって相当苦労したでしょう。神倉雪音のバンクにもなかった情報だわ」
「これから自由にさせてもらうんです。もしものときのために社長に教えれる情報を探してた所存です」
「……本当に優秀ね。あなたは…」
「ありがとうございます玲子さん。では、あたしはこれで」
そういって私は社長の元を去っていった。
「ふっ、「自由」って言うのはあの子にとって「素」になることなのね…」
足引は李里香の持ってきた書類を持って、目を通していた。
私は彼女の「姉代わり」なのだ。
しっかり李里香を見守ってあげないとね…。
どうか、勝てるといいけれど……。
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「さあ」「さあ」「「バトルが始まるぅ!」」
「あらあら、ジェミニはバトルが好きなのですわね~♪わたくしはあまり好きではありませんが」
「「だってリブラ弱いもんねぇー」」
「そうですわ♪もう弱いも弱い最弱ですわ♪♪だからこそここが使いどころなのですわ♪」
そういってわたくしはジェミニに教えるように指で頭をトントンと叩いた。
「「おぉー!!」」
恐らくよくわかってないだろうジェミニは二人して賞賛の声を出す。
「ジェミニ、リブラ?いる??」
「ええ、ここにいますわよ♪李里香ちゃん」
「「リリ姉!!ついにやるんだよね!」」
「えぇ、三日後。準備をして、獅子座のレオンの陣営に向けて……攻撃をしかける」
「やったー」「バトルだぁ!」「「頑張るぞぉー」」
「まあたまにはこうして真面目にバトるのもありですわね♪」
「じゃあ……それまでの準備をよろしく。
ここにいるのは「星術」に長けた星霊二体。圧倒的作戦勝ちで行くよ」
「「あいあいさー!」」
「あいあいさー♪」
あたしの言葉にリブラとジェミニの三人が敬礼をしてくれている。
あたしは絶対に……レオンを倒す!!
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「はぁ…はぁ……」
町の河川敷の橋下。
そこにいるのは一人の少年。
何かを飛ばしては橋の壁にぶつけているようである。
「……何やってんだよ?」
そんなとき、声がした。
見てみると、ジャージ姿の見知った少女の姿があった。
「あぁ、鬼塚じゃんか。お前こそなんでここにいるんだよ?」
「あたしはランニングだよ。運動不足解消だな。お前は?」
「…星術の鍛錬だよ。」
「鍛錬?」
「う、うん…。ほら、前お前を護れなかっただろ?」
「あ。あぁ…」
「結構不甲斐ないよな…俺。それが悔しかったからさこうして特訓してるんだよ」
「へ、へぇー…。話は聞いたけどいまいち星術ってのがわっかんねぇんだよ。あの鳥出すのか?」
「まぁーそれも一つなんだけど…そうだなぁ…こういうのも出来る」
そういって僕は手の平を上にし、精神を集中させる。
脳内で術式を構築していく。これはなんでかスムーズに作れる。過去にも作ったことがあるんだろうか?
「空間星術!」
その一言とともに、世界は薄い青色一色になる。
「な、なんだこれ!?」
「…ふぅーこれも星術なんだよ」
「すっげぇ…時止まってるぞ……?」
「正確には空間を切り取って別の場所を作ってるんだけどね」
「お前こんなことも出来るんだな!マジですっげぇじゃん!!」
「そ、そう?」
「あぁ!ほんとマンガの主人公みたいじゃん」
鬼塚の何気ない一言に僕は少し恥ずかしくなり頬を掻く。
そして僕は空間星術を解いた。
「へぇーすっげぇんだなぁ…本当に」
「まあこれもレオンさんのおかげなんだけどね」
「へぇー。まあ、そこの所聞いたら長くなりそうだから今度聞くわ。んじゃ、あたしはランニングに戻る」
「お、おう…」
そういい捨てて、鬼塚は走り去っていった。
僕、運動方面からっきしだからなぁ……今度一緒に走るか…?
