民家
読んで戴けたら嬉しいです。<(_ _*)>
孝則は運転に専念し、里香は静音の背中を優しく摩りながら代わり映えのしない黒い木々の流れて行く様を眺めた。
出口が途方も無く遠く感じられる。
孝則はあのバン!と壁を叩くような音がなんなのかを考えていた。
霊的な物の仕業だったのか、何かの自然現象で鳴ったものなのか·····。
自然現象だったとして何があんな音を出していたと言うのか。
家鳴りだったとでも言うのか········。
「あ、看板! 」
フロントを覗き込んでいた里香が言った。
「あの変な看板があったって言う事は、もう少しで出口だね」
少なからず安堵して孝則は言った。
「そうだな·········
静音の様子は? 」
里香が静音の様子を見ると暗がりなので顔色までは見えなかったが静音の呼吸は未だ苦しそうで、片方の手でもう片方の半袖の裾を強く握り、その手は小刻みに震えていた。
俯いたままその震える手を徐に伸ばして窓を指差し、静音が弱々しく言った。
「あそこで休ませてくれないかな」
「え? 」
孝則と里香は静音が指差す方へと視線を移す。
鬱蒼と茂る草木の合間に灯りが見え隠れしている。
孝則は車を止めて窓を開き灯りの方へ目を凝らす。
確かに灯りは灯っていて民家が在るようだ。
里香が言った。
「こんな処に家なんて、行く時は気付かなかった」
孝則ご言う。
「あんな奥まっていたから気付かなかったんだろうな········」
孝則は意見を求めるように里香を見た。
「どうする? 」
里香は苦しそうにしている静音を暫く見詰めて言った。
「ここを抜けても家までかなりの距離あるし、静音も苦しそう、落ち着くまで休ませて貰えないかな」
「解った、オレが先に行って休ませて貰えるか訊いてみるよ」
そう言うと孝則は車を木の間にある草むらに止めてヘッドライトを点けたままで降りた。
孝則は草を掻き分け窓に手をついて、車の中で静音の肩を不安そうに撫でている里香に言った。
「じゃ、行って来るから
里香、静音を頼むよ」
「解った」
里香は不安気な顔で、草を掻き分けながらやがて消えて行く孝則を見送った。
孝則は車が入れる道はないかと注意深く懐中電灯を照らし、見回しながら先を進んだ。
灯りの灯る民家へは思ったほど距離も無く、民家の前には車が止められるスペースと右手に道路が続いているのが見えた。
民家を照らすと、民家と言うには余りに大きな建物で手入れされている痕跡が酷く気持ちを落ち着かせた。
呼び鈴を鳴らすと暫くして一人の女性が木製のドアを開いた。
女性は三十前後で何処か厳しさを感じる面持ちをしているが孝則を見ると優しく微笑み言った。
「こんな処にお客様とは珍しいです
ご用件はなんですか? 」
女性は髪を後ろで丸め何故か白いブラウスにスーツを着ていて威厳を感じさせたが、物言いが柔らかだったので、頼みごとが言いやすかった。
「友人が具合を悪くして困っているんです
少し休ませて戴けたら助かるのですが」
女性は慈愛に満ちた表情で言った。
「それはお困りですね」
女性は孝則の後ろを気にしながら更に続けた。
「具合の悪いお友達は車ですか?
通りゃんせと云う看板の処にここへの入口が在りますよ」
孝則は安堵の笑みを浮かべた。
「ありがとうございます
助かります
今友人を連れて来ますので宜しくお願いします」
車に戻ると孝則の姿を見付けた里香は今にも泣きそうな笑顔でもって孝則を迎えた。
車をなんとかUターンさせ看板の処まで戻ると女性が言ったように確かに小道があった。
「こんな処に小道なんて在った? 」
里香は首を傾げる。
建物に着くと外で待っていた女性は後部座席のドアを開いた。
「早く家の中へ」
里香は憔悴した顔で笑顔を作り、礼を言った。
「ありがとうございます
助かりました」
女性はにっこり笑って言った。
「困った時はお互い様」
読んで戴き有り難うございます❗゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
まだホラーを書くのは二度目なのですが、ストーリー考えるのに苦労したことがないんですよ。
気が付いたら、あら書けちゃった。
と云う具合なんです。
こんな事下の娘には絶対言えません。
下の娘がホラー書けと、めっちゃプッシュして来るんですよね。
おかんの文体はホラーに向いてる、とかなんとか言って乗せるの上手いんですよお。笑
娘はホラーが凄く好きで、その手の小説も読みまくっているので、中々厳しいです。
今回もまたダメ出しが出て、書き直ししてます。。゜(゜´Д`゜)゜。
お風呂と暗がりが怖い日々が続きそうです。笑