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最終会議ーーー②

「……で、その……そちらのお方は……」


「むぐー!!」


 見ないでも分かる。完全に切れていることを。まぁ原因は分かりきってはいるのだが。


 ーーー俺、だよなぁ……。


 推測なんてしなくても、美波に引きずられている紫ツインテールの彼女が『ライオンゴロシ』のリーダーであることは明白。そして、彼女が裕樹のことを嫌っているのも事実。現に、叫びながらも、裕樹に強い敵意の視線を送っている。


「大丈夫です、この子にはこのまま聞いてもらいますので、邪魔の心配はありません」


「むぐぅ!?(はぁ!?)」


 口にガムテープが貼られていようとも、さっき何を言ったかは全員が分かった。しかし、美波は取り付かないようだが。


「それでは始めましょう。時間が持ったいないですから」


「むん!むぐぐぐ!?むぉん!」


 美波の態度に、誰もが声を出せないまま、腰を下ろした。


「………で、では。これより最終会議を行います」


 一通り簡単に自己紹介を終わらせ、花火が会議を進めていく。ホログラム投射担当は裕樹である。


 花火が言うと、裕樹が手元の端末をカタカタとすると、地面に簡単な神奈川県箱根町の地図が現れ、とある一点に赤い点が刺されていた。


「ここが、今回のアビス大侵攻の始まりです。現場には、予想の時間30分前には上空にて待機、裕樹さんには降りて、ヒロインが持ち場に着くまでの時間稼ぎをお願いします」


「ちょっと待て花火」


 裕樹が頷いたが、すかさずアメリアが手を挙げて意見を挟んだ。


「私たちが降りてくるまでの間……少なくとも10秒はかかるぞ?その間にミスター一人だけで大丈夫なのか……?」


 確かに、アメリアの心配は当然のことだろう。10秒もあれば、アビスは大量に現れ、必然的に裕樹が狙われることになる。


「大丈夫です、アメリアさん。ウチの裕樹くんをあまり舐めないで下さいね」


「裕樹は、アビス100体に囲まれても無傷。この程度、裕樹なら片手間」


「……そうか。それならばそれ以上何も言うまい」


「ふん、どうせならそのままくたばってしまえばーーーー」


「広夢」


「ギャン!?」


 皆の強い要望により、ガムテープと手足を縛っていた紐を外された『ライオンゴロシ』リーダーの朝霞広夢(あさかひろむ)が、余計なことを言う前に後頭部に強く美波からの一撃を貰った。


「何すんだ美波!」


「それはこちらのセリフです。この作戦の起点はどう考えても小鳥遊さん中心です。余計な口出しはしないことです」


「んだよ!お前だって最初はあの混ざりもののことを嫌ってたろーが!」


 混ざりもの。その言葉に瑠璃学園四人が反応したが、裕樹が横に手を広げることで立ち止まる。


「貴方と一緒にしないでください。私は、彼の性格、人柄、そして覚悟を自身の目で見て、彼は大丈夫だと判断した迄です。噂に流されている貴方とは違うんです」


「んだとぉ!?」


「ねぇ、そこのちびっ子二号。あんまりその話を私達の前であんまりしないでもらえるかな?」


「あぁ!?ーーーーひっ!?」


 ちびっ子二号という単語に反応した広夢が、声を出した夏鈴に目を向けたが、あまりの形相に悲鳴がとび出た。


「ちょ!?夏鈴先輩!?」


「黙ってて裕樹くん。私達ね、貴方のことそこまで悪く言われて黙ってられるほどできた人間じゃないの」


「私が嫌いなことーーーー知ってる?広夢さん」


 裕樹の隣にいた花火が、まるで幽鬼のようにゆらぁと立ち上がる。それだけで、広夢の恐怖心を煽るのは充分だった。


「ひとーつ。仲間を侮辱されること」


 近づく。


「ふたーつ。裕樹くんとの時間を邪魔されること」


 ガシッ、と広夢の頭に花火の手が置かれ、アイアンクローの準備に入った。広夢は恐怖で動けない。


「みーっつーーーー裕樹くんを悪くいうこと」


「みぎゃぁぁぁぁぁ!!こめかみぃぃぃぃ!!!」


 次の瞬間、広夢の悲鳴が響いた。


 ちなみに、一つ目と三つ目一緒じゃね?って言うツッコミは怖くて出来なかった。






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