ワイルドなランチ
休憩回
「「「「むすびうまひ!」」」」
ネズミとそっくりな顔でリトリアがおむすびを頬張った。
ウマウマ!
魔獣退治を予定通り午前中で終わらせて、三人と3匹は予定通りアカネの収穫作業の手伝いに向かっていた。
リトリアがネズミ達にお手伝いの対価で「おむすび」を約束したと魔女にいうと、魔女はお昼を待たずにリトリアの分のおむすびをリュックから出したのだ。
「契約は果たせる時は早めに果たしてしまうのが鉄則よ…ツケは残しとくと後で大変なのよ。」
自分のおにぎり3個を包みから取り出して、一つを鼠に、残り2つをモシャモシャ食べながらのウマウマである。
「お前…昼飯の時俺のわけてやんないからな?今食べてるのが昼飯だからな?」
「ハハハハハ」
ソードは嫌な予感をしてリトリアに釘を刺す、すると案の定彼女は笑って誤魔化した。
ソードの体は前回していた、体の痛みは…まぁ目に見えないダメージだったからわかりづらいが、石を喰らって血を流していた頭の傷が「魔女の紅茶」を飲んだところすぐさま塞がってしまったのだ。
昨日の夜の話…魔女の紅茶が命の水というのが真実だと実感してしまったわけなのだが…それは驚きより衝撃をソードにもたらす…即ち「リトリアは死ぬ運命だった」三日月病だか良くわからないが…魔女の話の信ぴょう性が増してしまった。
ウマウマ
「リトリア魔女修行頑張れよ、俺は応援するぞ。」
「…?おむすびあげないわよ?」
「「「おかわりー!」」」
「えー!?」
ネズミ達からまさかの催促に、2個目のおむすびの残りを…半分にしてリトリアは彼らに渡した。
「うぅ…ツナマヨ美味しいのに…」
◆ ◇ ◆ ◇
「おっ早かったな、今ジャガイモ終わってな片付けたら大根畑に行くところだ…おぉ?もう昼か…いーや飯にしちまうか。」
3人が合流すると、案山子達が畑の隅に大量のジャガイモと収穫で出たゴミの山を片付けていた。
アカネは何故か畑から外れて、煙の上がるクレーターの前でタバコをふかせている所だった。周りに何本か倒木があり…これは戦闘の跡だろうか。
「あぁこれか?畑掘ってたらミミズが出てな、ちょっと追っ払った所だ。」
よく見たらミミズが出入りしたらしい牛の胴ぐらいありそうな穴が幾つか畑に空いている…うーん
「お前らその穴にさ、ここのツタとか葉っぱの山ぶち込んどいてくれよ…最後上に土被せてな。」
「俺達も手伝うか?」
「あー良いって、魔獣退治したんだろ?ここは私の仕事だからな…んじゃぁ飯だが…うーん、そこのベンチで待っててくれよ」
アカネは一人柵を越えて森に入っていった…そして10分もすると、角の生えたカエルを引きずりながら戻ってくる。
「魔獣=ウシガエルっていうんだが、結構肉がジューシーなんだ。ちょうど薪もあるしコイツの丸焼きを頂こうぜ。」
うーん、ワイルド
シュッシュッシュ…プス…プス…
ミミズとの戦闘で折れたらしい倒木に…火は付かなかったので、普通に皆で薪を集めてキャンプファイヤー…魔法で付けろよ!なんて素人な事は誰も言わない。
魔法の原理をしった後では、なんでも魔法で解決という気にはなかなかなれない。
「節約に越したことは無い、薪集めなら任せろよ」
「あー私もやる!ネズミさんもお願いねー」
「「「カエル肉くれよー」」」
パチパチパチ ジュゥウン…ポタポタ…
串に刺さったカエル肉がテラテラと油を垂らしながら焼けて行く、魔獣ウシガエルは子牛ほどの大きさのカエルだが皮膚に毒があるため可食部は案外少ないようだ。処理をすれば内臓も…皮もいけなくは無いらしいのだが…まぁ今回はざっくりと食べれる所だけ切り取って焼いてランチとする。
「ウッマウッマ!」
「だろー、やっぱシンプルに岩塩がウメー、あっと芋も焼けたな…ほっふほっふ」
最後は焚火のど真ん中にぶっ刺した二本の角を取り出して、二つに割ると中心部にやたら赤黒い…血合いに似た色の肉があった。あ…血合いだ…これは好みが別れる味だな。
「ぷはーいや~…ワイルドなランチだったな、ご馳走様」
「うーん…アカネぇ…いつもこんな食事してるの?お母さん心配。」
「うるへー…肉が食いたい年頃なんだよ。ッぷっはぁゲップ」
…満足度が高いランチだった、指先についた油を舐めてゲップをするアカネの様子に魔女は眉間に皺を寄せてため息一つだ。
「アカネ…やっぱりあなたそろそろ結婚相手を見つけなさいよ、料理洗濯できる人探してくるから」
「うるへーよ、まずは自分が旦那捕まえろよいきおくれ」
「んぐぐぬぬぬ」
トプトプトプ
人数分のティーカップにそれぞれのお茶が注がれる。
魔女とリトリアには魔女の紅茶、ソードには珈琲とかいう黒苦いお茶、アカネは意外に…乾かした花香る、フラワーティーだ。
…どんなに大変な事があっても、家族で集まりお茶を飲む…この時こそが魔女の幸せ、さぁもうひと踏ん張りふた踏ん張りだ…