「って何考えてるんだろ…」
僕は邪念を振りほどき再び星術式を脳内で展開していく。
「へぇー♪毒島くんって意外と努力家なんですわねぇー♪
わたくしてっきりそういうのも出来ないもやしっ子だと思ってましたわ♪♪」
「―――っ!?」
急に声をかけて振り返る。
そこには見知らぬ袴姿を女性。首から掛かっている長い布とそれに繋がっていて地面に転がる顔ぐらい大きな鈴。
「あ。あなたがわたくしに会うのは初めてでしたわね♪
わたくしの名前天秤座のリブラ。以後、お見知りおきを♪♪」
そういって、リブラの鈴が、僕の頭部を強打した――――――――――。
☆
「……リブラ。どういうことなの?」
「ん?どういうことですか?足引様??」
「貴方が李里香に協力していることよ」
社長室。
そこにはいつものように椅子に座る足引玲子の姿と
行儀悪く机の上に座っている天秤座のリブラ。
「あー、そうですわね♪足引様がわたくしに疑問を抱くとしたらそれぐらいですわね♪♪」
「……あなたに抱く疑問は星の数ほどあるのだけれど…」
「なるほど、星霊だけに星の数だけとは足引様上手いですわ♪♪」
「…………」
私は彼女の仕様もない言葉に呆れて絶句した。
「…冗談が通じないですわねぇー」
「とにかく、早く私の質問に答えなさい」
私の言葉を聞いてこれ以上話を逸らすのは不可能かと思ったリブラは溜め息を吐いて、答えた。
「…仕方ないですわね♪わたくしごとなのですが、どうもわたくし。李里香ちゃんを気に入りまして♪」
「それで?」
「それでわたくし、足引様に内緒で彼女に協力しようと思いました次第ですわ♪♪」
「それがどういうことかわかってるの?」
「えぇ、分かっておりますわよ♪でもあなた様もわたくしを怒れますかな?」
「……はぁ、それもそうね。いいでしょう、リブラ。前面的に李里香をバックアップして頂戴」
「許可をいただけて光栄ですわ♪」
そう答え、リブラは邪気のある笑顔を浮かべる。
表面上は無邪気だけれども、そこからは明らかに邪悪な何かがこぼれている。
「ただし、協力の中で消える…。なんてことはやめなさい。いいわね?」
「まぁ…戦場何が起こるかわかりませんが、警戒しておきますわ♪」
そういうと彼女はぴょいっと机から飛び降り、部屋を去ろうと扉に歩いていく。
「安心してくださいまし♪貴方様の秘書様は、わたくしが絶対お守りいたしますので♪♪」
そういって、彼女は部屋から静かに去っていった。
「…星に祈るなんて柄じゃあないわね。」
夜空の星を見上げながらぼそっと呟いた。
「李里香……。負けないでちょうだい…」
私はビルから町を見下げる。
この星見町を見渡せるほどの大きなビル。それが私の会社。
その見下げる町には今も7体の星霊が生き残り、今も攻防を繰り広げている。
そんな町は見下げていてとても綺麗だった。これほど綺麗な夜景は中々ないだろう。
そんな夜空に輝く星に、私は祈った。自分の大事な人の安否を。
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「毒島の野郎…今日もきてねぇ……」
「どうしたのぉー綾ちゃーん?そんなにイライラしてぇ(笑)」
「イライラなんてしてねぇよ!なぁ!雪音!!」
「わ、私に振られても答えられないよ…」
学校の休み時間。
あたしはイライラすると指で
どこかをトントンと叩く癖のある綾ちゃんをからかいながらある空席に目をやった。
『毒島裕太』
彼はここ2日学校に来ていない。
メールをしてみても返信がない。
綾ちゃんに聞いてみても
「2日前の夜に会ったときは病気っぽくなかったぞ?」と言っていた。
まあ「夜に毒島くんと?」と思って綾ちゃんをすんごいからかったのだけれども。
「由香ちゃーん!いるぅー!!」
すると、教室の外からそんな声がする。
声の方を見てみると、教室の扉から加賀美優ちゃんと乙女座のバルが顔を覗かせていた。
「えっ!?文化祭でライブやることになった!?」
「うん。あたしがキーボードで、バルちゃんがギター&ボーカル!」
物凄い可愛らしい笑顔で伝えてくる美優ちゃん。あー本当に可愛いなぁ…。
「はぁ…なんか軽音部に勧誘されちまってな。部活には入れないけれどそれぐらいならってOKしちゃったんだ…」
バルちゃんの方はちょっと嫌そうな顔をして事情を説明してくれた。
「なんか人前に立つのは好きじゃないんだってぇーバルちゃん。意外と恥ずかしがりなんだよぉー」
「ちょっと!ミュー!!あたしはそういうわけで人前に出るのが嫌なんじゃないよ」
「えぇー?そうなの??」
「ただ、ほら…星霊として闘ってただけだからそういうのはしたことないからさ……」
少し恥ずかしそうに顔を染めるバルちゃん。やばっ、これも可愛い…。
普段怖い目つきで睨んでるイメージだからこの子綾ちゃんと同じぐらい怖さがあるんだよねぇー
