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通りゃんせ  作者: 楓 海
7/11

ベッド

 読んで戴けたら嬉しいです。゜+.゜(´▽`人)゜+.゜


 里香は孝則がシャワーを浴びに出て行った後、暫く安らかに眠る静音の寝顔を見詰めていたが、疲れを感じてゆっくり立ち上がるともうひとつのベッドに腰掛けた。


 静音を見ながらそこに横たわった。


『静音、アタシ知ってるんだ

 アンタが孝則のこと好きだって·········

 引っ込み思案のアンタが恋をしたのは応援してあげたいけど、アタシもどうしようもないくらい孝則のこと好きなんだよ

 本当に、どうしたらいいんだろう·············』


 里香はそんな事を考えながら、いつの間にか眠りに堕ちていた。

 

 里香は夢を見る。


 それはイメージの羅列だった。


 手首に無数のリスカの痕。


 ここから出たいと強く思う。


 スリッパで鉄のドアを叩き続け。


 次の瞬間、里香は何かから逃げようと一本道を走っていた。


 追われる恐怖が背中に貼り付いて、振り返る事ができない。


 一心不乱に走って、やっと民家を見付ける。


 一条の希望を持ってその大きな民家に救いを求めて呼び鈴を鳴らす。


 現れたのは佳代だった。


 佳代は優しい笑みを浮かべ、建物に招き入れてくれる。


 しかし次の瞬間、看護師に両腕を掴まれ車に乗せられて、元の独房に閉じ込められる。


 鉄のドアをスリッパで叩いた。


 出たいと強く思う。


 底無しの絶望がふと軽くなった時、もう終わりにしようと思った。


 ベッドのシーツを破って繋ぎ合わせ、ベッドの手摺に括り付け座ったまま首を吊った。


 苦しい、息ができないと思った瞬間目を覚ました。


 起き上がると全身にじっとり汗をかいていた。


 里香は反射的に静音を見たが、静音は何事も無く、小さな寝息を立てている。


 里香は安堵して、腕時計を見ると30分も経って居なかった。


 足をベッドから下ろすと、酷く身体がだるかった。


 里香は今見た夢を思い項垂れた。


 あの夢はなんだったんだろうと思う。


 廃病院でのことと佳代の話があまりにも衝撃的だったから、あんな夢を見たのだろうか。


 静かだった。


 こんなにも草木に囲まれているのに虫の声さえ聞こえて来ない。


「·············て···················」


 何か聞こえた気がした。


 何か言っているのだろうかと静音を見るが、静音は先ほどと変わらず寝息を立てている。


「···········出して··················」


 今度は少しはっきりと聞こえた。


 カリカリと小さな音がした。


 なんの音だろうと辺りを見回すが該当する物が見当たらない。


 ベッドの下から黒い手が床を引っ掻きながら伸びて来る。


 里香は急に足首を掴まれ悲鳴を上げる。


 足元を見るとどす黒い手がベッドの下から伸びて里香の足首をがっちりと掴んでいた。


 冷たい感触が不気味に伝わってくる。


 一瞬里香は何がなんなのか理解できなかった。


 ベッドの下から顔が出て来て、里香と目が合った。


 顔の目は恨みの籠った鋭さを孕んではいなかった。


 痩せこけて堕ち窪んだ目は、ただただ深い哀しみを湛えている。


「出して··················」


 顔は哀しそうにそう言った。


 しかし急な、非現実的な出来事に里香は冷静さを失い大声で悲鳴を上げ、足首を掴む手を引き剥がそうと手でむしり取ろうとした。


 急にドアがバンと開き、里香は条件反射に従いドアの方を見た。


 そこには蒼ざめた顔の孝則が立っていた。


 孝則は髪が濡れたままで雫が垂れている。


「静音、大丈夫か?! 」


 風呂場から逃げて来た孝則は廊下の途中で悲鳴を聞きつけ慌ててドアを開いたのだった。


 里香は孝則の姿を認めると助けを求めた。


「孝則、助けて!

 顔が·············!!

 足を掴まれてるの!! 」


 孝則は里香の足元を見るが里香の足が見えるだけで掴まれているようには見えない。


 孝則は反射的に静音を見た。

 

 静音はあれほど大きな悲鳴がすぐ傍で発せられたと言うのに何事も無かったように眠っている。


 孝則はゆっくりと大きく息を吐き出すと里香に言った。


「大丈夫だよ、里香

 そいつはもう居ない」


 里香は自分の足元を見て、一瞬放心状態になった。


 我に返ると恐怖に駆られた里香は慌てて走り孝則に抱き付いた。


 急に抱き付いて来た里香に驚いたが、里香も怖い思いをしたことは想像に難くない。


 孝則は戸惑いながらも里香の背中をあやすように撫でる。


「大丈夫だよ、里香················」


 二人は暫くそうしていたが、里香はハッとして孝則から身体を離した。


 里香は恥ずかしさを隠す為、孝則に背を向け少し怒ったように言った。


「もう何なのよ、あれ

 アタシ夢でも見ていたの?! 」


 孝則が冷静に言った。


「いや、夢じゃ無いよ

 オレも見たんだ··········」


 里香は驚いて孝則を振り返る。


「見たって、あれを··········? 」


「ああ·················」








 読んで戴き有り難うございます❗(人´▽`*)♪


 この間、裏の空き地の草刈りがあったんてすよお。

 草刈りが終わった後、窓開けたら(網戸ありません)ハエがいっぱい入って来て、それを地道にハエ叩きで退治していたらなんと十五六匹くらいやっつけました。

 娘にフマキラーと呼ばれました。

 フマキラーはゴキちゃんでしょって言ったらハエキラーになりました。

 褒められているのでしょうが、褒められた気がしません。笑笑

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― 新着の感想 ―
[一言] わーっ(^^ゞ 私がもしも里香だったとしたら、強烈にショックなシーンだったのですが、変な奴に足を掴まれてパニックになっていたため本物の里香は気付かなかったのかな……!? って言う場面がありま…
[一言] 孝則たちが見た手、一体正体はなんなのでしょうね…もしかしなくても正体も何もないものなのでしょうか…怖過ぎます。
2023/07/31 19:17 退会済み
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