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小さな鍵の物語~リトリア王女の魔女修行~  作者: 前歯隼三
リトリア王女の葬式編
28/32

下っ端仲間

 裏庭を出て、竜の巣穴を潜り抜けて…一行は“魔女の庭”(表)に戻ってきた、行きはカボチャに引いてもらったが、帰りは鍛え抜かれた大根達に引いてもらった。


「お帰りなさいませ皆様、お客様がお待ちです。」


「あら~やっぱり?」


 家に戻ると、美しき美青年風ゴーレム執事=キガキークが一行を迎えてくれた。

 魔女たち人間が留守だというのに煙突から火が上がってるのでなんとなく人の気配は察していた。


「多分ソード君と同じで、リトリアのおうちの方だと思うわよ。」

「うひゃぁー、愛されてるのは面倒ねぇ。」

「ちくしょう…こんな奴の為に俺は…」


 リトリアはこれでも王女である、ソードも彼女を助ける為にはるばるここまで来たくちなので…等の本人のこの気の抜け様にはがっかりだ。


「ソード君は現場を見ちゃって来たっていうけど…いちよぉ非公式には話通してあるのよねぇ…」


「…とりあえず、旅の汚れは落としてから会うとしましょう。キガキーク…お昼に会うから、もう少しまってもらって。秘蔵のクッキー出していいから。」


「かしこまりました魔女様。」


 …主役の魔女とリトリアはそんなこんなで身だしなみを整えに引っ込んだが、ソードは井戸で顔だけ洗って一足先に馬屋に向かった。

 もし王城からの遣いや、リトリアを取り戻す軍ならば…馬さえ確認すればなんとなくわかる。

 ソードは城では下っ端の雑用兵であったので、馬達の世話も任されていた。


ブルルン


「おっブラッドロードか!…やっぱり隊長は来ているなぁ…」


 赤馬ブラッドロードの主はレッドロック=ナイフスという二刀流の剣士である。

 傭兵上がりの武骨な男で、その腕っぷしと寡黙っぷりが評価されて…なんやかんや王城の守備兵の長にまで上り詰めた実力者だ。

 王城の最下層で馬屋の掃除から掃除洗濯をしている下っ端ソードの上の上の上の上の上の上ぐらいなどえらい人だ。


ぷぁあん!


「むぅ…お前は…えーっと亀…痛!すまん…竜!風竜丸!」


 馬車を引く馬力だけはものスゴイ巨大なリクガメ、風竜丸…こいつは…うーん…担当じゃないから分らないが…後宮の関係者でも来ているのか?


ゴシゴシ ゴシゴシ


「ん?」


 何かをこする音が聞こえて、ソードは馬屋を出て裏の洗い場の方に向かう…井戸と違って雨水をためた巨大な桶からザブザブ水が出せる施設がある。水質は悪いがざっと洗うのには重宝する。


「ふぅー、これでひと段落…っわ!」


「なんだ、ドゥーじゃないか!お前で良かった!」


「ソードさん!ご無事でなにより!わーよかったー!」


 洗い場に居たのはリトリア付きの侍女…その中でも一番の下っ端ドゥだった、ドゥは長い髪を後ろで丸めた巨大お団子が特徴的な子なのだが、髪型のインパクトを相殺する小さな地味な目と自信の無いしょぼくれた顔でプラマイ地味な女の子である。

 兵士達の下っ端のソード、侍女達の下っ端のドゥーはちょいちょい雑用先で居合わせて…互いに愚痴が言い合える程度の中であった。

 恐ろしい上司であるナイフスとの対面は気が重かったが、心の友が居てくれてしんそこほっとする。


「あのアホも無事だったよ、どこまで話していいか解んないけど…うーん…とにかく無事だ!」


「良かった…あっ、ソードさんお戻りと言う事は皆さんもう集まってます?あわわ…早く片付けて向かわないと!」


「あー大丈夫、魔女が身支度してからって事で集まりは昼になってかららしいぞ?よし…俺暇だから手伝うよ…この道具ちゃちゃっと洗ってくるから、馬車の吹き上げやってくれるか?」


「フフ…くれるか?って私の仕事なんですよ?…ありがとうございます。」


 ちゃっちゃっちゃ


 下っ端生活の長い二人が手を組めば、どんな雑用もスムーズだ。


「わっ!ネズミ!」


「あー…大丈夫、そいつは…あれだ…うん、リトリアの使い魔らしい。」


「「「ちゅぅう!ちゅうちゅう!」」」

※そいつってなんだ!!


「わー…なんか怒ってますよ?つ…使い魔さん?姫様のお友達って事ですかね?」


「ちゅぅ!」そうだ!

「ちゅぅうちゅちゅう!」この子は解ってるな!

「ちゅぅ!」うん!


 …人前から逃げる事も無く何やら胸を張って騒がしくなくネズミ達、頭の上には魔女がかぶってそうな帽子がちょこんと乗っている。


「わー…本当に魔女の修行をしてるんですねぇ。」


 飛び出してきたソードと違い、ドゥーは裏の話を知ってるらしい…

 使い魔とか、こんなおかしな状況もなんとか食いついて理解に努めている。


「あと、蝙蝠と蛇もいるから驚かないようにな?…あっ兵長には伝えとかないと…下手に近づいたら瞬殺じゃないか!」


 二人と三匹は急いで客室へと向かっていった、するとキガキークが片手に白蛇のステッキと、小さな蝙蝠を入れた鳥かごを持って歩いていた。


「お二人とも井戸で手を洗い客室でお待ちくださいませ、お嬢さんはアールグレイでよろしいですか?」


「むむぅ…さすがキガキークさんだ。」


「お…お嬢様ってわわ…私ですよね?」


 魔女とリトリア不在のまま、ソードは客人たちと合流した。



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