まあ美優ちゃんやその周りにだけ見せるちょっとした表情とかが可愛かったりするんだけどね。
「それを教えに来てくれたの?」
「うん。由香ちゃん達には絶対に見てほしくてねぇー♪今も練習中なんだー」
のほほんとした雰囲気を醸し出しながら美優ちゃんが答える。
すると、また一人、廊下から私たちの教室を見回して、美優ちゃんとバルちゃんを見つけてこちらに来る。
「あーいたぁー!もう加賀も神原も!昼休みも練習するって言ったでしょー?」
「あれぇー?そうだっけー??」
「そう!もう…加賀はいっつもそうなんだからぁ…。神原も加賀の飼い主なんだから連れてきてよね!」
「あーえーっと。あたしは別に練習はしたくないかなぁーって…」
「もう、神原がそんなこと言ったらダメでしょ!ボーカルなんだから!!」
「いやだぁー!あんな人の見られてる前で歌うのはいやだぁー!!」
なぜか一人のメガネを掛けたサバサバした女の子が美優ちゃんとバルちゃんの首袖を掴んで引っ張っていく。
美優ちゃんは「えへへ~」と笑いながら引っ張られているが、バルちゃんはしんそこ嫌そうに駄々をこねてる。
ってか…あのクラスじゃあ占い師と星霊の立場逆なのか?なんか「飼い主」とか言ってたし…。
まあのほほんとしてる
美優ちゃんとしっかりしてるバルちゃんなら確かに「ペット」と「飼い主」か……あの子もいい例えをする。
「あ、ごめん。勝手だけどこの二人連れてくねー。あたしは瓜生真希って言うの。以後よろしく!!」
彼女、瓜生さんは敬礼して扉から顔を覗かせた後、二人を引っ張っていった。
「な、なんかすごかったね…瓜生さん」
呆然としてるあたしの隣で雪音ちゃんが思わず声を漏らしていた。
まあ…確かに、あの二人…しかも片方は人以上に強い「星霊」だよ?それを黙らせる力って……。
「あぁー!あのバカ何してるってんだよぉー!!」
あたしの後ろではトントンを通り越してドンドン!と机を叩いている綾ちゃんがいた。
あれって……本人気付いてるのかなぁー…。とにかく毒島くんには早く戻ってきて貰わないと机が壊れそうだわ…。
そんな時だった――――。
学校が一瞬にして真っ赤に変わり、教室の生徒達の動きは止まった―――――――――――。
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「さあ…始めるわよ。ジェミニ。最初の文字は……『学校』」
「『馬』!!」→「『マイク』!」→「『丸太』!!」→「「『大砲』!!!」」
ジェミニが言葉を紡いだと同時に、ジェミニと李里香の前に大きな大砲が現れる。
「「3!・2!・1!・はっしゃー☆」」
ジェミニ二人が左右対称にポーズを取り、指を鳴らす。
その直後どーん!!と大きな音で大砲が発射される。
その大きな弾丸は学校に目掛けて放たれ、学校の壁が爆発する。
「さあ……二人とも。まずはレオンが来るまでに…ここを占拠するわよ」
「「あいあいさー☆」」
ジェミニは可愛く敬礼をする。
背の高い女性は冷徹な表情をしながら、校内に入り込む。
双子座の占い師、松原李里香の「襲撃」がたった今、始まった―――――――――。
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「なんか、嫌な予感がする…」
テレビを見ていた俺は、何かを察して思わず振り返る。
そしてそのときになぜか頭に浮かぶ豊穣早苗の姿と、その妹……『松原李里香』
「まさか……な。」
俺は勘違いだと頭を横に振るが、やはりこの悪寒が消えない。
それどころかさらに大きくさせる。
そんなときだった―――――。
「ごきげんよう♪獅子座のレオン君♪♪気分はどうです?」
「っ!?」
俺はその声に思わず振り返る。
いつの間に部屋に入ったのか、わからなかった。
袴姿に、背中から流れるほど長いマフラーのような布。そしてその布に繋がっていて地面に転がる鈴。
「……リブラッ!?」
「あららぁ~由香ちゃんは意外と雑な性格なのですわねぇー。それとも貴方が散らかしてるのかしら♪」
部屋を一通りみたリブラはそんな感想を漏らした。
というか、こいつ……なぜ由香の名前を知ってる。
「てめぇ…なんで由香の名前を……」
「そんなに睨まないでくださいまし、ちょっとありましてね♪」
「……なんでここにきた。俺への襲撃か?」
「それは違いますわ♪わたくしではレオン君に勝てないですしね♪用は一つですわ」
「……なんだ?」
「招待状ですわ♪身支度して学校に向かうとよろしいかと♪由香ちゃんが危ないですわよ?」
「ッ!?てめぇ…!!!」
「そう怒らないでくださいまし♪ほらほら、行ったぁーですわ♪この散らかった部屋はわたくしが片付けましょう♪」
「……ちっ!くそっ!!」
俺は奴の言葉を信じるしかなかった。
この悪寒…間違いない。由香のやろうに何かあったとしか思えねぇ!
