バーベキュー
人を殺したばかりみたいな人相で、その赤い剣士はボソリと言った。
「良くやったぞソード。」
「っふぁ!?」
独断で城を飛び出した事を責められると思ってたいたソードは、まさかの言葉に言葉を失う。
しかも、その言葉を発したのが普段寡黙な強面上司…責められるどころかぶん殴られる覚悟だった。
「っえ!?ふぅえ?」
力んでた力が口から抜ける、目をパチパチしながら考えると…ソードの頭の悪さに、剣士の横で寛いでいた黒髪の侍女がため息を付く。
「姫さまの為に飛び出した事を褒めてるんだよ…あんたの行動は正しかった。そこで…」
ポイっ
銀色に輝く何かが投げられた、ソードが慌てて受け取ると…銀の切株、銀木の国の国章があしらわれたネックレスだった。
「正式に姫様付きの騎士に任命、大出世じゃないか雑用くん。」
「…雑!うへぇ〜…うーん…」
複雑である、これは出世なのだろうか?いよいよあのアホ王女が国に見放され、そのお目付け役になった…つまり、押し付けられただけな気がする。
「フフフ…ソードさんお揃いですね、ほら私も!」
確定した、雑用仲間…侍女の中で最も下っ端のドゥーも持ってるなら、これは騎士の紋章じゃない。
「よく見ると切り株の中に三日月がある…国章じゃない?」
「まぁ…色々察してるみたいだけど、今回の件はかなーり複雑だからね、あとは姫様と魔女様が来てから話す事になるわ」
「………」
無気力侍女と寡黙な剣士にソードとドゥー…うーん、魔女の家は民家程度の広さしか無いのでなかなか手狭だ。
ここに魔女とリトリアが入るのか?
窓の外、台車で大トカゲを運ぶキガキークが見えた。
「皆様昼食は庭でのバーベキューになります。ささ…こちらへ。」
◆ ◇ ◆ ◇
「先に塩を擦り込むと皮が簡単に剥けるのよ。リトリアやってみなさい」
「はい先生!」
庭に行くと木に吊るしたトカゲの皮むきをしている所だった。
魔女の指導の元でリトリアがズリュンズリュンと皮を剥がしている。
「魔女様…皆様をお連れしました。」
「あらら?キガキーク早いじゃない!…すいません、まだかかるのでそちらに掛けてお待ちくださいね?あっ私が魔女です。あっソード君野菜切るの頼める?」
「わっ私もお手伝いします!」
魔女とリトリア、ソードとドゥーでバーベキューの準備が始まった。
キガキークはナイフス(剣士)とシン(侍女)にお茶を入れてる。
「驚いたぁ、姫様が料理してるわよナイフス!?」
「……。」
ナイフスは何を考えてるか解らないが、シンは目をぱちくりさせて驚いている。
「姫様が魔女修行してるって聞いたから、裸で悪魔とアレコレしだしたのかと思ってたわ〜。割と普通じゃない?」
「ソードさん鼻血が!どうしたんですか突然?」
シンのイメージはともかく、まぁ…魔女修行と言うとまともなイメージはしないだろう。
ソードに続き、今回来た三人は…思いの他まともな光景に安堵した。
「あっキガキーク、台所からタレ持って来て!…さーていよいよ焼きますか!」
「あっキガキークさん小さな騎士団呼んできて!お昼は一緒の約束なの!」
小さな騎士団とは、リトリアが使い魔達に付けた名前である。
メンバーはネズミ三匹、コウモリと白蛇。
「うーん」
ソードは首から下げた印を触り、自分も「小さな騎士団」に入るのか?と考えた。
「…やっぱり出世じゃ無い気がするなぁ」
パチパチ燃え始めた焚き火に炙られ、串焼きがジュウジュウ油を垂らす。




