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4-9

二匹目は、ロシアンブルーのような気品ある短毛種の子。毛並みの色は神秘的な青で、瞳の色も夏の空のような爽やかな空色。


 三匹目は、見た目と柄はシャムネコそのもの! だけどやっぱり毛並みの色合いが変わっていて、白地に尻尾と手足の先と顔、耳の色が淡い翡翠色で、瞳も翡翠色。


 三匹とも、大きさは三キロから四キロってところだと思う。一般的な成猫の大きさ。


 床にふわりと降り立って、じっと私を見つめる。


「っ……!」


 かっ……可愛いっ! これぞにゃんこっ!


 いや、イフリートも可愛いのよ? ちょっと私のイメージしている猫のサイズではないだけで。一応、家猫の最大値ぐらいの大きさではあるから、非常識な大きさってわけではないんだけどね。


 もしかして、お願いすれば小さくなってくれるのかもしれないけれど、イフリートの感覚だと、『大きさ』や『強さ』が『かっこよさ』に繋がってる気がするから、言えないでいる。


『オレさまが考える理想のにゃんこ』って――今の姿を取ってくれたんだと思うから、それを私の好みだけで変えるのも違う気がするし。


 そんなことを思いながら隣を見ると、イフリートが「なんだ?」と小首を傾げる。


「なんでもないよ。ただ、イフリートだなぁって」


 うん。やっぱりこのサイズがイフリートだ。


「大好き!」


 ぎゅ~っと抱き締めると、イフリートが「オレさまも好きだぞー!」と尻尾をフリフリする。


「ず、ずるいわ! アタシだって……!」


 それを見た青い子が、ひどく悔しそうに尻尾で地面を叩いた。


「ア、アタシもあなたに声をかけるつもりだったのよ? でも、イフリートが先に出てっちゃって、それで……」


「それでスネて、今まで出てこなかったんだよな? 小せぇの!」


「だ、だってぇ! アタシが一番がよかったの! それなのにイフリートが!」


「そんなの、オレさまが知るかよ」


 涙目で地団太を踏む青い子に、イフリートが面倒臭そうにため息をつく。


 こ、これってもしかして……いや、もしかしなくてもそういうことよね!?


「あの……あなた、は……」


 おずおずと問いかけると、青い子がツンを顔を上げる。


「アタシは水の精霊――オンディーヌよ」


 きゃあああ! やっぱり!


 続いて、チョコミントカラーの子と、白と翡翠のシャムネコ風の子も自己紹介してくれる。


「ぼ、ボクが、地の精霊――グノームです……」


「そして俺が、風の精霊――シルフィード。よろしくね、聖女」


「ッ……!」


 ドッと冷汗が噴き出す。


 や、やらかしたぁぁっ! ど、どうしよう……! オンディーヌにグノーム、シルフィードまで出てきちゃったんだけど……!


「これは……」


 アレンさんも愕然とした様子で言葉を失う。

 イフリートだけがのんびりとした様子で、新たに現れた精霊たちを見つめて小首を傾げた。


「なんだよ、お前ら。ずいぶん小さいな?」


「馬鹿ね、アタシたちが小さいんじゃないわ。イフリートが大きいのよ」


「そうだよ。普通の猫の大きさはこれぐらいだよ。まさか、知らないの?」


 シルフィードの言葉に、イフリートがうっと言葉を詰まらせる。


「し、知ってるぞ! でも、大きいほうがカッコイイだろ?」


「はぁ? かっこよくてどうするのよ」


「猫って、かっこいいものじゃないと思うんだけど……」


「聖女は可愛いものが好きだから、猫の姿を望んだんじゃないの?」


 オンディーヌ、グノーム、シルフィードの言葉に、イフリートがふにゃっと顔を歪める。


「ティ……ティア……。そうなのか……?」


 え? いや、そもそも受肉する姿を選ばせてもらった記憶なんてないけど? なんの説明もなく、ただ好きな動物を訊かれただけで。


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