俺は干してあった服を急いで着て、部屋からすぐに出た。
「これで……修羅場の完成ですわ♪さ、わたくしもこの部屋を片付けて戦場におもむきましょうかね♪」
天秤座のリブラはにやりと笑った後、冗談で言った言葉を実行するため、由香の部屋を片付け始めた。
……よくわからない若手漫才師のDVDがいっぱいあった。
☆
「……これって…」
あたしは突然真っ赤になった学校に驚くと共に、過去にこんなことがあったのを思い出した。
『星術』。
一年の冬。三学期が始まってすぐに出会った敵。「スコーピオン」との闘いを思い出す。
あのときは、毒島くんがえーっと…「空間性星術」だったかな?をしてるんだよね………。
「―っ!?」
そんなとき、突然どーんっ!っと学校から爆発音が聞こえる。
「由香ちゃん!大丈夫!?」
そんなとき、教室に誰かが入ってくる。
「美優ちゃん!バルちゃん!!」
美優ちゃんがあたしを心配そうに見てきている。
バルちゃんは少し気だるそうにしながらも少しほっとしているようだ。瓜生さんから逃げれたもんね。
「おい…神崎…。これって」
「うん。毒島くんが使った「星術」だね…」
「ったく…どうなってんだ……。さっきの爆発といい…」
バルちゃんは手を顎の辺りに添えて考える。うーん…絵になるなぁー
「もしかしたら、他の占い師が攻めてきたのかなぁ?」
少し不安そうな顔で美優ちゃんがあたし達に聞いてくる。
「……多分。そうなんだろうね」
あたしが苦しい顔をして、そう答えた。
「……えーっと…何これ?」
「「「――っ!?」」」
急に聞こえた声にあたし達三人はビクっと!と身を硬直させた。
声の方を見てみると………綾ちゃんがいた。
他のみんなは空間の色と同化しているのに、綾ちゃんだけ本来の色彩を彩っていた。
「…な、なんで綾ちゃんまで?」
「いや、まず聞きたいのあたしなんだけど……えーっと…もしかして、もしかするとだけど、加賀たちも??」
歪んだ表情で美優ちゃんとバルちゃんに指を刺している綾ちゃん。
その言葉に二人は、動揺しながらも黙って「コクリ」と頷いた。
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「なるほどなぁー。乙女座ねぇー…」
廊下を歩くあたし達は、綾ちゃんに二人の本当のことを教えた。
二人が乙女座の「星霊」と「占い師」であること、あたしとレオンは二人と「不可侵」を約束していること。
この変な空間も、年間星座占いに関係していることなどなど。
「それより、さっきの爆発…本当になんだったんだろ」
「あー、私もそれ気になってたぁ~」
乙女座組がそう言った形で会話を始める。
「新しい敵さんがお出まししたんじゃねぇの??」
「…そ、それより…私にもこの状況を説明してほしい…」
そんなとき、またいるはずのない声がした。
「「「「ゆ、雪音ちゃん!?いつから!?」」」」
四人とも一斉に驚いたように声を出す。目の前には、いつの間にかついてきていた「神倉雪音」がいた。
そうか……この子も元々だけど「占い師」。この術の支配下にいないのかも知れない。
でも、この子は覚えていないんだ。「カプリコ」の事を。今ここで星座のことを教えて、思い出したら…。
「えーっと…マンガの世界……かなぁ?」
「由香ぁ…その言い訳は無理があるぞ…」
なんとか必死に考えたのに綾ちゃんに一蹴されてしまった。
「はぁ…仕方ない。大まかに説明するかぁー」
あたしは諦めたように肩を落として、雪音ちゃんにも説明することにした。
なるべく彼女に「カプリコ」のことを思い出させないように、慎重に――――――――――。
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「ジェミニ。もう一発行くわよ。」
「「あいあいさー☆」」
そういいながら、ジェミニは指を鳴らし、第二撃を放つジェミニ。
「あ、ミニ!そろそろ時間だよ!!」
「えー!つまんないなぁーんー……『大砲』→『海』→『道』!!」
その言葉の直後に運動場から大量の水が放出され、学校はあっと言うまに海水に囲まれてしまう。
けれどある一直線だけは、水がなく「通路」になっている。
