世界
世界とはどうやって存在するのだろう?
それは物語だ。
世界は物語で成り立つ。
物語がなければ世界は成り立たない。
ここは、この世界にある異世界だ。
世界の中に物語を担当する異世界を包含することで、世界の自壊を防いでいる。
逆に言えば、そこに異世界――物語があるからこそ、この世界は存在している。
だがどうだろう?
異世界の物語。それは無限に続き、無限に生まれ、無限に語られるのだろうか?
――否。
物語は生まれ、収束し、そこでその世界の物語は終わる。
終わった世界の新たな物語は、その多くは。読み手の期待に添えずに失敗する。
それを防ぐには。
物語の種を――完結した世界ではなく外の世界から呼ぶ。
ここに呼ばれるのは、死が確定し、この異世界を満ちさせる物語を紡ぐことのできる人間だ。
《欲せ。
対価を払え。
さすれば汝に、望むものを与えよう。
そうして世界に降り立ちよ。
古き世界での死を対価に、新しき世界での生を得よ。
ここは世界の門――異界の界。
新たな世界への、旅立ちの扉》
それを伝えることが、この異界の界の役割。
さあ――
――望め。
――払え。