魔女のお茶の正体
いよいよ明かされる秘密の一つ
魔女の裏庭にて出迎えた目つきの悪い女性、アカネは緑のランプで道を照らしながらリトリアとソード、二人の客人を案内する。
案内といってもただ歩くだけ、口はタバコに塞がれていて何かを喋りたい様子じゃない。彼女の後ろ姿を追いかけながら、ソードは彼女の腰に目が行く。
「ソード、そんなにお尻が気になるの?」
ジト目のリトリアがこそこそと注意を促した。
「いや…剣と銃が気になってな、ありゃ相当に血を吸ってるよ。」
ピタリとアカネの足が止まる。ゆっくりと後ろを振り返って、煙を吐いてからソードを見る。
「ソードとか言ったか…、アンタはどうして魔女と知り合った?見たところ薬も飲んでいないみたいだ。」
「薬?」
「お茶とか言って魔女が出す飲み物さ、万病を癒す薬だ。あいつはアレで恩を売り弟子にする…そっちの嬢ちゃんは飲んでるよな?リトリアだっけ?」
「えぇ、私は毎日お昼に一杯飲んでるわよ?すっごく不味いけど…あれも魔法の修行だって…え?薬って?悪い物では無いの?」
流石にリトリアも警戒を強めた。いやいやいや…魔女とかいう怪しい人物にヒョイヒョイついて行って今更だが、薬と聞くと恐ろしい…良い薬もあれば悪い薬もあるのだから…かつてはそれで滅んだ国もあると聞く。
「あぁ…っと、どうやらコイツはスカウトされて正式に弟子入りしたみたいなんだ。俺は連れ戻しに来ただけで正式な弟子にはなっていない。黒くて苦い飲み物はのんだが…あれもヤバいのか?確かに…みょうに目は冴えてるが」
バキバキバキバキ
二人の後ろで音がした。カボチャと魔女が居る方向だ…木々の向こうで何かが輝き、直ぐに光は収まった。
「うーん…余計な事言うと面倒か。まぁ…いいや、とりあえず両方体や心に害があるもんじゃないはずだ。今度飲む時にでも聞いてみな?」
音の聞こえた方向、光が消えるのを見届けてアカネはタバコを咥え直した。
「まぁついて来な、とりあえずジャンケンして勝った方から風呂入ってこい。」
ジャンケンはリトリアが勝利した。
………
「…って事で、薬って事は話しちまったぜ悪いな。」
言うほど悪びれもせずアカネは魔女に顛末を話、二人の前にお茶を出した。
魔女の前には<万病に効く薬>という名のいつものお茶、ソードの前にはホットミルクだ。話が話だけにソードはいささかミルクを睨む…飲んで良いのだろうかコレは?
「あぁ安心しろ、それは山姥の乳だ。腐っても無い」
「なんか解らんがちょっとやな感じがする牛の名前だな…牛だよな…?」
アカネはちょっと山姥の姿を思い浮かべる、ボロを来た老女…牙は鋭く頭には…
「まぁ…角は生えてるし、口癖はモウだ、ほぼ牛と言って間違いは無い」
「ほぼってのが気になる…口癖?ぐぅしかし、まぁいいかモウ。」
元よりさんざん魔女の出す物を飲み食いしてきて、今更警戒しても仕方が無い。ソードはチビチビと山姥ミルクを飲み始めた。旨い。
一方魔女はため息をついて疲れた様子だ。
「あぁ…言っちゃったの。モウ…アカネったらすーぐペラペラ喋っちゃうんだから」
「悪かったよ、でもなんで黙ってるんだ?別に悪い事じゃあるまいし」
ソードは二人の会話に耳を傾ける、魔女の反応が気になったが…まぁ、ミルクと同じで今更何が来ても仕方は無い。しかし大切な事だし聞き逃すわけにはいかないが…
「リトリアだけなら誤魔化せるけど、ソード君も居るからねぇ…そうだ、ソード君今から言う事あの子に黙っていられるかしら?」
「…内容によるとしか言えない…が、まぁその方があいつの為なら黙っとくよ」
今はちょうどリトリアが居ない、王女様は長風呂だからしばらく帰ってこないだろう…、魔女はお茶をチビチビ飲んで、おなじみの湯気の精を喘がせてから話始めた。
「実はあの子、誕生日の後死ぬはずだったの」
「ふぁ!?」
流石にソードも変な声を出してしまった。
14歳の誕生会…リトリアが魔女に出会って消えたのは、あれから3日目の夜だった。
山姥の乳ってなんだよモウ