「……うん。上出来ね。行くわよ」
「「あいあいさー☆」」
そういって、三人は学校内に向かって歩いていく。
校内に入った直後、あった道は崩れ去るように海水に埋もれていってしまった。
「まずは、レオンの占い師の子を捕まえないとね。確かこの学校だったはず…」
彼女はそういって、学校の扉を閉めて、廊下を歩いた。
コツ…コツ……とハイヒールの音が学校に響き渡っていく。
その音はまるで秒針のように響き、それはこれから始まる「戦場」へのカウントダウンのようだった。
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「…チッ、なんだってんだこりゃ!」
俺、獅子座のレオンはリブラに言われた通り学校に向かった。
嫌な予感は的中しやがった!?学校の中は水で埋もれていた。
まるで結界が張ってあるかのように、水はそこから外には出てこない。
「それよりも…」
この結界。俺にしか見えてないみたいだけど、完全に「星術」だ。
こんなことできるやつは………。
「とにかく、入ってやるか!」
俺は意を決して中へ飛び込む。
海の中に飛び込んだような気分だ。実際に水が塩っ辛い。
俺は泳いで学校内に入れそうなところを探す。息が続くか………。やばっ、きつい。
「ぷはぁー!!」
とりあえず天井に目掛けて泳いで、水上に出る。
海の深さ的には学校の三階ぐらいまで。底まで綺麗に水が浸ってる。
それより不思議なのが、この水の量なのに、学校本体には水すら入っていない。
「二重構造になってるんだなぁ…」
俺はそれをすぐに理解する。だとすれば……。
俺は再び水に潜る。とりあえず一番近い窓に向かって泳ぎ続ける。
俺はそれを開くか確かめる。開かない。鍵が閉まってるみたいだな。俺はその窓ガラスを割ってやった。
(……ビンゴ!)
俺の予想は的中だった。窓を割っても中には水が入っていかない。薄い膜のようなものがそれを押さえてる。
けれどこんな星術……誰が使ってるんだ?高度にもほどがある。
リブラか?あいつは人間の星術にも知識があるらしいしな…。
とりあえず俺は、割った窓の場所から校内に侵入する。
「……けっ、水浸しじゃねぇかよぉ…」
俺は身体をブルブルと振って水を飛ばす。
「さてっと…リブラに招待されたんだ。ここには由香たちもいるはず。探さねぇとな…」
俺はそう言ったものの、身体が寒くなっているのに気付く。
「はぁ…どっかで渇かすかぁ……」
俺は上の服を脱いで絞る。
ものすごい量の水が中から出てきた。
「さ、今度こそ行くか」
レオンは上の服を肩に掛けて、上半身裸のまま廊下を闊歩した。
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「……ほんと、誰の仕業なんだよ…」
綾ちゃんが呆れた顔で窓を見ている。
窓から見えるのは真っ青な水だけだった。
急に水が浮き出てきたと思ったら、学校が水に閉じ込められている。
「……でもこの水、窓が開いてても入ってこないみたいね…」
バルちゃんが開いてる窓から水が出ない異様な光景を見ながら呟いた。
「うーん。っていうかどうしよう……」
美優ちゃんが首を捻って悩んでいた。なんでこの子一々可愛いんだろ。
「……あ、いた。」
「ん?どうしたの??」
急に小さい声で呟いた雪音ちゃんの言葉にあたしは反応する。
「ほら、これ…」
どうやらノートパソコンを見ていたみたいだ。
そこには監視カメラのような映像が見えていた。
「……これは?」
「学校の監視カメラ。ハッキングしてみた。この空間内でも一応カメラは有効みたいだね」
彼女はそういって、一つの画面を拡大させた。
その画面にはスーツを着た女性と、小さな子供が二人映っていた
「あ!!」
「ん?どうしたんだよ由香?」
「こ、これ!!」
あたしが画面に指指す。それにつられて綾ちゃんも覗き込むと、あたしと同じように驚いていた。
「これって…星見山で出会ったワンピースのお姉さんだよな?」
「うん。最初わからなかったけど、あんな綺麗な顔一回みたら忘れないよ…」
「……なんだ?知り合いなの??二人共…」
バルちゃんがあたし達の会話を聞いて質問してくる。
