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通りゃんせ  作者: 楓 海
5/11

自殺者

 読んで戴けたら嬉しいです。(人´▽`*)♪

 孝則も手伝って静音は里香と二人にステキな支えられ建物の中に入った。


 広い玄関には大きな下駄箱があり、そこを抜けると廊下を跨いで大きな食堂らしい部屋が続いていた。


 いくつもの大きなテーブルと丸い椅子が並んでいる。


 奥にソファを見付けると一端静音を座らせ、里香も隣に座り静音を守るように肩を抱いた。


 静音は里香の肩に頭を預けて俯いている。


 孝則は傍にあった丸椅子を引き寄せて、それに腰かけた。


 屋根のある広い空間に人心地ついたが、暫く話す気力さえ失くして三人は黙りこくっていた。


 女性が厨房らしい部屋からお盆に飲み物を載せて現れる。


「ごめんなさいね、コーヒーぐらいしか無くて、でも温かい飲み物は落ち着きますよ」


 そう言って里香と孝則に湯気の上がるカップを渡し、静音に渡そうとすると静音は小さな声で言った。


「その手にのるか」


「え? 」


 里香が訊き返すが静音は答えなかった。


 女性は気にする風も無く、黙ってカップをお盆に載せたまま傍のテーブルに置いた。


 一口コーヒーを啜ると孝則が言った。


「ありがとうございます

 本当に助かりました」


 里香も倣って礼を言い、頭を下げた。


 孝則は室内を見回して言った。


「ここはどうゆう建物なんですか?

 人が住むだけにしては大きいし、こんな街外れに·········」


 女性は傍の丸椅子に座った。


「ここはあの廃病院に勤める看護婦の寮だったんですよ

 祖父の時代からこの寮を管理していたんです」


 里香が訊いた。


「他のご家族は? 」


「私だけです

 あの廃病院が閉鎖になったと同時に祖父母は働き口を見付けてここを出て行きましたから」


 里香が目を丸くして言った。


「え?

 じゃあ、何故あなたはここに? 」


「私は変わり者なんです

 この建物の権利は祖父の物でしたから、社会に馴染めない私はここで世捨て人になりました」


 女性はそう言うと意味ありげにふふっと笑った。


 そして静音を見ると言った。


「具合の悪い方はベッドで休ませた方がいいでしょう

 こちらへどうぞ··········」


 女性が立ち上がると孝則は立ち上がって自己紹介をした。


「木村孝則と言います

 お世話になります」


 孝則が握手を求めると女性はにっこり微笑んで握手に応じた。


「私は伊藤佳代と言います

 不自由があったらなんでも言って下さい」


 里香は静音を気遣って座ったままで手を差し出す。


「時任里香です

 こっちは本庄静音」


 佳代が先頭に立って、三人を玄関の直ぐ傍に在る部屋へと案内した。


 部屋はそこそこ広く二つのベッドと棚が幾つか在るだけだった。


 孝則と里香の二人がドア側に置いてあるベッドに静音を寝かせると佳代は言った。


「この方は何か病気なのですか? 」


「それが·················」


 孝則はこの事を言う事であの廃病院へ行ったことを佳代に戒められるのではないかと警戒して口ごもった。


 だが里香が思い切ったように言った。


「あの廃病院で、変な事があってそれで具合が悪くなったんです」


「変な事? 」


 孝則は諦めたように言った。


「音がしたんです」


「音? 」


 佳代は問うような目を孝則に向ける。


「壁を何かで叩く音が何度も鳴って···········」


 こんな事を言ったら頭がおかしいとか怖がらせる為に作り話をしているのではないかと思われる気がした。


 しかし佳代は眉をしかめ言った。


「それは驚いたことでしょう

 あの病院は色んな因縁のある病院で、訪れた人は何かしらおかしな体験をされるみたいですね」


 孝則は少し興奮ぎみに言った。


「オレたちの他にもそうした体験をした人が? 」


 佳代は落ち着いた表情で頷いた。


「多分その音は独房に入れられた人がサンダルやスリッパなどの履き物で鉄の扉を叩く音でしょう」


 里香が小声で漏らした。


「鉄の扉·········あ、あの部屋·········」


 孝則は身を乗り出した。


「多分、オレ等が見た部屋だと思います」


「症状の酷い患者さんはベッドとトイレが在るだけの独房に何日も閉じ込められるんです

 閉じ込められた患者は出して、出してと言って扉をずっと履き物で叩き続けるんですよ

 でもそうやって叩き続けてる間は決して出しては貰えないんです」


「なんだか可哀想···········」


 里香がポツリと言った。


「籠ってしまった念が訪問者に訴えているのかもしれませんね

 人の念はあらゆる物を具現化する力を持っています

 それが私たちの言う幽霊とか霊現象と言うものなのかもしれませんね」

 

 里香が遠慮がちに訊いた。


「あの病院では、自殺した人が居たと聞きました」


 佳代は哀しそうに目を伏せて言った。


「ええ、酷い鬱症状の患者さんがベッドのパイプに、破って繋ぎ合わせたシーツを括り付けて、座ったまま首を吊って亡くなりました

 申し合わせたように同じやり方で何人もの方が亡くなっているんですよ

 まるで感染でもしたように」


 里香が思い付いたように言った。


「でもあの部屋にベッドはありませんでした

 マットレスが置いてあるだけでした」


「以前はベッドが置いてあったんですけど、あんまり同じやり方で自殺する人が続いたので、ベッドは取り除かれたんです」










 読んで戴き有り難うございます。゜+.゜(´▽`人)゜+.゜


 今窓を開けていたら、さらさらと雨が振り出しました。

 お天気予報では2時に降ると言っていて今は1時59分。

 ぴったりに降りだしました。

 いつも当たらない天気予報ですが、今日はドンピシャのようです。


 今日は二度目の更新です。

 昨日、時間が空いたので打ち込み次の分もしておいたんですよね。

 なろうのホラー企画「帰り道」、完結しないと参加できないので、なるべく早く完結しないとなあ、と思っています。

 これで5話、残り6話です。

 楽しんで戴けたらいいなあ。(*´Д`*)

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― 新着の感想 ―
[一言] やはり舞台装置って大切ですよね。 廃病院と看護師寮そして管理人の女の人……。 これだけで、怖いよう。
[一言] この女性、なんか怪しいですよね…。何かしら、ある意味では幽霊の元締めのような感じがします…。そうでなければいいのですが…。幽霊だったり、しませんよね…?
2023/07/30 18:25 退会済み
管理
[一言] 静音さん、何かに取りつかれたのでしょうか(・_・;) なんとなく、病院も怖いですが、看護師さんたちの寮の方が現実的に虐めや虐待などがあって、その怨念が住み着いていそうで怖いかも(゜Д゜;)
感想一覧
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