お前か!
暖かい気持ちで読んでくだされば幸甚です。
空いた時間での更新ですので、ご了承くださいませ。
誤字脱字があれば、ご指摘ください。
今思えば、俺のじぃちゃんは最強だったのだと思う。考えてみれば、一人で魔物を倒せる老人【じぃちゃん】はおかしかった。
そしてそんな最強だったじぃちゃんも、病気には勝てなかったようだ。
2人でずっと暮らしてたから親がいない事も気にならなかったし、じぃちゃんが亡くなってしまった今となっては聞くこともできない。
今日で10歳となった俺。今までじぃちゃんと暮らしてきた家を飛び出して"冒険者になろう"と荷物をまとめている所で、頭の中に声が響いた。
その瞬間全てを(転生前の記憶)思い出したのだ…
「おい!くそジジイ!! ちゃんと最初から説明しろよ!」
「ふぉっふぉっふぉっ。10年間よく頑張ったの~~」
「は?!見てたんだったらもっと早く出て来いよ!」
「ハァ~、わしの優しさも分からんとは。。。
お主にもっと早くに記憶を戻しておったら、10年間もわしの修行について来れなかったじゃろ」
「………………………ん?」
「今まで記憶がなかったおかげで、命がけの生活が当たり前のようになっとったじゃろ。ふぉっふぉっふぉっ」
(う…。た、確かにそれはそうだが……………。思い出したくもない。今ここにコイツ《神様》が居たらマジで殺してやんのに…………。)
「お主に殺せるわけがなかろうて」
「心読めんのかよ!っっていうか、お前が俺のじぃちゃんかいっ!! しんみり返せ!!」
「ふぉ~、お主も10歳になったからのぉ、一人で生きていけるじゃろ。じゃから病気で亡くなる演出じゃろうて」
「……………もういいわ。疲れる。帰れ。出てくんな」
「ふぉっふぉっふぉ。そのうち修行の成果が身に沁みるじゃろうて。
それからお主を連れて王都に行ったときに、ギルドで冒険者登録は済ませてあるから行ってみるといいぞい」
(登録してあんのかよ!!ツッコミ満載か! 確か、、何度か荷物を背負って「ワシの後を着いてこい!」とか言って何日も休まず王都まで走らされてた記憶がある。。。しかも5歳くらいの時だ)
「じゃーのぉ」 プツンッ""と切れるような音とともにジジイ《神様》の声が聞こえなくなった。
「やっと消えたか。。ん~それにしても修行の成果かぁ。チート能力になってんのかね。どうやって確認するんか。とりあえず王都に向かってみるか」
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俺は今王都にある冒険者ギルドの窓口での対応待ちの列に並んでいる所だ。
王都の冒険者ギルドはとても広く、その中には宿舎や食事処が併設されている。そのため色々な人種が行き違い、音楽が流れ、冒険者たちの笑い声や喧騒といった賑わいを見せている。
「ジジイと何度か来たことがあったけど、すっげー建物と人だよな。なんで山なんかに住んでたんだよ」
そう。俺の家は山2つ越えた先だ。普通の人には山を2つ越えること事態が厳しい状況で、さらに王都に"1日"で着いているとは夢にも思わないだろう。これも今考えれば"ジジイ"が俺を鍛える為に山を住処に選んだのだろう。そんな場所で生活していたせいか基準が分からん。普通の人なら最短でも10日間。最短でもだ。もちろん道中は魔物との戦闘が起きる為、そんな早く着かないそうだ。
そんな基準もまだこの時は知りもせず、
(たぶん俺、どっかで自然とスキルを使ってる気がするな~)
なんて思っていると、、、
「小僧、ここはお前が来るところじゃねーぞww」
「テメーの親父でも見失ったか?ww」
「どこから来たんだ?ww」
(ははっ。ありがちな絡みだなぁ)
「俺たちは今日の依頼報告に来たんだが、腹も減っているし疲れてるから、順番変わりな小僧W」
「やめなさいよビクター。ごめんね。でも君は誰かと一緒にきたの?」
(!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
(やば!!なんだこの女神!えっ!エルフ?! 初めてみた…………。つか可愛すぎる…)
・・・・・・・・
数秒か、数分かどれくらい見惚れていたか分からないほど自分の中の感覚では時が止まっていた。
そんな様子にイラっとしたのかビクターと呼ばれていた男が殴りかかって掛かってきたようだ。
「クソガキがっ!!」と漏らしつつ。
目線は女神のようなエルフから逸らさずに、いや正確には逸らすことが出来ないほどの美貌に見惚れ、拳だけかわす。
「!!!!!!!!!」
その場の空気が静まり返ったのだ。
周りが静まり返ったことにようやく気付いたところで、タイミングよく「次の方どうぞ~」と案内がかかった。
う~ん、美人エルフが名残惜しいが、受付に赴くとするか。