「う、うん…ちょっと会っただけだけど…」
「そう、それよりこの事件…『ジェミニ』の仕業だったのね…」
「「ジェミニ?」」
バルちゃんの言葉にあたしと綾ちゃんは首を傾ける。
「…ジェミニって事は…『双子座』?」
「そう。双子座のジェミニ。どうやらあのお姉さんが二人の占い師みたいね」
「じゃあこれを起こしたのもあのお姉さんってこと?」
「うん。ミュー、ここは避難したほうがいいかも知れないよ」
「ば、バルちゃんはいいの?」
「あたしジェミニの奴と闘えるだろうけど、あいつらは規格外。
みんなを庇いながらは絶対に無理。大人しくレオンが来るのを待ったほうが懸命ね」
バルちゃんが冷静に語って見せた。
この海がそのジェミニのせいだとすれば、確かに規格外だ。
『みーっつけた♪』
「「「「「―っ!?」」」」」
あたし達は聞こえた声に驚いて振り返る。
そこには……空を飛んでいるカメラがあった。
「…追跡カメラ。」
雪音ちゃんがぼそりと、呟いた。
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「へっへーん♪『道』→『地下鉄』♪♪」
「『地下鉄』→『追跡カメラ』♪ってねー」
ジェミニたちが見つけた五人の少女を画面で見ながらハイタッチした。
「……あれが、レオンの今のパートナー……。捕まえるわよ。二人共」
「「んいっ!☆」」
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「てめぇ……ここで何してんだ?」
「…僕ですか?結界を作るのと、貴方の相手をするための待ち伏せですよ」
俺、獅子座のレオンは目の前の男を睨みながら言った。
この結界を作れるのは「この男」しかいないと思っていた。
けれど、それはまたありえないとも思っていた。しかし、それは目の前の光景を見て打ち砕かれた。
目の前の男は、明らかに自分を「殺気」ある瞳で見ていた。
大きな本を持ち、由香たちと同じ学校の制服を着ている少年。
そう、ここ数日行方不明になっていた――――――――『毒島裕太』の姿があるのだから。
☆
「てめぇ……ここで何してんだ?」
「…僕ですか?結界を作るのと、貴方の相手をするための待ち伏せですよ」
俺、獅子座のレオンの目の前には、知っている男が立っていた。
『毒島裕太』。元々はスコーピオンの占い師として、独学で「星術」を学んでいた男だ。
俺が「星力」を共有することによって「星術」を使えるようになった少年。
それが、今……俺に「殺意」を向けて睨んできている。
「俺の相手を…てめぇが?」
「えぇ、リブラさんのためにも貴方をここで倒さないといけない」
その言葉の直後だった。
毒島の背後には数え切れないほどの「星鳥」と言われる鳥を生成する。
な、なんだありゃ!?並の「星力」じゃああんな数生成するの無茶だぞ!?
「い、今…なんつった?リブラ??」
「そうだよ。レオン…僕は貴方を倒す!」
その背後の無数の鳥たちが一斉に飛んでくる。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
鳥がミサイルのごとく俺に攻撃してくる。
俺の身体をナイフのように切り刻んでくる。俺は顔を護るように腕をクロスすることしか出来なかった。
(と、鳥が飛んでくるのが終わらない。どういうことだ?」
俺は目を少し開いて確認する。毒島は一歩も動いていない。しかし鳥は無限に数を増やして突撃してくる。
(ちっ,わけわかんねぇ!なんで毒島が俺を襲う!?そしてさっき「リブラ」って……」
「…50%」
そう呟いて身体中に力がみなぎり、腕を大きく振る。
当たりに飛んでいた星鳥は全て消散されて行った。
「…さすがレオンさんって言ったところですか。
……結界星術が完璧に再現できた。これで僕がここにいる意味はもうない…」
そういった毒島はパチン!と指を鳴らす。すると現れたのは四匹の鳥。
その鳥たちは勢いよく俺に向けて突撃してくる。これはよけれる!!
そう思ったときだった。避けてすぐの二匹が突然姿を変える。ただのワイアーと言う姿に。
その二匹のワイアーが、俺の身体に絡みつく。なんだ、動けない!?
