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「なによ! あんたたち!」
オンディーヌが三にゃんズをにらみつける。ああ、喧嘩しちゃ駄目だよ。
「オンディーヌは甘いものが大好きだから、その意見はすごく参考になったよ」
「え? そうなのか?」
「ほぉーら!」
オンディーヌが鼻高々でさらに胸を張る。あー……もう、そんなところが好きっ……!
実際、本当にオンディーヌの意見は役立った。
まだオンディーヌはメロンパンを知らないから、メロンパンはこういうものという先入観がない。
伝えたのは、クッキー生地とパン生地の二層のパンで、果物のメロンを模した形という、本当に最低限の情報だけ。
あとは試作品を食べて、自由に感想を言ってもらった。
『クッキー生地はサクッとホロッとよりも、カリッとザクッとしているほうが好き。そのほうが、下のふわふわとより食感の違いが楽しめるもの』
『メロンパンって名前を聞いて、フルーツのメロンに似た形を見て、想像する味ってあると思うの。実際にフルーツを使ってなくても、フルーツっぽい味を想像すると思うのよ。だから、このパンに蜂蜜は合わないと思うわ。蜂蜜は大好きだけど」
『ねぇ、ティア、前に食べたリンゴを思い出したんだけど、もしかしてフルーツって甘いだけじゃないんじゃない? だったら、このパンも少し爽やかな感じがするといいかもしれないわ』
本当に真剣に考えて、たくさんの意見をくれた。そのどれもがものすごく参考になった。
おかげで、この世界の人々の心を最大限ときめかせることのできるパンに仕上がったと思う!
「じゃあ、皆にも食べてもらおう」
メロンパンの粗熱が取れたのを確認して、全員にメロンパンを渡す。
ふふっ。にゃんこと大きなメロンパンの対比が面白くて、すごく可愛い!
「じゃあ、いただきます!」
「「「「いただきまーす!」」」」
みんなで、大きなメロンパンに、大きな口を開けてかぶりつく!
そして、大きく目を見開き、顔を見合わせた。
「「「「美味しい~っ!」」」」
クッキー生地はザクッといい歯ごたえ。端のカリッとした部分もいい。
しっかり甘いんだけど、レモン果汁を加えているから、爽やかさも感じられる。
パンの部分はもうふわっふわ! ほかのパンにはない、唯一無二のエアリーな柔らかさ!
こ、これは我ながら会心のでき!
「ティア! 美味しいぞ!」
「こ、これ、ボク大好き!」
「ザクザクで、ふわふわで、面白いよ!」
「ほぉーら! みなさい! アンタたち! アタシってばすごいんだから!」
オンディーヌが嬉しくてたまらないといった様子で笑う。
「最高のパンよ! ティア! このパンにときめかない人間なんていないわ! 絶対よ!」
私もそう思う!
ありがとう! オンディーヌのおかげよ!
私も満面の笑みで、オンディーヌを抱き締めた。
「このオンディーヌが保証するわ!」
少しお休みをいただきます。
八章開始は7月16日(火)です。
再開をお待ちくださいませ。