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小さな鍵の物語~リトリア王女の魔女修行~  作者: 前歯隼三
魔女の庭の冒険編
26/32

正しい魔法の使い方「マッスル魔法論」

「なぁボウズ…明日帰っちまうのかよ…私を置いて…」

 ポムポム

 ソードを後ろから抱き上げて、おっぱいで後頭部を包み込むアカネ。


「くぅ…た…食べ物で釣れる安いおっぱいに…ぐぅぬぅ…お…俺はひっかかかかったりしなひ」

 ポタポタと鼻血を出して上がらうソード


「くそう…体は素直なのに、なんて頑なな心だ…ちぃ、駄目か。」


「ぷはぁ!やった!勝ったぞ!ふぉおお!どうだリトリア!スゴイだろ!」


「スゴイから顔洗ってきなさいよ!鼻血やばいわよ!」


 さて、ソードが顔を洗い、鼻に綿を詰めて戻ってくると…アカネは何事無かったかのようにソファーで眠り、魔女は本日8杯目の紅茶を飲みつつ、リトリアとソードに緑茶を用意してくれていた。


「さぁ~、皆揃ったし、夜の授業を始めしょうか。」


 夜の…授業!?

 ソードの後頭部に柔らかい感触が蘇…なんだリトリア、どうして俺を睨んでいる…え?あっゴメンもう一回顔洗ってくる。うん

 仕切り直した。


「今日は初めての野外演習と言う事で、皆さんは魔法を使ってみたり…使う所を見たりしました!質問はありますか?」


 シュバ!

 手を上げたのはリトリアだった。


「先生はなんで暗黒の魔剣とか、雷の槍とか使わなかったんですか?飛んでたのはカッコよかったけど…」


 当然だ、そこはちょっとソードは思った。

 魔法による戦いと言えば、イメージするのはこう…遠距離から火や雷や風の刃やなんかで攻撃してゆく物だと思って居たが…。

 昼間の魔女は、魔獣キャベタス戦でもファイティング大根戦でも…ほぼほぼ拳で、肉弾戦で勝利している。…え?魔法ってなんだっけ?そう思ったのはソードもリトリアと同じだ。

 二人の質問に、魔女はいつもと変わらずニコリと微笑み。


「そうね…では、今日のテーマは“正しい魔法の使い方”にしましょうか!」


 そういうと、魔女は指先を天井に向け…目をつむり…何やら呪文を唱え始めた。


“形を成すは漆黒の光=君主セーレの僕の証、命を奪いし闇の剣…振るい手は対価に魂を捧げよ”


 <ビフロンス=デッドナイフズ>


「うぉおおおお!?」

「カッコいい!!」


 中空に無数の漆黒の刃が出現していた。…しかし一瞬、魔女が目を開くとそれらは消えた。


「ふぅ…ね?こういうのが見たかったんでしょ?」

「そうです!先生カッコいい!もう一回!はい、もう一回!」

「フフフ…ダーメ!」


 リトリアのアンコールを断って、魔女はコキコキと首を振り、んぐーっと背筋を伸ばして腰を捻った。


「ふぅー今ので今日かけてたバフが終わっちゃったは、あれは命を吸い取る闇の刃でね…代償は使用者の生命力なの、バフかけて余ってた分だけ使ったから…今日はもう出しません。」


「むぅー」


「んー敵の命を奪う武器の代償が…自分の命じゃしょうがないって事か?」


 ソードはふと答えに気が付く、命と言っても疲労程度ならまぁいいが…乱発は危険だ、ソードが魔女の助けで使った収穫の火<ハーベストファイア>は代償が野菜だが、それでも乱発すれば破産する。


「そうなのよね、魔法は何も無から何かを得る夢の技術なんかじゃないわ、無から何かを作るなら…当然何かを失うわけで…まぁ、魔法の正しい使い方っていうのはその現実を知る事ね。解ったかしらリトリア?」


「ん~、魔法陣が契約書って時点で…なんとなーく解ってるわよ?でもねぇーロマンが…それに先生!魔法が乱発出来ないっていいながら…結局魔法は使ってるのよね?なんで闇の剣が駄目で肉体強化のバフは良いの?」


「あぁ、それは単純に効率よ?」


「効率?」


「無から武器を作って、それをどうにか振るうよりも…最初から持ってる武器を強化する。お値段半分効果は二倍だと思わない?」


「なるほど!それなら納得だ!リトリア…これはとても為になる話だぞ!」


「貧乏人が食いつきやった!?」



 まとめ


 無から時間を掛けて武器を作り、代償を払った上で…それを普通に使ったり、別の魔法で操って攻撃するよりも、最初から持ってる武器(肉体)を魔法で強化するのが効率的な魔法の使い方である。


「正しい魔法は筋肉に、正しい筋肉に魔法は宿る…これは“マッスル魔法論”という考え方で…」


「嘘だろ!?」


 思わず遮ったソードであったが、リトリアの持つ魔法の教科書に…確かにその名詞が書かれていた。


「私も山田論とか聞いた時はそうだったわ…」


「や…山田論!?」


※3話「魔法学基礎教本第一章“山田論”」参照


「パンツ論もあったわよ?」


「…なんだそれ…え?ぱ…パンツ!?」


 魔法の勉強はソードの想像を変な方向に裏切った。

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