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衝突ーーー①

各々が、ジャガーノートのコア部分に手を伸ばし、起動させる中、菜々は周りを見てオロオロと狼狽えていた。


「えと……あの、その……」


「朝凪さん?」


ジャガーノートに手を伸ばすも、中々起動しない菜々のジャガーノートを見て不思議がる祐樹。


「あの……私、まだジャガーノートと契約してない……です」


契約。それは、ヒロインの魔力をジャガーノートに覚えさせることである。


ジャガーノートは、化学と魔法の集大成であり、強度や切れ味を化学で、それを向上させるために使うのが魔法で、目には見えないが、ジャガーノートには色々と耐久度や切れ味を上げる魔法が刻まれている。


ジャガーノートは、その人の魔力に合わせ、使用者がやりやすいように徐々に変化していき、魔力を覚えていく。それが契約であり、壊れない限り、共にする相棒である。


「参ったな……アデル。朝凪さんを」


「任せて」


「皆、アデルと朝凪さん以外は周りの警戒をしてくれ。この辺は洞窟とかが多いから、注意してくれ」


「「「「了解!」」」」


この辺は、洞窟や変にできた窪みが多く、いざと言う時のヒロインたちの隠れ場所として機能しているが、それは逆も言えることであり、アビスも隠れ場所や、不意打ちを狙う場所としてこの辺に待機することもある。


しかし、祐樹はアビスの存在を感知できるため、不意打ちの心配はない。


「それじゃあ。仮契約だけど、済ませましょう」


といい、アデルは菜々の後ろから抱きつき、指輪の嵌めてある手を握り、菜々の持っている新人ヒロインが使う量産型のジャガーノート、『ロンギヌス』のコア部分へと手をやる。


「少し痛いけど、がまん」


「っ、いたっ……」


左手で軽く、菜々の腕を切り血を流させる。


「あの、アデル様……血が…」


「大丈夫。これは必要なことだから」


菜々の血が腕から垂れ、指輪に触れて瞬間、その指輪が血を吸い取り、赤く染まると同時に、光り始める。


「うわっ!何!」


「大丈夫。絶対に手を離したらダメだよ」


耳元で、安心させるように囁くアデル。ギュッ、と右手を握り、左手はお腹の方へ手を回している。


「………あの、アデル様。いつまで手を置いておけばいいのですか?」


「その時が来たら自然と分かる……これで、仮契約は一応終了」


最後に強く力を入れて抱きしめると、ゆっくりとアデルは菜々から離れる。


ーーーどこだ?


チリっ、と首筋にいつもの感じがくる。少しばかり菜々達から離れており、アデルに対してジェスチャーをする。それを見た菜々が首を傾げたが、こそこそと耳元でアデルが意味を教える。


左手を二回、グルグルと時計方向に回す。それが、祐樹の探知に引っかかり、アビスが近くにいるというジェスチャーだった。


そのジェスチャーを見た全員が、当たりを警戒しながらジリジリと祐樹の方へ近寄る。相手は危険度A-級のアビス。個人よりも集団で戦うことが推奨される大型の機械生命体型。


「………っ! アデル!後ろだ!菜々を抱えて飛べ!!」


「ん」


「えーーーうわぁぁ!!」


アデルは祐樹の言葉を疑わずに、すぐさま菜々を抱えて飛んだ。唐突なことでびっくりはしたが、コア部分にはしっかりと触れているままだ。


「連携で行きますわよ!カタリナ様!」


「ええ!私達の力、お見せ致しますわ!」


アンナとカタリナが飛び空中でジャガーノートを交差させるように触れ合わせる。


連携。二人一組で行われる、ジャガーノートをぶつけ合うことで、刻まれている魔法が共鳴し、性能を一時的にアップさせる基本の戦術。


「椎菜ちゃん!」


「ええ!私達も!」


ガチャン!と椎菜の盾が、銃へと変形し、カツンと触れ合わさせ、連携を発動させ、アビスへと突っ込む。


「アデル!投げろ!」


「え!?投げーーー」


「ちぇいさー」


アデルの後方から鉄の腕が伸びるのを見た祐樹は、流石に空中で、しかも片手に人を持った状態のアデルでも受け流せないと思ったので、両手を広げ、菜々を投げるように指示する。


投げるってなんなんですか!?という前に、アデルは勢いよく椎菜を祐樹に向かって投げ、くるりと反転してアビスの攻撃を受け流した。


「いやー!!」


「よっ……と」


勢いよく向かってくる椎菜をまず片腕で受け止め、片足立ちになってそのままグルグルと回って威力を殺し、無事に受け止めることができた。


「わ、わわわ私、初めて人に投げられました………」


「うん。俺も初めて人に投げろって指示した」


祐樹は、菜々の持っているジャガーノートへ向けるが、まだコア部分には色が宿っていない。


ーーー流石にまだ無理か。


「っあ!う、後ろです!」


菜々があわてて祐樹へ敵の腕が来ていることを知らせるが、祐樹は振り返ることもしないで受け止めるだけにはとどまらず、軽くはじき飛ばす。


「ーーーセイっ!」


そして、直ぐに回転して、鉄の腕を横から叩き切り、アビスの気持ち悪い色をした体液が飛び散る。


「大丈夫だ。朝凪さんは俺が絶対に守るからーーー安心してくれ」



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今、全然増えてくれないので、ちょっとガックリしてます。

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