魔の手
誤字脱字があればご指摘くださいませ。
王都に戻って3日。
今は宿屋の食事処でまったりしている所だ。
少し遅いブランチ。犬の刻半。約10時30分だ。
これまで俺はこの世界の時間軸を知らないで過ごしていた。だから洞窟にいる時にリィーン達に教えてもらったのだが、前世と一緒で1日24時間だという。又、時計もあるのだがその文字盤は干支の絵で描かれているらしい。昔この12の魔物の厄災があったからだとか。確かに王都の外に出るとその種類の魔物に会う確率は多いかも知れない。現在は時計として使われているが、王都でも年配の人しか干支時刻は言わないらしい。
なんでそんなことも知らないの?とリィーンに驚かれたけど、生まれてからずっと山籠もりだという苦しい言い訳で簡単に信じた。
それはそうとあの日ミストさん達と別れて後、公爵令嬢を無事連れ帰ったことで俺は王都で一躍時の人となっている。いや、なりそうになっている。表立って人前には出ていないのだ。英雄になれるのは嬉しいんだけど、やっぱりあまり目立ちたくないんだ。
ご令嬢を連れて王都に無事連れ帰ったときに門の周辺を配置されている冒険者とか騎士団に賊と間違えられた。俺一人なのに。。。
やっぱりこのローブは辞めた方がいいのかな?確かに頭からフードを被ってはいたけどさ。
凄く楽だし、凄くいい代物なんだけどな。
あ、そういえばこのローブ凄いスキル持ちなんだ。
【名前】反射ローブ
【属性】無
【ランク】A
【詳細】魔力を込めれば物理攻撃を相手に反す。
どうやら迷宮の森から帰ってくる時に『鑑定』を使いまくってたらレベルが上がったらしい。
そのおかげで詳細がより鮮明に見ることが出来るようになった。
こんなスキルがある事を知っていればもっと楽勝だったな。と思い返すことが多々あった。
まぁそれも俺を鍛える為に教えなかったのだろう。
ちなみに俺はスキルが有りすぎて自分で見るのも面倒くさい・・・
まぁよく使う『神速』なんかはレベル10のMAXになっている。そりゃあ極だものね。そして今回レベルがあがった『鑑定』も『超鑑定』になっている。
という事から、段階ごとにある一定のレベルに達するとスキルも上位スキルに進化するのだとわかった。これからは意識してスキルを使って行かないと。
『鑑定』も極になるのかな。
話を戻すけど~、、
なぜ俺は一人なのに賊と間違えられたかってやっぱり皆んなすごい神経を尖らせてたみたい。
だけどその場に一緒に居たリィーン達が命の恩人だと庇ってくれて事なきを得た。
公爵令嬢が一緒だから馬車なんかも貸してくれた。でも俺は馬車には二度と乗らない…
すっごい揺れてマジ酔った・・・ちなみにリィーン達も酔っていた。
リィーン達は慣れてるんじゃないの??と思ったものの口には出さず、魔法で状態回復をしてあげた。
門も通過することが出来て報告などの為に冒険者ギルドへリィーン達を連れていった。
騎士団員がすぐに王族やリィーンの親父さんに早馬を出していたらしく、リィーンの親父さんがギルマスの部屋のドアをぶち壊しながら入室してきた。
「リィーン!!!!」「パパ!!」
という親子の感動の再会を見届けて、コッソリとギルマスの部屋を出る。
そのままバレないように冒険者ギルドからも退散しようとしたのだが、1階にいた冒険者たちに騒がれ、担がれ、結局リィーンの親父さんにも捕まってしまった。
そのまま貴族街のハワード家へ連れていかれ、リィーンの帰還パーティ-だ。
平民街から貴族街に入るときの警備もすごいと思ってしまった。
まず街並みが全然変わってくる。目に入ってくる家々はどれも豪華で大きい。行き交う人々の着ている物もやっぱり違うんだな。まぁそんな驚きもリィーンの家に着くと全く比べ物にならないのだが・・・
豪華な屋敷、広大な敷地、豪華な食事に、豪華な家具に圧倒されてしまう。
(うん。流石は公爵家だ。これは住む世界が違うんだ)
確かに裕福なのかもしれないが、俺には貴族街は不向きだ。平民街や商店街・ギルドがある区画の方が楽しいと感じてしまう。
そんな思いも露知らず、リィーンは俺を引っ張り回すのだが・・・
仕舞いには自分の親父さんに『ソウマと結婚するわ!』なんて言っている。
俺も初耳…
しかも『王子はどうするんだ』とか言われているじゃないか。
完全にフラグだ。これ以上関わらない方がいい。
ハワード氏からも『君はどうなんだ?』とか聞かれたが『非常に光栄ではありますが、そんな大それた事は微塵も考えておりません。』と丁重に否定させて頂いた。
完全に王族を敵に回してしまうからな。
まぁ俺のそんな言葉を聞いてリィーンが『なんで!?』とか怒ってたけど。
そんなこんなでリィーンの帰還パーティ-を終えてからここ2日間はリィーンの魔の手から逃げ回っている。逃げ回っていると言ってもただギルドのクエストをこなしているだけなのだが。
まだリィーン達が帰ってきてから日も浅いから王都の外には出して貰えないんだと。
そういえばこの間の魔物たちを解体所やら素材買取所に持って行った所「全部は引き取れない」「なんて数を持ち込んだんだ」とか言われる始末。まだ半分なんだけど。
リィーン達が言っていた通り荒れに荒れてしまった。解体所職員も総出で解体をしているらしい。何かごめん。。
今回の買取はまだ出ていないけど、初日にギルドへ買取依頼したギガボアが大金貨1枚と金貨8枚に変わって俺の手元に戻ってきた。
ホクホクだ。
ただあまりにも大金だったのでギルドカードに入れておくことをミルーさんがおススメしてくれた。
しかしカワイイかっ””ww
ギルドカードにはそんな機能があるのかと驚きつつも、考えてみたら俺はギルドカードを貰ってないことに気づく。
ミルーさんにお伺いを立ててみると、初日のギガボア討伐でDランクに上がり発行が間に合わなかったとの事。さらには今回の功績でCランクに上げてしまえとギルマスが承認してくれたらしい。実力があるのに下位ランクに居られるとそれはそれで困るのだとか。
ただギルマス権限で引き上げられるのはCランクまでで、Bランクから上のランクは試験やら推薦が必要なんだとか。Sランクに至っては王族からの承認が必要なようだ。
って事はSランクに上がる際は必ず城に行かなければならないと言う事だから、やはりフラグは上手く?躱しといて良かった。
そんな訳で今俺の手の中には無事Cランクのギルドカードが。
緊急依頼の時なんかは全ランクの冒険者が参加なのだが、ランクによって配置などが変わってくるらしく、当たり前に上級冒険者から危険な場所に配置される。その為俺が自由奔放そうだと思ったギルマスは早くランクを上げる処置を取ったんだとか。
してやられた感がハンパない・・・まぁ信頼されているのは有難いが。
まぁ緊急依頼(よく聞くスタンピード?)なんか滅多にある事ではないし、ギルドカードがあることで色々な街や国に行けるようになった。お金にも困らなくなったしリィーンの脅威?もあるから少し違う街にも行ってみたいと思うようになった。
長々とゆっくり考え事をしながら朝食を終わらせた。
今日の朝メシはホットサンドみたいで旨かったな!
何か気づいたことがあればご教示くださいませ。