「BOMB!」
動きが止まった直後に、引き止まっている間に残り二匹が突撃してきて、突然爆発しだす。
その勢いに、俺は勢いよく飛ばされた。
「もういっちょ!!」
さらに毒島は指をパチンと鳴らし、再び『爆鳥』を生成し、俺に突撃させる。
吹き飛ばされた俺に、さらに追い討ちを掛けるかのごとく俺に当たって爆発する。
その爆風に俺はさらに遠くへ飛ばされ、壁に衝突してしまう。
三階から、勢いよく空中に放り投げられる。
「しまっ――――」
空中のは水はあると思ったが、どうやら無くなってしまっており、海がなくなっていた。
そのまま俺は慣性の法則が終わり、重力に従うように落ちていく。
落ちた先は―――――――――体育館だった。
「…ってて……くっそぉ」
ゴムの床に倒れた俺は尻を摩りながら自分が落ちた天井を見つめる。
すると、毒島が大きな鳥に乗ってきたのが、確認できた。
「…『流星鳥』。僕の移動用の鳥なんですよ……」
羽を羽ばたかせて風を吹かせる大きな半透明の鳥。
その上で、俺を見下すように睨む毒島の姿は、俺に恐怖心を抱かせた――――――。
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「ふぅー♪やっと片付きましたわ♪♪我ながら潔癖症でいけませんわ♪」
わたくし。天秤座のリブラは独りでそんな言葉を言いながら、光るほど綺麗な部屋を眺めていった。
「そういえばぁ…今頃レオン君は毒島くんと対決している頃合かしら」
わたくしは思い出したかのように笑みを見せる。
「あの対決カード…みたいわ。早く行きましょう」
わたくしはそういってすぐに、部屋を出て、学校へ向かった。
あの後、わたくしは毒島くんとあるものを共有した。
『わたくしと毒島くんの「敵」』を平等にする。
そう、わたくしはそう平等にしたのである。そして彼を連れていった。
わたくしの能力の弱点は「一日中」であることだけ、一度平等にしても「暦」が変わればリセットされる。
だからそうなる前にもう一度掛けなおしたりと、
色々とめんどくさいことが多かったですが、おかげで最高の戦士を得ることが出来ましたわ♪♪
それに、李里香ちゃんも怖いこと考えます♪さすが優秀なだけありますわ
「リブラさんは闘えないの?」
「えぇ、わたくし弱いですので♪協力は致しますが…」
「なら、毒島くんを襲ってほしいのだけれど?」
「毒島…あぁースコーピオンの占い師の少年ですわね♪」
「彼とあなたの「敵」を平等って……出来ないかしら?」
「…李里香ちゃんは中々面白いことを思いつきますわね。わかりましたわ」
わたくしは李里香ちゃんの提案に乗り、そのまま川原で毒島裕太を襲い、洗脳したのだ。
そして「敵」が同じだけではあれなので三日掛けて少なからず「友情」を育んだ。
彼とわたくしの「星力」を共有させたのである。そしてわたくしが彼に少しだけ「星術」の知識を叩き込んだ。
一度「星力」を共有した星霊と星術師は簡単にはそれを「解除」出来ない。
少なくとも再び術式を書き込み、二人がいないといけない。
だからレオン君は毒島くんとの星力共有を解除できない。
そして今の彼はわたくしとも共有を果たした。彼は「二体分の星霊の力」を持っている。
今の彼は、もう「一人の星霊」のそれに等しい力を有している。わたくしの代わりの駒にはちょうどいいですわ♪
現に彼の成長は物凄いものでした。まさかあそこまでとは………。
「これは今までの占い史上初の「人間が星霊に勝つ」と言う事象が起きるかも知れませんわ♪」
わたくしはにやりと笑いながら学校に向かっていく。
わたくし的にはこの勝負…毒島くんが勝つ。たとえレオン君が「天使喰い」を100%使っても
いや、そもそも星力を共有しているレオン君に100%は出せないだろう。
もし毒島くんが負けたとしても、その後のジェミニとの対決で彼は敗北する。
「問題は……」
わたくしは最近手に入れた「携帯」を使って足引様に電話をする。
「もしもし?リブラですけれど…」
『どうしたの?』
「李里香ちゃんの対決はこのままでは勝てるのでしょうが、横槍が入ってくる可能性は…と思いまして」
『大丈夫よ。
彼女の闘いは、私が前面的にバックアップしてるわ。FISHBOYにもサジタリウスにも邪魔はさせない』
「おぉ~♪流石足引様♪♪準備がよろしいですわ」
『ただ……』
「ただ?」
『最近気が付いたのだけれど、乙女座のバルもあの学校に潜伏してたらしいのよ。恐らく結界内にいるわ』
「そうですか……。まあ、わたくしとジェミニがいれば勝利は間違いありませんわ♪」
『そういってくれると頼もしいわ。くれぐれも貴方は死なないでちょうだい。それと、李里香を頼んだわよ』
そういって、足引様は電話を切った。
そういえば、足引様と李里香ちゃんは一体どういった関係なのでしょうか?
ま、それはまた今度聞いてみると致しましょう♪
この最高の舞台を邪魔するものもいない。だったら早くパーティー会場に向かわなければいけませんわ♪
わたくしは、さらにスピードを上げて学校に向かった。
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「おぅら!!」
俺は大きくジャンプし、空中で毒島に攻撃を与える。
しかし流星鳥に乗っている毒島はこれを難なく避け、「爆鳥」で俺に攻撃を当てる。
「…ちっ、空中に浮いているってのが厄介だな……」
俺は膝を付きながら息を荒くして呟いた。
毒島は今も俺を見下して、様子を窺っている。あの目…ガチで俺を倒す気だ。
他の星霊で空を飛べるのはいない。能力を使って飛べるのはカプリコとアクエリアスぐらい。
あ、サジタリウスも一応は飛べるのか…能力とは少し違う気がするが…。
少なくとも俺に「飛行」スキルなんてものはない。ただやけにジャンプ力が高いだけ。
それだと、本当に「浮いている」相手には勝てない。今のこの惨事がその証拠だ…。
「どうしたんですか、レオンさん。バテましたか?」
「あぁ?てめぇ…汚く宙なんかに逃げやがって偉そうに……」
「宙に浮いているだけでそうなってしまうんですか。呆れますね」
「あぁ!?」
小ばかにする毒島の言葉に俺は思わず眉間にしわを寄せる。
「そんなんじゃあ、神崎を護ることも出来ないですよ!!」
毒島は大きく手を広げ、目を閉じる。何かに集中しているみたいだ。
俺は再び大きくジャンプする。そして目を閉じている毒島に拳をぶつけ……あぁ?
