出口
読んで戴けたら嬉しいです。゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
「とにかくここから出よう!
ここを出たら静音がもとに戻るかもしれない! 」
孝則は静音の腕を自分の首に回すと、静音をゆっくり立たせた。
里香もそれに倣い孝則とは反対側から静音の身体を支えた。
廊下を急いで通過さる間中、「出して、出して」と言う声が付きまとった。
出口に近付くほどに声は大きくなった。
里香は耳を覆った。
だが玄関を出た途端、声はピタリと止む。
急いで静音を後部座席に押し込むと、その隣に里香が乗り、孝則の運転で車を発進させた。
緊迫した空気は三人を黙らせた。
小道を抜けると右に曲がり「通りゃんせ」の看板が車を見送った。
里香は項垂れて自分に凭れ掛かる静音を見て、後悔の念が湧き上がる。
もし自分がここへ誘わなければ、静音はこんな状態にはならなくっただろうと思うと申し訳なかった。
里香は孝則に聞こえないくらいの小声で静音に話し掛ける。
少しでも静音に元気になって貰いたかった。
「あのね、静音
さっきね、アタシが悲鳴を上げた時飛び込んで来た孝則は真っ先に、静音、大丈夫かって言ったんだよ
孝則にとって一番心配なのは静音なんだよ」
そして車は走り続ける。
いつまでも、いつまでも·················。
里香が不安気に言った。
「ねえ、孝則車止めて
あれ、看板じゃない? 」
車を止めると、孝則は車を降りて看板を調べた。
雑草を避けた跡があった。
車に戻ると孝則は言った。
「間違い無いよ、来る時に見た看板だ
草を避ける時何本か草を折った跡があった」
「そんなバカな!
一本道だよ、迷う筈無い! 」
孝則と里香はナビを覗き込む。
「バカな!
道が無くなってる··············! 」
孝則と里香は唖然と画面を見詰めた。
里香は孝則の肩を掴んだ。
「車、出して! 」
里香は力強く言った。
「とにかく出口に辿り着くまで車を走らせるのよ! 」
佳代は食堂でテーブルに着き、コーヒーを飲んでいた。
捲って折った袖の裾から歪な形の腕が覗いている。
カップを持っていない手でその腕を撫でた。
誰に言うのでも無く佳代は一人言ちる。
「病院に戻した患者の怨みを買って、私は患者たちの怨念に呪い殺された
私もまたこここら出られない一人になってしまった
自殺した患者たちの怨みは深い
決してここから何人たりとも出しはしない
それが私の怨念
そしてこの怨念が、出たいけど出る事がてきない患者たちの怨念と重なって誰一人、抜け出す事はできない
どえして、こうなってしまったのか·············
いったい誰が悪いと言うのだろう·····················」
通りゃんせ、無限に続く帰り道
生きるよりも辛い、死ぬよりも辛い帰り道
誰がが見てる
誰も助けてくれないよ
延々続く帰り道
永遠に続く帰り道
fin
最後までお付き合い戴き、有り難うございます❗<(_ _*)>
人生2度目に書いたホラー作品ですが、いかがだったでしょうか。
自分では時間が無かったので、急いで書いた割には満足しています。
ずっと感想やコメントで応援下さった、湖灯様、Orca様、枝垂れ桜のお蘭様、恣迷様、本当に有り難うございました。<(_ _*)>
心から感謝しています。
最後まで読んで下さった皆様、本当に有り難うございました。<(_ _*)>
また別の作品でお逢いできたら嬉しいです。
お元気で。(o´▽`o)ノ