楽しい収穫とお夕飯
「うぉおおおおおお!」
シュポポポポポポーン!
ソードは飛び回るジャガイモ…フライングポテトの群れをタモで次々と捕まえて行く。
「喰らいなさい!リトリアハンマー!」
リトリアも負けじとサークルステッキを振り回し、マッシュポテトを作っていくが…アカネに退場を言い渡された。
「土入りのマッシュポテトが好きだったんだな、夕飯はお前のだけ土のスパイスを入れてやるよ。」
「すいませんでした先輩!ハハー!どうか…どうかお慈悲を!」
魔女の作る農作物は、動き回る野菜達だ…当然収穫は難しい。
ソードは飛び回るジャガイモと戦い
アカネは緑のツタを操る、お化けカボチャと戦い
リトリアは三体の案山子と一緒に、馬車に収穫物を乗せている。
「リトリア、籠一杯になった頼むよ。あと殺魔芋っての頼まれたけどどこか解る?」
「チィ…ソードの分際で…私がプリンセスって事忘れてない?」
「プリンセスはジャガイモをトンカチで潰さない、うん…泣くなよ…悪かったよ。」
「殺魔芋はあそこで目が行っちゃってる子達がそうみたいよ。ふん…あの鋭い牙で噛まれてしまいないさい!ふん!」
ズドーン
そんなやり取りしていると爆炎が上がった…あれは、魔女が担当するファイティング大根の畑<フィールド>の方だ。
「ハァアアアア!」
シュバッ!ズドドドドドドドド!
ボッフゥ!ズバーン!ダッダダン!
「先生、馬車持ってきました!」
「あらリトリア、そこの子達を川で洗って倉庫に運んでくれるかしら?ふーッあと10人!」
リトリアが見ると、畑の場外に90人の大根達が倒れていた。
どうやら魔女は100人組手をしているらしい。
「先生…スゴイ!」
スパァアアン スタタ ダン!
…どさぁ…(91人目)
「魔獣狩りで残ったバフがあるのよ…フフ、今日の私はちょっと強いわよ?」
…あんの条、その後の処理の方が大変だった。
飛び回るジャガイモ
お化けカボチャ
殺魔芋
ファイティング大根
ウォーキングキュウイ
キノ小人
そして畜産キャベタスのオスとメス
玉ねぎ夫人
阿鼻叫喚の収穫<ハーベスト>
一行はもれなくクタクタで、何とか収穫物は倉庫に押し込める事が出来た。
「ふぅー、ありがとう皆、あとは私がやるわ」
一番奮闘した魔女はそういうと、普通の麦茶を全員に振る舞った。
あと塩味のキャンディーだ…うめぇえ!
「じゃぁ、ごゆっくり…アカネ、お風呂だけ用意しといて。お夕飯は…うーん、リトリアとソードお願い出来る?パンはあるから、簡単なスープでいいわ。」
「おう、じゃぁ…一時間したらやるわ、ふあぁ…二人とも一時間後起こしてくれ…クカー」
「寝るの早い!」
「これって才能だよ、見張りとかで夜勤やってると解る。うん」
一同はそれぞれに分かれていった。
魔女の裏庭に入って二日目、目的の収穫が終わったのだ。
◆ ◇ ◆ ◇
魔女は巨大な鳥の骨で作られた、特徴的な形の「倉庫」に入り、ランプに明かりを付けていく。
倉庫の片隅の本棚からレシピを取り出し…、それを頼りに巨大な木の板を何枚も取り出し床に並べる。板には線や記号が掛かれていて、並べ終わると魔法陣が完成した。
「よしっと…えーっと、骨のツボと、ワインと…心臓と…」
ドクーン ドクーン
独特な音を出すメトロノームを用意して、
魔法陣の周りを一周…赤いワインで線を引いて囲む。
あとは骨のツボを幾つも運び入れ、処理してゆく野菜を一人づず陣の中に運んでいく。
「おやすみなさい…おやすみなさい…」
“世界を孕む=アスモデウスの揺り籠にて、貴方は眠り…生まれ変わる…ドロリドロリとマドロミを越え、命の元へと還っていく…さぁ、命は終わり…そして始まる…ここはアナタの新しい揺り籠、鼓動を聴いて…お眠りなさい”
ドロリと溶けた野菜を、卵型のツボに入れていく。そして賞味期限の記入だ。
…期限は今日より10月10日。
用意した百個のツボを満たすころには…日はすっかりと落ちていた。
案山子達に倉庫の片づけを頼み…ようやく魔女は仕事を終える。
「ふあぁ…ただいまぁ、やーっと終わったわぁ…ハァ…しんど…」
「お疲れ、風呂湧いてるから入って来いよ、悪いが皆先に入ったぜ。」
「そう…ふあぁ…そうするわ…んん?」
魔女が鼻を引く付かせると、自分の汗のにおい以外に…なんとも美味しそうな匂いがする。
「いい匂いね?…あの二人は?」
「フフフ…すげーぜ、あのボウズ…料理の天才だ!」
剣の使えないソードの…新しい才能が見つかった。
故郷に居た時から家事の手伝いは当然していて、城では先輩兵隊達の為洗濯料理をしていたらしい。
「ウッマ!ウッマ!…なんだよコレ…魔女並じゃねぇーか!」
「凄いわ!ソードくん…これは?この辛いスープは何?」
「うみゃー!何よコレ…あんた兵士辞めて小料理屋始めなさいよ!才能腐らせ過ぎよ!」
女性陣からの絶賛に、いささか顔を赤らめつつ…満更でもないソード君。
「マジでスゲーよボウズ…、ちょっと私と結婚しないか?」
ブフー!
アカネの発言に、いよいよ赤面するソード君
「考えとく。」
「考えるなよアホォオオオオ!」
王女の罵声が、食卓をより賑やかにした。




