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秘密結社青春  作者: 白色真
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8話 優越と満開

時刻はAM10時


4人は地下室で最終確認を行っていた。


「最終確認ね。司会者が閉会の言葉を言って一年生を起立させると思う。去年もそうだから。そして一年生は一番後ろの席の内側から順に退場して行くから、大体15秒したら陸の合図に合わせて発射。即時退散で良い?」


「「「オッケー」」」


何処かしら皆んなはワクワクしたような雰囲気を出している。

大体1週間、何かをする為に考えたのは久しぶりだ..

青春は何を目的にこんな事を頼んだのだろう。

青春はいったい俺たちに何を求めているのだろう。頭の中の霧が晴れぬまま俺はナップザクに弾と持ち手を入れ方に紐をかけ背負った。

4人も準備が整いイヤフォンを右耳にはめる。2階タップし起動音がしたのち会話がイヤフォンから聞こえる。


「じゃあ行こう」


陸の合図で4人は地下室を出て階段を上がって行く。


「晃、手出して」


桃花は鈴みたいな笑顔で此方に目を向けてくる。桃花と俺の身長は余り変わらなく、真っ直ぐな目で見られると少しだけ動揺する。

動揺の中おずおずと手を前に出すと強い衝撃がくる。


「何?」

「眠そうだから!」


「行くよ!」


桃花はスキップするように前を歩いて行く。


体育館隅の梯子を登り2階外通路に来た4人は二手に分かれ持ち場に着くよう移動する。

グランド側に桃花と晃。その逆に真由美と陸が行き、持ち場に着く。

窓が5つあるうちの桃花は手前から2番目、晃は4番目反対側の真由美は3番目、陸は5番目を持ち場とした。

カーテンが揺らがないように少し窓を開け、中の音を聞き取ると予想より遅れていたことがわかる。


「生徒代表挨拶。生徒会会長神崎飛鳥」

「はい」


体育館中に彼女の声が響き、空気からも場内が静まったのがわかる。


「春の訪れを感じ、新しい風が学内に流れ始めー」


彼女の演説は、保護者、新入生、先生までもが聞き入っていた。そして、4人も例外なくその演説に耳を奪われイヤフォンからは息の音すらも消え去っていた。そして、銃が乱射された様に拍手が鳴り響き、彼女の声以外の音が耳に入り始める。


「予定では、在校生合唱。クラス担任説明の後が退場になる、集中してね」


真由美の声がイヤフォンから聞こえ今日何をやるか思い出させる。

その後校歌が歌われ、担任紹介に入った。


「1年A組担任、笹木琴江(ささき ことえ) B組、後藤一誠(ごとう いっせい)C組ー......」


全部で5つのクラスの担任が発表され4人は窓を開け、カーテンと窓の間に入り込む。


心臓の音がイヤフォン越しに伝わるんじゃないかと、思うくらい激しく鼓動する。

他の3人も緊張からか言葉がない。


「閉会の言葉。以上を持ちましてー」


特徴はないがしっかりとした声が響き渡り、その言葉の一言一言とが始まりのカウントダウンの様だった。


「新入生退場。新入生起立」


パイプ椅子がカタカタと震えその音はスピーカーを通した様に大きく聞こえた。


「礼」


その言葉を最後に静まり返った体育館はスピーカーから流れるBGMに制圧されていった。


そして、カウントが始まる。


3


2


1


「今!!」


耳元から小さく聞こえる陸の音に反応し4人はカーテンの隙間から一斉にクラッカーを上空に向け体育館に引き金を引いた。


バーーーン!!!!


体育館が喧騒に包まれる。


「え....」

「何これ」

「綺麗〜」 


体育館の中は驚きと衝撃に包まれる。花びらはヒラヒラとゆっくり落ち始め一年生が歩くカーペット内に少しづつ落ち始める。新入生の中には上を向き口を開ける者、緊張からか余裕がなく前しか見ない者、感情は三者三様だった。

しかし、教師、在学生徒は驚きを隠せない。


「何、これ」


神崎は驚きを隠せない中、思考を止めなかった。2階を睨みつけ、歩き始める。


写真部は勢いよくシャッターを切る。新聞部はメモを持ちながら動き回っていた。


しかし、4人は窓とカーテンの中で優越感に浸っていた。


「ふふ」


真由美は小さく笑いそれがイヤフォンを通して俺の耳に入る。

興奮が止まらず、体温が上がる感じがする。


この大勢の中で4人しかし知らない、この4人だけしかやらなかった事。他の学生は成し得ない特別な事。


4人の青春が硝煙の香りと、満開の桜、優越感から始まった。



ーーーー


青春は何も山だけではない。時に平坦に、また時に感情がコントロール出来ず大きな波を作る。


そして、大人になる。


読んでくださりありがとうございます。


桜咲かせるまで、時間使いすぎたのでは無いかと思い書きました。


もし、1話から読んでくださってる方がいたら本当にありがとうございます。


書き溜めはないですけど、頑張ってこれからも出したいと思うので読んでくださったらありがたいです。


まずは、第一歩が終わった気分です。



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