隠れ部屋
読んで戴けたら、嬉しいです❗゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
人の背丈ほどもある雑草に阻まれてはいたが、二階建ての屋根がその向こうに見えていた。
すっかり陽は落ち、草が黒く揺れ不気味な雰囲気を醸し出していた。
車を降りると里香が雑草を踏み倒しながら言う。
「うわあ、草の海だよお」
孝則が懐中電灯で辺りを照らすが見えるのは黒い雑草のしなった頭ばかりだった。
「そんじゃ行こうか」
三人は各々懐中電灯を持ち孝則を先頭に、廃屋の屋根を目指し歩き出した。
雑草を掻き分け踏み倒しながら歩くのは思いの外骨が折れる。
里香が半袖から剥き出しになっている腕を両手で摩りながら言った。
「ひー、長袖着て来れば良かったあ
身体のあちこちが痒くなって来た」
静音が相槌を打つ。
「ワタシもー」
孝則が言った。
「何十年も放置されっぱなしだもんなあ、仕方ないよ」
そんな会話をしながら歩いている内に、建物の壁に辿り着く。
孝則が建物の二階辺りを照らしながら言う。
「ひょえー、いかにも出そうな雰囲気」
窓ガラスと云う窓ガラスは総て割れ、患者の逃亡を避ける為、窓と云う窓には鉄格子がはめられていた。
漆喰が剥がれ落ちた壁は煤けて黒ずみ、元の色が解らない。
歩みを進めて行くと、車椅子や瓦礫が草と一体化している。
突きだしの玄関が草のまにまに見えて来る。
コンクリートに降り積もった枯れ葉や土埃にまで雑草が侵食していた。
木製の大きな観音開きのドアを見ると、最近誰かが入ったのかそこだけ土が削れて弧を描いていた。
「アタシたちの他にも物好きはいるんだねえ」
里香が笑う。
「よし!
写真撮ろう」
里香は穿いていたジーパンのポケットからスマホを取り出し構える。
孝則は静音の肩に肘を載せて、ピースサインした。
静音は俯き加減に両手を膝の処で重ねている。
思う存分写真を撮ると、意を決して孝則がノブに手を掛ける。
ドアがギシギシと音を立て、湿った土の匂いと埃の匂いとが入り交じった冷たい空気が二の腕を掠めて外へと放出された。
室内を覗くと暗闇が視界を遮断していた。
「真っ暗······何も見えない」
静音が怯えるように言う。
孝則が懐中電灯で中を照らす。
エントランスは広く長年降り積もった埃の固まっている場所に雑草が生えていてその隙間にゴミが雨風に晒された為に練り上げられ、硬質な質感を主張している。
処々の壊れた椅子など家具が時間に取り残されて草の一部になっていた。
三人はゆっくりと奥へ進む。
正面の廊下を進むといくつもの部屋が両側にある。
ドアを開いたままの暗い部屋は誘うように口を開けているように見える。
懐中電灯の光をあてるとほとんどの部屋が雑草の温床になっていた。
忘れ去られたベッドは溶け込むように雑草に塗れている。
途中で階段を見付け登ってみる。
階段を登りきるとナースステーションらしき部屋がある。
奥に開きっぱなしのドアがあり細長い廊下が見える。
廊下を進むと右手に小窓が在るが向こう側に部屋が在る。
窓の直ぐ隣に木製では無い分厚い鉄のドアがあった。
玄関の扉ですら木製でできているのにこの部屋だけ鉄のドアなのは違和感が湧いた。
中に入ろうとすると末尾を歩いていた静音は何かが後ろのナースステーションを通った気がして振り返る。
黒い塊がナースステーションを横切ったように見えた。
「ねえ、誰か居るみたい·········」
里香がおどけて言う。
「またまたあ、静音怖がらせようとして変な事言わないでよお」
「え、だって今後ろを誰か横切ったよ」
孝則が今来た廊下を照らしながら言った。
「もし誰かが居たとしたら、こんな場所だよ
オレたちに声掛けるんじゃない
それにこんな暗がりだよ
何かの灯りでてらさなかったら、おかしいだろ」
「うーん········」
はっきり見た訳では無かった静音は話題を変える為に鉄のドアが在る部屋に入って行った。
読んで戴き有り難うございます。<(_ _*)>
この間、内科検診があったんです。
採血があったのですが、その看護婦さん二回射しても上手く行かず、別の看護婦さんに取って貰いました。
でも最初の看護婦さんの方は痛くなかったのですが、採血上手くできた看護婦の時は痛かったです。
太ってから採血で看護婦さんを悩ますようになりました。
太ると血管も贅肉に埋もれてしまうんですね。笑笑