9話 私の嫌いな言葉
私は、けたたましい音が聞こえ舞台袖から周囲を見渡す。
多くの者が上を向き何かを認識している。
2階からは天井を埋め尽くすピンクの紙が広がりヒラヒラと落ち始めている。
私はすぐさま2階を見渡すとカーテンが少し風で膨れ上がっている事に気がつき舞台袖から2階に駆け上がりカーテンを引く。
しかし、そこには何もなく窓は閉まっており微かな硝煙の香りだけがした。
そこで私は鍵が空いている事に気がつき急いで開け通路に出るが、何も音はせずただ、体育館内から驚きと暖かい雰囲気だけが感じ取れた。
その後は紙吹雪とともに新入生が退場し式は終わった。
「写真部、新聞部の皆さんも片付けの参加お願いします」
凛とした声がスピーカーから鳴り響き椅子以外を片付ける為、合唱に参加した学生、参加許可された部活のみで片付けを始める。
私は舞台にある演台を片付ける為に舞台に上がり台のそばに近づいた。近づいた演台の上には名刺くらいの大きさの厚紙が置いてあり手に持ち裏返す。
秘密結社青春
裏にはそう書かれており、なんとなく、この騒動はコイツらが起こしたのだと感じた。
青春.......私が嫌いな言葉だ。
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4人は発射後数十秒カーテンの裏に止まっていたが真由美がいち早く優越感から抜け出し言葉を発す。
「退散」
イヤフォン越しに聞こえた声は小さいがハッキリと聞こえた。俺は窓から外に出て窓を閉める。弾と持ち手を外しながら走り目の前の桃花に追いつきそうだった。
「お〜晃、楽しかったね」
能天気な事を言いながら桃花はクラッカーの弾を外していた。
「取り敢えず、今は早く逃げよう」
「うん」
ナップザックにクラッカーをしまい梯子の近くまで来た。既に真由美と陸は来ており待っていた。
特に会話はなく先に真由美と桃花がありその後に俺と陸が続いて、地下室まで小走りで駆けて行った。
4人はいつもの席に座るが会話をする者はいなかった。
もう、どのくらい沈黙を貫いているのだろうか。壁にかかった時計の針だけが、音を刻む。
「取り敢えず成功って事で良いよな?」
陸が皆に確認を取る様に聞いてきた。
「あぁ、成功だと思う。体育館には驚きもあったし」
「そうね、なかなか楽しかったわ」
「だね〜体育館の中見たかったな〜」
各々自らの感想を言い少し前の出来事に思いをめぐらせていた。
「でわ、打ち上げを行います!!」
唐突に桃花はそんな事を言いビニール袋を取り出した。
「余ったお金千円で買ってきました!お菓子。これで打ち上げをやりましょう!!」
桃花は嬉しそうに袋からポテチやクッキーなどを取り出したパーティー開けをした。
真由美は紙コップにジュースを注ぎみんなの前に置いていった。
「「「「かんぱ〜い」」」」
4人は紙コップを掲げぶつけ合った。音はしなかったがみんなの顔はとても楽しそうであり、今回の成功を祝っていた。
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