閑話 菅野
悪魔との戦いの前にちょっと菅野側から見た今までを書いて見ました。
思ったより長くなったので2話に分けます。
「こんにちは、モミジ様チュートリアルへようこそ」
返事がないな。
もう一回言えばいいかな?
「おーい、こんにちはー!」
これで返事してくれるかな?
「こんにちは」
お、してくれた。
この子真面目だね。
「Growing Worldへようこそモミジ様、私はチュートリアル担当の菅野です」
どんな反応するかな?
「あの、人間ですか?」
普通ー!
ここでゲームっぽくない名前とか言ってくれれば面白かったのに。
まあ理由でも言っときますか。
「はい、AIの数が足りなくてチュートリアルをやらされたのですが、途中から面白くなってきまして」
「それサボりじゃないですか?」
サボり?
言われてみるとサボりだな。
ばれなきゃなんとかなるでしょう。
「まあ、そうですね」
あれ、なんでいろいろ手を動かしたりしてるの?
もしかしてGMコール探してる?
「ちょっとまったー!うちの上司ほんと怖いからやめてくれ!これ終わったらやめるから、ね?」
「ね?じゃないよ!」
まずいこのままだと説教で睡眠時間が無くなる。
「しかたないですねー。黙ってあげましょう」
さすがに手のひら返しされると怖いんだけど?
「なんでそんなに変わったの?何かたくらんでない?」
うわーまたいろいろ試しはじめた。
「やめてください、あなたは何もたくらんでない」
「それでいいんです。さあ、チュートリアルを始めましょう」
すごいいいように使われてる気がする…
◆◆◆◆◆
アイテムを渡すまでは普通のチュートリアルだったんだけどな…
さっきから30分も鑑定してるよ。
そんなに鑑定して楽しいか?
あ、終わった?
まだ続けようとしてる!
止めなきゃまずい!
「あー、そろそろ満足した?早く続きをやりたいんだけど」
「すいません。ちょっと集中するとそれ以外ができなくなちゃって」
「30分鑑定をし続けてちょっとなのか?」
時間について触れれば次を無くせるはず…
「何か言った?」
急に声色が変わった?
邪魔されたから怒ってるのか?
とりあえずごまかしとこう。
「いや、武器は剣でいいのかなーって言ったんだよ」
「そうだ、今武器を試してたんだった!」
モミジはウキウキと弓を手に取る。
「ああ、また長くなりそうだ…」
◆◆◆◆◆
今回はそこまで長くならなくてよかったー。
弓がすごい下手で笑いかけたけど、なんとか我慢できたよ。
補正あるはずなんだけどな。
武器は決まったみたいだし、戦闘に移ろうか。
「じゃあ武器は決まった?」
「はーい、次は何をするの?」
返事がよくなってる。
何があったんだ…
ああ、次が気になるだけか。
さっさと説明しちゃいましょう。
「次は、モンスターと戦ってもらうよ。最初はスライムで、次がウルフ、そして最後はお楽しみってことで!一体倒すごとにボーナスがあるから頑張ってねー」
「準備はいいかな?それじゃあ始めるよっ!」
さすがに戦闘は長くならないだろ。
あー、早く終わらないかな。
◆◆◆◆◆
あ、スライム鑑定してる。
鑑定レベル低いと全然使えないんだよな…
たしか矢部さんが
「鑑定を取るやつは多いだろうから、最初のほう使えなくするか。あー、反応が楽しみだな」
とかいいながら鑑定の設定してたんだっけ。
お、スライム倒した。
あれ、ダメージ受けてる。
スライムでダメージ受けるならウルフは無理だろうな。
そうだ、報酬渡さないと。
「おめでとう!これは報酬のHPポーション3本だよ」
さて、次はウルフでこのチュートリアルも終わりかな。
「あのー、もう一回スライムと戦えますか?」
え?まさかスライムと戦うと言い出すとは思わなかったよ。
えっと、できるんだ。
最初のフィールドがいっぱいになったときの救済措置か。
「もちろんいいよ。ポーションはないけどね」
さてスライム出すか。
何体倒せば満足するかな…
なんで攻撃しないの?
ずっと観察ばっかりしてるんだけど。
とりあえず、倒されたら自動でリポップする設定にしとこう。
『おい、菅野!いつまでチュートリアルやってるんだ!1時までだと言っただろ!』
ヤバい、いや今の状況を話せばいけるか?
『1時50分位からこのプレイヤーのチュートリアルやってたんですけど、もう長くて長くて』
『まってろ確認してくる。逃げるなよ!』
いや、いったいどこに逃げることができるんだ?
まあいいや、モミジは…
まだ1体も倒してないのか?
はあ、いったんログアウトして報告してこよう。