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会議ーーー②

波乱の入学式から一ヶ月がたち、既に季節はもう五月。今日も今日とて、学園長室に呼び出された四人、空羽、美結、綾瀬、祐樹の顔はいつにも増して真剣な顔をしている。


「………美結。以前から予兆のあった、アビス大侵攻についての情報は?」


アビス大侵攻。危険度Bクラスの大量のアビスと、SSクラスのアビスの親玉で構成された、アビスによる侵攻。


この侵攻により、ロシアやアメリカなど、様々な国の一部が、壊滅。台北に至っては国丸ごと壊滅しており、アビスが我が物顔で闊歩している。


散発的に襲撃するアビスより、予兆を感じとれ、準備ができるというのが、こちら側から見た大侵攻のメリット。ただし、メリットはそれだけであとは全てデメリットである。


場合によっては、ヒロインが死ぬ。そんな規模の侵攻が、日本にやってくる。


「場所は?」


「神奈川県、箱根市ーーーこれまた、避難が大変そうな場所に出現しますね……」


美結がタブレットを操作しながら、伝えるべく情報を次々とリストアップし、ホログラム化する。


「予想出現は?」


「最低でも、あと一週間と言った所でしょうか……反応から見ても、かなりの侵攻と予想されます」


「なるほど………空羽」


「はっ」


美冴は立ち上がると、空羽の名前を呼んだ。


「今から政府の方に侵攻のことと、神奈川県全域に避難命令を出すように進言しに行く。着いてきてくれないだろうか」


「おまかせを」


「臨時として、花火を強襲科生徒会長代理として任命する………祐樹、花火には君の口から伝えてくれ」


「分かりました」


美冴の申し出に、祐樹は快く頷いた。


「工作科の方も、ジャガーノートの整備を全て終わらせるように。この一週間は、アビス大侵攻に備えるため、授業は全て免除とする………一人も犠牲者を出してはダメだ」


「「「「了解です」」」」


「……しかし、アビス大侵攻ですか」


美冴と空羽を乗せたヘリを見送ると、綾瀬は呟き、チラッと横目で祐樹のことを見つめた。


「最近、日本で起きたアビス大侵攻は五年前ーーーー練馬区崩壊事件の時。祐樹くん」


「大丈夫です。先輩方が心配されることは無いかと」


「いえ、心配です。あのこと、私達まだ許してませんからね?」


「…………………」


スっ、と祐樹は視線を逸らした。


1か月前、祐樹が荒れ、とあるヒロインに俺を殺すヒロインに仕立て上げる事件は、次の日にバッチリ瑠璃新聞という、瑠璃学園内の校内新聞にバッチリと載せられ、みっちり一週間、祐樹はお説教をされたのだ。


軽くそれがトラウマ化している祐樹。もちろん、ここにいるお二人にもみっちり説教された。


この1ヶ月、菜々の成長速度は正直に言って異常である。新人ヒロインは戦闘訓練で戦う人工アビスを倒せるようになるには、二ヶ月かかると言われているが、菜々は三週間程度で人工アビスをスクラップに変えた。


それが、ますます祐樹の心に期待が高まる。恐るべき成長速度、そして、恐るべきジャガーノートとのシンクロ率。


内心、めちゃくちゃ期待しているが、顔に出そうものなら直ぐに菜々からのお説教が待っているので、全く表に出そうとはしないが。


「変な気は起こさないように。変なことしたら、例えアビス大侵攻を終わりに導いても、説教しますから」


「き、肝に命じておきます……」



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