「…防御術式「白零」脆いバリアみたいなものです。リブラさんに教えていただきました。」
淡々と話す毒島。しかし俺もその「流星鳥」の上に乗ることに成功する。これで同じ土俵だ!!
「それをもう少し早くできたら良かったんですけどね……『千鳥』。」
そう呟いた直後、体育館一体を光が包み込む。
俺は怖くなり、恐ろしくなり、目の前の毒島を殴り飛ばす。
次はバリアもないみたいで、流星鳥が消滅すると共に毒島は地面に叩きつけられた。
俺も床に綺麗に着地する。しかし…その目の前の光景は、恐ろしいものだった…。
「……なんだ…これ」
俺は思わず絶句した。
倒れていた毒島が、立ち上がり、口の血をふき取った。
その後ろには………千を超える「星鳥」がこちらを睨むようにじっとしていた。
「最高星術の一つ…「千鳥」です。消費もすごいんで、「流星鳥」はもう無理そうっすね」
俺を睨み、そう吐き捨てる毒島は、右手を高く上げた。
「……行け。『千鳥』」
上げられた手はそのまま合図のように振り下ろされる。
止まっていた千の鳥が……俺に目掛けて飛んできた。
まるで、命と言う「餌」に群がり、食い漁る鳥のごとく――――――――――――。
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「……見つけたわ」
「ど、どうしよぉー…」
あたし達五人の目の前には、小さな少年二人と、とても美人の女性がいた。
あたしはそれにおどおどするしかなかった。後ろで雪音ちゃんも少し怯えている。
「…ミュー。やるよ」
「うん!ぴゃるしかないね!!」
「……大事なところで噛まないでよ…」
「ご、ごめん」
そんな可愛らしい会話をしながら、美優ちゃんとバルちゃんがあたしたちよりも一歩前に出て、その女性を睨む。
「……乙女座ね」
「えぇ、そっちは双子座よね?久しぶりだね、ジェミニ」
「わー」「バルちゃんだぁー」「「久しぶりぃー」」
ジェミニって言う双子の男の子がバルちゃんに気安く話しかけていた。これから闘うかもなのに…。
そんなことをしているうちに、バルちゃんは手を横に広げ、少し待つ。
すると、彼の手の方から光が現れ、それは形を成していく。………ギターだ。
「「あっれー?バルちゃん去年はハープだったじゃん。楽器チェンジしたの?」」
「あぁ…。こっちの方がしっくり来るんだ……よ!!」
言葉の最後とともに、バルちゃんは思いっきりギターの弦を奏でる。
決して下手ではないのに、思わず耳を塞いでしまいたくなるぐらい耳が痛い。
あたし達だけじゃない。ジェミニも李里香って女性も同じく耳を塞いでいる。
「まだまだこっからだよぉ!!」
そのままバルちゃんはギターを奏でる。デスメタみたいな調子の音色だ。
その音はまるであたし達の内部から苦しめるように響き渡る。
「……あれ?痛くなくなった??」
「ごめんね、バルちゃんが先に始めちゃうから…」
あたし達は痛みが消えたのに戸惑っていると、美優ちゃんが苦笑いしながらいってきた。
「占い師である私は、バルちゃんの演奏の「効果」を無くさせる能力があるんだ。まあ「耳栓」だね♪」
「そ、そうなんだぁ……バルちゃん。大丈夫かなぁー」
「大丈夫だよ。バルちゃんなら」
美優ちゃんが、あたしの顔を見ず、演奏し続けているバルちゃんを見つめていった。
その瞳は完全に彼女を信頼している目だった。
「さあ!あたしのライブの始まりだぁ!!」
バルちゃんはノリノリでそう叫んだ。
こうして、バルちゃんVSジェミニの対決も火蓋を切ったのだった。
☆
まさかの毒島くんの「敵」化!?
そしてバルちゃんもついに能力のベールを脱ぐ!?
な終わり方を致しました^^
後編は主に激しいバトルになります
是非読んで、感想をください♪
ではでは^^