音
読んで戴けたら、嬉しいです❗゜+。:.゜(*゜Д゜*)゜.:。+゜
「なんの部屋だったんだろうね」
ドアの直ぐ横には仕切りが在り、その向こうに便器がある。
部屋の奥ではゴミと雑草に埋もれたマットレスがひとつ置いてあるだけだった。
里香が落ちている古ぼけたサンダルを拾い上げる。
バン!!
いきなり何かで硬質な壁を叩く音が鳴り響いた。
里香と静音は悲鳴を上げて孝則の肩に飛び付く。
「やっぱり誰か居るんだよ! 」
静音が声にならない声で叫ぶように言った。
「いや、そんな筈無いって! 」
三人は懐中電灯で四方八方を照らすが、何処を照らしても人影のような物は見当たらなかった。
三人が一塊になり部屋の中央へ恐る恐る突き進む。
ギーー、バタン!!
三人はその音に飛び上がって後ろを振り返る。
鉄のドアが閉まっていた。
だが人影は無い。
孝則が直ぐに駆けてドアを開けようとするが、ノブが回らず開ける事ができない。
静音が怯えて言う。
「どうして急にドアが閉まったの? 」
「誰かが怖がらせようとしてるのよ」
里香が声を荒げて叫ぶ。
「誰よ!
出て来なさいよ!! 」
声が反響したあと、静寂だけが続く·········。
バン!!
今度は軽い何かで壁を叩く音が響いた。
音がした方へ孝則が直ぐに懐中電灯の灯りを向けるが、そこは人の手が届かない天井に近い位置である。
凍り付くような寒気が背中に貼り付く。
誰が、いや何が音を立てていると言うのか。
また
バン!
と叩く音がする。
今度は里香もそこへと光を当てる。
今度は地面に近かったが人影は無い。
バン!
と音が響く。
三人が光を当てる。
しかし、人影は無い。
言い知れない不安が三人を捕らえる。
静音の顔が蒼ざめて行く。
バン!
とまた音がする。
三人が光を当てる。
だが人影は無い。
恐怖が落とされ広がって行く。
三人は興奮状態に陥って行った。
それを繰り返していると今度は短いスパンで壁を叩く音が鳴り始める。
もう光を当てる余裕も無く次々と音があちこちから鳴り響き、三人は音の鳴る方に目線を向けるのがやっとだった。
音の隙間に三人の興奮し切った吐息が暗闇に固まって聞こえた。
恐怖の高まりがともすると狂気に喰われそうになる。
静音が堪えきれず、悲鳴を上げながらしゃがみ込んだ。
それを見た里香が叫ぶ。
「いい加減にしろっ!! 」
音が止んだ。
孝則が静音と里香の腕を掴んで走り出した。
あれほど回そうとしても回らなかったドアノブが素直に回ってドアが開いた。
三人は部屋から吐き出されるように飛び出した。
恐怖から逃れようとする三人を、壁を叩く音が追いかけて来る。
それはどう考えても人間業でできる事では無かった。
三人は転がるように階段を駆け下り、一目散に廊下を駆け抜け建物から出た。
振り返る余裕も無く草原を掻き分け走る。
しかし草が妨害して車の位置が解らない。
三人ふ迷いながら、やっとの思いで車を見付けて慌てて乗り込み発進させた。
「何なのあれ?! 」
里香が後部座席から後ろを振り返り興奮して言った。
孝則は運転に集中しようと黙り込んでいた。
静音の身体がぐらりと揺れて里香の肩に凭れかかる。
里香は驚いて静音を見た。
静音は俯き、目を閉じて苦しそうに呼吸を乱していた。
「大丈夫、静音?! 」
静音は答えなかった。
「静音、大丈夫? 」
孝則がバックミラーに映る二人を見て言う。
里香が答える。
「解らないけど、凄く辛そう」
「早く病院に連れて行った方がいいかもな」
それから三人は沈黙した。
読んで戴き有り難うございます❗゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
今日は家族みんなで、「KINGDUM 2」を観ました❗
面白かったです。
でもCMが辛いんですよね。
スポンサーの宣伝は大事なのかもしれないけど、あんなに頻繁にCMしてたら、とっても疲れるし、CMしてる会社が嫌な奴に見えて来ます。
CM流すなとは言わないから、せめてもう少し少なくしてくれたらいいのになあ。