メンバー集めーーー②
無事アデルを仲間にすることが出来た一同。アデルもしっかりとギルド申請書の紙に名前と魔力印鑑を押して、次のメンバーを探しに向かっていた。アデルはまだまだ猫と戯れるようだ。
「私、アンナさん、梨々花さん、菜々さん、祐樹さん、アデル様……もう既に六人も揃いましたね!」
「うん!でも、やっぱり人数多い方が楽しそうだから、出来れば十二人集めたいんだけど……」
「きっと菜々さんだったら行けますわ。それでは、そろそろ椎菜さんの方にーーーー」
「皆さん、ごきげんよう」
と、四人に声をかける人物がいた。
「あ、カタリナさん!……と……えっと…」
「菜々さん、後ろにいらっしゃるのはこの瑠璃学園最強ギルドのハミングバードですわよ」
「すごいです……まさかこんな場所でハミングバード全員と会えるなんて………」
しかし、ハミングバード全員が、どこか何やらソワソワとしているご様子。待ちきれない!とばかりに代表してカタリナが菜々へ問い掛けた。
「菜々さん達………祐樹さんのギルドメンバーを探してるのは本当ですの!?」
クワッ!と彼女の金色が一瞬にして菜々の目の前に移動し、それにびっくりした菜々は、「わっ!」と言って後ろに下がり、梨々花に受け止められる。
「えと……どうしてその事を?」
「結構有名になっているのよ。彼がようやくギルドを作るんだーって」
カタリナの代わりに答えたのは花火でその言葉にカタリナが激しく頷いた。
「いくら私達が勧誘してもうんともすんとも頷かなかった祐樹さんを、あれこれどうやって勧誘するか色々と考えてましたのに……」
「祐樹さんのためにメンバーを空けていたのが無駄になっちゃったわね」
後ろで、ハルモニアもやれやれと言った感じだ。
「ひとつお聞きしたいのですが……一体、どうやって祐樹さんをギルド作らせようとしたんですの?」
「え?普通にお師匠様からギルドを作るって言ってきたよ?」
正確には、祐樹が菜々に対してギルドを作れと言っただけで、祐樹が作るとは一言も言っていない。
そこら辺が分かっている梨々花は、少しカタリナに罪悪感を感じていた。
それを聞いたカタリナは、ありえないと言った顔をして、菜々の肩に手を置いたまま、頭を下げた。
「…………あの、加奈恵さん、どうしてカタリナさんはこんなに落ち込んでいるのかな…?」
「最初こそ仲が悪かったですが、今やカタリナさんと言えば、唯一祐樹さんが背中を預けられると宣言した、祐樹さんの指示無しで戦えるヒロインです」
ポケットからまたまたメモ帳を取りだした加奈恵。仲が悪いと聞こえて、カタリナの黒歴史がまたもや胸に突き刺さった。
「それと、今やカタリナさんは祐樹さんファンクラブの名誉会長。けっしてファンという肩書きだけでは語られない感情がーーーーー」
「ちょっとあなた!こんな人の目が沢山ある場所で何をいきなり暴露しだすんですの!?」
徐々に早口になっていく加奈恵の口を止めて、無理矢理言葉を止めた。
「………ファンクラブ?」
「文字通りに、祐樹様のファンの人たちが作った会ですの。祐樹様好き!憧れる!という方がたくさん入ってますのよ?」
「ちなみに、私が創設者!」
「私が会長という形になってますわ」
「へぇ……そうなんだ……あの、私も……お師匠様のファンクラブに……」
「勿論ですわ。祐樹様を慕う方なら大歓迎です」
と、こちらでは菜々がファンクラブに入会した。
「むぐっ、な、なんで止めるんですか!カタリナさん!カタリナさんが祐樹さんを男性として好意を持っているのは、祐樹さん以外には明白なーーーーー」
「あなたちょっと本当に黙るんですわー!!!」
こちらはこちらでものすごい攻防が繰り広げられており、カタリナの乙女の秘密が暴露されていた。
まぁ、確かに全員知っていたため、大した情報ではないのだが。
勿論、周りにはバレていないと思っていたカタリナは、恥ずかしさで何やら口調がおかしくなっていたのだが。
カタリナがメモ帳を奪おうとして、加奈恵がそれを避ける。鬼ごっこが始まったので、代表して同じクラスである玲音と霧江が三人に近づいた。
「……その、メンバー集めの邪魔してごめんなさい。カタリナも悪気があった訳じゃないのよ」
「そうなの。ちょっと祐樹君への愛が深いだけで………」
「あ、あはは………」
どういう反応をしていいか分からない菜々。自分のお師匠様が慕われているのは嬉しいが、なんだが胸がもやもやっとした。
「私は生駒玲音。困ったら色々と相談にのるよ。今日迷惑をかけたからね」
「小南霧江よ。よろしくね、菜々さん」
「は、はい!朝凪菜々です!」
と、菜々は二人と握手をした。
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