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小さな鍵の物語~リトリア王女の魔女修行~  作者: 前歯隼三
魔女の庭の冒険編
25/32

楽しい収穫とお夕飯

「うぉおおおおおお!」


 シュポポポポポポーン!


 ソードは飛び回るジャガイモ…フライングポテトの群れをタモで次々と捕まえて行く。


「喰らいなさい!リトリアハンマー!」


 リトリアも負けじとサークルステッキを振り回し、マッシュポテトを作っていくが…アカネに退場を言い渡された。


「土入りのマッシュポテトが好きだったんだな、夕飯はお前のだけ土のスパイスを入れてやるよ。」

「すいませんでした先輩!ハハー!どうか…どうかお慈悲を!」


 魔女の作る農作物は、動き回る野菜達だ…当然収穫は難しい。

 ソードは飛び回るジャガイモと戦い

 アカネは緑のツタを操る、お化けカボチャと戦い

 リトリアは三体の案山子と一緒に、馬車に収穫物を乗せている。


「リトリア、籠一杯になった頼むよ。あと殺魔芋っての頼まれたけどどこか解る?」

「チィ…ソードの分際で…私がプリンセスって事忘れてない?」

「プリンセスはジャガイモをトンカチで潰さない、うん…泣くなよ…悪かったよ。」

「殺魔芋はあそこで目が行っちゃってる子達がそうみたいよ。ふん…あの鋭い牙で噛まれてしまいないさい!ふん!」


 ズドーン

 そんなやり取りしていると爆炎が上がった…あれは、魔女が担当するファイティング大根の畑<フィールド>の方だ。


「ハァアアアア!」


 シュバッ!ズドドドドドドドド!

 ボッフゥ!ズバーン!ダッダダン!


「先生、馬車持ってきました!」

「あらリトリア、そこの子達を川で洗って倉庫に運んでくれるかしら?ふーッあと10人!」


 リトリアが見ると、畑の場外に90人の大根達が倒れていた。

 どうやら魔女は100人組手をしているらしい。


「先生…スゴイ!」


 スパァアアン スタタ ダン!

 …どさぁ…(91人目)


「魔獣狩りで残ったバフがあるのよ…フフ、今日の私はちょっと強いわよ?」


 …あんの条、その後の処理の方が大変だった。



 飛び回るジャガイモ

 お化けカボチャ

 殺魔芋

 ファイティング大根

 ウォーキングキュウイ

 キノ小人

 そして畜産キャベタスのオスとメス

 玉ねぎ夫人

 

 阿鼻叫喚の収穫<ハーベスト>

 一行はもれなくクタクタで、何とか収穫物は倉庫に押し込める事が出来た。


「ふぅー、ありがとう皆、あとは私がやるわ」


 一番奮闘した魔女はそういうと、普通の麦茶を全員に振る舞った。

 あと塩味のキャンディーだ…うめぇえ!


「じゃぁ、ごゆっくり…アカネ、お風呂だけ用意しといて。お夕飯は…うーん、リトリアとソードお願い出来る?パンはあるから、簡単なスープでいいわ。」


「おう、じゃぁ…一時間したらやるわ、ふあぁ…二人とも一時間後起こしてくれ…クカー」

「寝るの早い!」

「これって才能だよ、見張りとかで夜勤やってると解る。うん」


 一同はそれぞれに分かれていった。

 魔女の裏庭に入って二日目、目的の収穫が終わったのだ。



   ◆    ◇    ◆    ◇



 魔女は巨大な鳥の骨で作られた、特徴的な形の「倉庫」に入り、ランプに明かりを付けていく。

 倉庫の片隅の本棚からレシピを取り出し…、それを頼りに巨大な木の板を何枚も取り出し床に並べる。板には線や記号が掛かれていて、並べ終わると魔法陣が完成した。


「よしっと…えーっと、骨のツボと、ワインと…心臓と…」


 ドクーン ドクーン

 独特な音を出すメトロノームを用意して、

 魔法陣の周りを一周…赤いワインで線を引いて囲む。

 あとは骨のツボを幾つも運び入れ、処理してゆく野菜を一人づず陣の中に運んでいく。


「おやすみなさい…おやすみなさい…」


 “世界を孕む=アスモデウスの揺り籠にて、貴方は眠り…生まれ変わる…ドロリドロリとマドロミを越え、命の元へと還っていく…さぁ、命は終わり…そして始まる…ここはアナタの新しい揺り籠、鼓動を聴いて…お眠りなさい”


 ドロリと溶けた野菜を、卵型のツボに入れていく。そして賞味期限の記入だ。

 …期限は今日より10月10日。


 用意した百個のツボを満たすころには…日はすっかりと落ちていた。

 案山子達に倉庫の片づけを頼み…ようやく魔女は仕事を終える。



「ふあぁ…ただいまぁ、やーっと終わったわぁ…ハァ…しんど…」


「お疲れ、風呂湧いてるから入って来いよ、悪いが皆先に入ったぜ。」


「そう…ふあぁ…そうするわ…んん?」


 魔女が鼻を引く付かせると、自分の汗のにおい以外に…なんとも美味しそうな匂いがする。


「いい匂いね?…あの二人は?」


「フフフ…すげーぜ、あのボウズ…料理の天才だ!」


 剣の使えないソードの…新しい才能が見つかった。

 故郷に居た時から家事の手伝いは当然していて、城では先輩兵隊達の為洗濯料理をしていたらしい。


「ウッマ!ウッマ!…なんだよコレ…魔女並じゃねぇーか!」

「凄いわ!ソードくん…これは?この辛いスープは何?」

「うみゃー!何よコレ…あんた兵士辞めて小料理屋始めなさいよ!才能腐らせ過ぎよ!」


 女性陣からの絶賛に、いささか顔を赤らめつつ…満更でもないソード君。


「マジでスゲーよボウズ…、ちょっと私と結婚しないか?」


 ブフー!


 アカネの発言に、いよいよ赤面するソード君


「考えとく。」

「考えるなよアホォオオオオ!」


 王女の罵声が、食卓をより賑やかにした。 

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