「悪役令嬢って私のことですの?」勘違いポンコツ令嬢奮闘記
プロローグ
「大変ですわ…!」
窓から見える空が白む頃、ベッドの中で徹夜で古い本を読み終えたエリザベート公爵令嬢は呟いた。まさか自分が悪役令嬢だったなんて。
その本はたまたま王宮の図書館で見つけた本だった。本には悪役令嬢が断罪と婚約破棄され、処刑されたあと時間が前戻り、前世のニホンの記憶を思い出し、前世の知識を利用して婚約者の王太子と男爵令嬢にざまぁする話がが書かれていた。王太子は廃嫡され、戦場に送られ実質死刑になっている。
面白くて一晩で読んでしまったが、読めば読むほど主人公の悪役令嬢とは名前が違えど自分とそっくりなのだ。
時間が舞い戻る前の悪役令嬢は王太子の婚約者であることを鼻にかけて、わがまま放題でみんなの嫌われ者だった。
気に入らないメイドをクビにする。お茶会で気が弱そうな令嬢を子分にする。王太子に前触れもなく押しかける。一応王位継承権のある王太子の従兄弟に無理難題を言って困らせる。
これ、全部やりましたわ。
もしかしてこの本は預言書かもしれない。エリザベートはベッドで正座し考える。
わたくし、前世はニホンジンだった気がしてきましたわ。この本に出てくるニホンの食べ物大好きですし。
このままだと18歳の学園卒業パーティーで断罪され、婚約破棄されてしまう。そして、私は処刑!処刑とかわたくしが何をしたと言うの。時間が舞い戻るとしても処刑は嫌ですわ。婚約破棄も嫌ですわ。
婚約破棄まであと4年。どうしたらいいのかしら。
そうだわ!レオナード殿下に直談判に行きましょう!!
「おはようございます、お嬢様。もう、起きてらしたんですね。」
「エルザ。早く用意して。王宮に行くわよ。」
「今からですか?朝食もまだですのに。」
「今すぐよ!!!」
「はい!」
この頃のエリザベート公爵令嬢はこう言われていた。思い込みの激しいポンコツ令嬢。しかし、この時の勘違いが波紋を呼び、後の世でこう言われるのである。
レオナード王と共に国を支えた聡妃エリザベート。